財務トピックス(コンサルタントコラム)

「放置預金」という名の埋蔵金から考える預金の置き方・使い方

〇「放置預金」という名の埋蔵金から考える預金の置き方・使い方

皆さんは、銀行の預金口座をどのように活用されておられるでしょうか。生活資金をプールする口座と貯蓄のための口座を別で持ったり、へそくり用で奥様・旦那様に隠している口座を持つ方もいるでしょう。会社経営でも、口座を2つ・3つと持つケースは日常的で、取引先の要望で指定銀行口座を開設したり、新たに融資を受けるタイミングで口座を作る場合もあると思います。

しかし月日が流れ、個人であれば引っ越しや転職、会社であれば借入返済が終了したこと等がきっかけでメインバンクが変わり、いつの間にか通帳・キャッシュカードも紛失…といった経験もあるのではないでしょうか。世界には明日の食事代にも苦しむ方々がいるなか、マネーが溢れかえり、ときに忘れ去られることすらあるという様相は、さすがGDP世界3位の日本といったところでしょう。

「預金大国ニッポン、預金という名の埋蔵金は1兆円超」…そんなニュースも流れる国なので、筆者も果たしてそんな額の埋蔵金が本当にあるのか…と以前からいぶかしげにニュースを見ていましたが…以下の記事を見ると、本当に埋蔵金は「ある」ようで、いよいよここにメスが入るようです。

 

〇放置預金に注意、10年で国が管理 19年1月から 総額6000億円

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36376460R11C18A0EE9000/

(2018年10月12日 日本経済新聞電子版より引用)

 

2019年1月より、国は10年以上放置された私有の預金口座を、社会事業に活用する方針で動き出しました。口座総数6,000万件、金額にして6,000億円、国民1人当たりの保有口座10件と、預金大国ニッポンの様相を見事に体現する現状に対し、不景気で財源に苦しむ国がここだと狙いをつけて有効活用のめどを得た、そんな状況でしょうか。いずれにせよ対象者は急いで、昔アルバイト等で作って置きっぱなしにしていた口座がどうなっているのか、引き出しを漁らなければなりませんよね。

(※もちろん、休眠とはいえ私有財産であることは変わりなく、記事の通り一律強制的に資産をはく奪するようなものではありませんので、対策さえきちんとすれば不利益は被らないはずです)

 

ところで、今回は凍結の対象外である「会社の放置預金」ですが、実は対金融機関との交渉という点では、できれば整理したほうが良いということはご存知でしょうか。個人預金と異なり、1円でも口座に入っていれば、決算書の勘定科目明細・預金の欄に記載が載り続けるこれら「動かぬ預金」ですが、実はこれが金融機関交渉の武器になる可能性があるー。今回は、記事に追加してこちらの情報を一部お伝えできればと思います。

 

〇マイナス金利で「たらい回し」の預金、されど預金はキーツール

一昔前、90年代初頭の預金は金利が3%~6%もつき、一方で銀行もそれだけの金利を還元しても十分にそれ以上の運用益を確保できたため、銀行員の主要業務の1つは「預金集めによる運用益確保」でした。各銀行が金利を上乗せした「キャンペーン預金」を揃え、数か月だけでもと定期預金を勧めた時代があったというのですから、バブル崩壊後世代の筆者にとっては驚きです。

時流れて現在、長期にわたるデフレや金融政策により、金利は雀の涙ほどしかつかない時代が到来し、銀行もいくら預金を集めても運用収益を得られない状況となりました。今や積極的に預金を確保しようとする銀行マンはいなくなり、メガバンクのような大型銀行であればあるほど「預金はいりません」と言わんばかりのスタンスを見せております。

「ならば、銀行は預金など必要なく、放置預金もありがた迷惑とはなれど、交渉材料にはなり得ないのでは」

と感じたかもしれません。しかし、会社の持つ預金は別の理由で明確に確保しておきたい理由があります。

というのも、会社の主要な預金を確保することは、そのまま「会社の商流(入出金)が分かる“パイプ”を手に入れた」ことに等しく、どんな取引先とどの程度の商売をしているか、銀行が合法的に眺める方法を得たことになります。そして入出金が確保できることで「そうか、この会社はこういうおカネの流れで生きている会社だから、ここで融資がいるぞ」と融資を判断する、好材料として活用することができます。

銀行は貸せる先には多くお金を貸したい、一方貸したお金が次の日には別銀行に振替され、融資の行方は知れず…というのは「本当に貸したおカネがきちんと使われたか?」が分からず、嫌気する傾向があります。

これは放置預金が意図なく滞留したり、定期預金が置きっぱなしになっている場合も同様。「なぜ、借入もないのにこの銀行に?ずっと置きっぱなしか?いったいこの会社のカネの流れはどうなっている?」と思われるくらいなら、いっそ預金を今稼働している「意味ある口座」に集中させ、日々の入金を明瞭にするというのも、銀行取引改善の1つの手かもしれません。

 

〇まとめ:預金にきちんと色付けを

今回は、来年1月より対象となる個人の放置預金が、国の社会事業に活用されることになったというニュースを受け、もしかしたらいずれ追加で対象となるかもしれない「会社の休眠預金や、非稼働の口座」に関して、できるだけ整理してみては、という提言を行いました。

もちろん、銀行口座を複数保有すること自体は良く、問題は無用に口座が散っていたり、いつまでも残高が少しだけの口座があるのは、単純に決算書の見栄えにも悪影響を及ぼします。解約には一定の手続きが必要なためたいへん面倒かとは思いますが、たとえば会社の資金繰りを見直す時に一本化・集約するというのは、いかがでしょうか。以外にも手数料面などで、コストメリットが出る場合もありますので、ぜひ1度確認してみてください。

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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