財務トピックス(コンサルタントコラム)

ホールディングス化のメリット・デメリット

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皆様こんにちは!
船井総研の金融M&A支援部、財務・組織再編チーム・リーダー小松です。

弊チームでは、クライアントの課題に対し「組織再編」という切り口からサポートさせて頂いており、財務・税務・労務・法務といった問題に関し、外部パートナーと協業をしながら支援を行っております。

突然ですが、「組織再編」と聞いてピンときましたか?
では、「ホールディングス化」はいかがでしょうか?
組織再編よりもイメージがつきやすいのではないでしょうか。

では、組織再編とホールディングスの違いは何なのか。
平易にいうと、組織再編(行為)=スキーム、つまりは手法です。ホールディングス=ストラクチャー、つまり組織体制のことです。
これから4回シリーズで、組織再編とホールディングスについて紹介させて頂きますが、今回は、最近よく耳にするホールディングス化について触れさせていただければと思います。

ホールディングス化とは

持株会社を株主とし、傘下の企業の管理や指導する、あるいはグループ全体の戦略や経営方針の立案などをできるような組織体制にすることを指します。

グループ会社の株式をホールド(保有)する会社を、持株会社や親会社といったり、ホールディングスやホールディングカンパニーと呼んだりします。
また中小企業におけるホールディングス化は、複数事業展開する1つの企業を株式移転や会社分割などを用いてホールディングス化することが多いですが、複数の企業を有する場合は株式交換を用いて同体制を築く場合もあります。

ホールディングス化に向いている企業とは

では、どんな企業がホールディングス化を検討しているのでしょうか。
弊社では、下記要素に3つ以上該当する企業は、上場・非上場に関わらず、ご検討頂いたほうが良い、とお伝えさせて頂いております。
□ 年商が30億円以上
□ 複数の事業を展開している
□ 拠点が複数存在し越境展開している(商圏広域型)
□ 経営に関与していない株主が存在する(後継者候補除く)
□ 頼りになる同族外の社員が存在し、社内の内部昇格や外部招聘を検討できる
□ 関連会社を2社以上有する

いかがでしょうか。
該当した要素の数が3つ以上の方は絶対に導入すべきということでもありませんし、3つ未満の方は検討する必要の無いこと、というわけではありません。
上記要素に、現状における企業の悩み・課題や、今後の事業展開の構想等を勘案し最終的に取組可否を判断していくため、一概に「やるべき・やるべきではない」と言えないのが実際のところです。(ただ3つ以上該当する経営者様は、一度真剣に検討されることをお勧めします。)

では、ホールディングス化によって、どのような企業の悩み・課題の解決が図られ、今後の事業展開にどのように貢献するのか。下記、例に基づきご説明します。

例に基づくホールディングス導入効果

■企業概要
地方に本社を構える、年商20億円の地場有数の一般住宅向けビルダー。
創業から40年経つ老舗企業で10年ほど前までは年商2億円前後であったが、同時期に実父から子息である現社長で当社を承継して以降、急激に業容拡大。
直近5年間で、介護事業とFC飲食事業に参入し、今期は年商24億円、来期は30億円超となる見通し等、成長フェーズにある。
関連会社はなく、1社で複数事業を手掛けている。

■悩み・課題
(1)企業成長の鈍化、不採算事業(店舗)の発生
前社長の退任以降、古参の取締役も徐々に退職。
現社長の脇を固めるのは、経理である妻とキャリア採用した各事業部の責任者2名であるが、成長鈍化が表面化しつつある。
より一層の業容拡大のためには事業部責任者2名の成長が必須であり、もっと事業別採算や資金繰りを把握し、経営者目線で働いてほしいという気持ちを抱いている。

(2)事業規模の拡大による資金管理が煩雑化
全く異なる事業を複数運営しており、事業別での損益・資金繰りが把握しづらい状況に。
金融機関からの借入を行う際にも、金融機関担当者から「どの事業に資金が使われるのか」、「事業別での資金繰り管理表を提出してほしい」といったことを求められ、対応に苦慮。社長本人も、なぜこんなに資金が足らなくなるのか詳細を把握できておらず、何らかの仕組み化が必要と考えている。

(3)親族内の事業承継が不透明
子息子女は1男、1女で、ゆくゆくは長男に事業を譲りたいと考えているものの、27歳の長男は大手企業に勤務しており、現在のところは後継の意思が不透明。
24歳の長女は結婚して実家を離れており、当社事業に全くタッチしていない。

■今後の事業展開の構想
52歳の社長は、60歳までに年商100億円を目指すべく、(1)既存事業の広域展開、(2)新規事業参入、を行っていく方針であり、M&Aなどの活用も視野に入れている。
朧気ながら65歳での引退を考えており、60歳時点で承継を本格的に考える意向。

■ホールディングス導入効果
以下の通りです。

本例ではお伝えしきれなかった一般的なメリット・デメリットもありますので、下記を参照いただければと思います。

ホールディングス体制を敷くことで、企業が抱える様々な課題の解決に繋がるのではないかと感じて頂けたのではないでしょうか。

散見されるホールディングの失敗事

ここまで、主にホールディングス化の魅力をお伝えしましたが、中にはホールディンスをうまく活用できていないケースがあります。

どんなケースだと思われますか?

自社の株価対策だけを目的としたホールディングス化、などがそれにあたります。

本来、上述したような課題を解決するために有効な手法として用いられるべきですが、副次的効果のはずである株価対策に焦点を置いて本手法を用いたために、ホールディングス(純粋持株会社)にしっかりとした機能・役割を設計できず、結果的に実体の無いペーパーカンパニーとなっているケースが散見されます。
また最近は、一時期のブームに便乗してホールディングス化した、上記のような企業から相談を受けることが増えてきたように感じます。

勿論、こういった事案は本末転倒の話であり、税務の観点からみても、税務署から不当な租税回避とみなされて追徴課税を受けることが懸念されます。

では、どういったことをホールディングス化の前に検討しておく必要があるのでしょうか。

ホールディングス化前における検討事項

(1)まずは、自社の課題・悩みや今後の事業構想を洗い出すことから始まります。
(2)次に、上記(1)や許認可等を勘案しつつグループストラクチャー、つまり組織体制(出資構成)を決定し、その上で各社にどんな機能を担わすか、を決めていきます。
(3)続いて、グループ内の取引について設計します。
   仮に、ホールディングスにグループ全体の事業用不動産管理を担わすのであれば子会社との地代家賃をどうするのか、
   人事・総務機能を担わすのであれば、業務委託手数料はどのように設定するのか、経営指導料や配当吸い上げはどうするか、といった内容です。
   左記決定後に、グループ内取引を踏まえた各社の損益計画の検討を行います。
(4)その後、各会社への移転資産・負債の配分を検討します。
(5)その後は、組織の人員配置など各種設計を行います。
(6)最後に、スキームや各種手続きのスケジュールを検証します。

こういった事前の検討を行い、随時必要に応じてホールディングス化の実行前に、事前に取引金融機関へ説明を行い、実行に移すといった流れです。

無論、細かく言えばグループ全体でのファイナンスをどうするのか、そしてその役割を誰が担うのか、各社の取締役の構成はどうするのか、取締役会の設置はどうするのか、など検討すべきことが多くありますが、大まかな流れは上記の通りです。
ホールディングスを上手に活用できていない企業の多くは、上記(1)から(5)の工程を経ず、税務上や資金負担の観点のみでスキームを検討した上で、ホールディングス化を実行しています。

もちろん、そういったホールディングス化をしている方の中にも「税理士に言われて悪気無く進めてしまった」という場合も多々あり、リスクを認識しないまま意図せず実行していることが多いように思います。
今後、ホールディングス化を検討する方におかれましては、以上のことを頭の片隅に置いていただければと思います。

最後に

本コラムが「後悔しないホールディングス化の実現」の一助になれば幸いです。
最後になりますが、4回シリーズの残り3回については、各組織再編行為(株式移転・会社分割・株式交換)についてご紹介したいと思います。
最後までお読みいただき、有難うございました。

◎第2回目「ホールディングス化に活用される「株式移転」」はこちら

【この記事を書いたコンサルタント】
金融・M&A支援部

船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
攻めの投資を実現する際に最も大切なことは、その1期のみ最大の成果を出せることではなく、持続的に最大限の成長を継続することです。
それを資金面から実現する戦略をデザインします。

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