財務トピックス(コンサルタントコラム)

【コロナ対策】融資を2倍速で通す事業計画 (3)実現可能性

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金融機関が喜ぶ計画、最後に「たった1つ」の注意点があります


前回までのコラムでは、この市況でも融資を2倍速で通過させるための事業計画は、
(1)「財務ことば」による定量情報の抜き出し・整理がなされており、
(2)「3分割の法則」でキャッシュフロー、B/S、P/Lの3項目に要素が明確に分類されている
というお話をしてきました。

◎シリーズ1「【コロナ対策】融資を2倍速で通す事業計画」はこちら

◎シリーズ2「【コロナ対策】融資を2倍速で通す事業計画 (1)「財務ことば」の選定」はこちら

◎シリーズ3「【コロナ対策】融資を2倍速で通す事業計画 (2)3分割の法則」はこちら

特に現在の市況では良い会社も改善途上の会社も、事業計画を金融機関に求められて提出し、融資を受けるというのは起こりやすい状況になっているため、今後交渉を有利に進めていち早く必要資金を手当てするためにも、これら2つの考え方は意識してほしいと考えています。

さて、シリーズでご紹介してきたこのコラムも今回が最終回ですが、今回は、事業計画を2つの手法で作り上げ、いざ金融機関に提出…となる前に、最後に企業が意識しておくべき「たった1つのマインドセット」に関してお話しておきたいと思います。

それは「この市況で出す事業計画には、実現可能性のあるものしか、織り込んではいけない」ということです。

言わずもがなですが、事業計画書とはあくまで「計画」であり、予想の域を出ない書類に過ぎません。
既に事実で固まっている決算書とは異なり、そこに掲載されている内容が実現するかどうかは、正直全く分かりません。

・重要なメンバーが退職するかもしれない
・新規事業が予想以上にうまくいき、売上が急伸するかもしれない
・もっとレバレッジを効かせて資金調達をすることになるかもしれない…

と考え付くだけでも、計画を前提から変えてしまうことが、経営には簡単に起こり得てしまいます。

しかし、この事業計画は危機対応のための融資を出してもらうための「拠り所」です。

つまり金融機関の審査を通すことを考えれば、盛り込む要素はどんなに不確定要素と思われたとしても根拠をもって説明できるべきであり、あまりにも説明できない要素は前回までのステップでお伝えした通り、「捨て札」にしておかねばならないということなのです。
しかし審査通過を失敗する事業計画では、

・過去実績とは大幅に乖離している「V字回復型」の事業計画
・粗利率、営業利益率が突然上昇するような「利益創出型」の事業計画
・非現実的な費用削減を盛り込んだ「乾いた雑巾絞り型」の事業計画

と一見すると優良な計画に見えるものの、実現可能かどうかの検証がおろそかになっています。

たとえば、ある鉄鋼の処理工場を経営する企業では、融資を受けるために事業計画で今後10年間を見立てる際、「仮に鉄鋼の市場価格が現在より下落し、売値が半額になったとしても、何とか資金繰りを回すことが可能で、返済も十分その中で賄い続けることができそうだ」というストレスを検証した事業計画を提出したことで、逆に銀行支店長から「耐久力のある優良企業」というお墨付きを受け、無事に1億円の融資を調達することに成功しました。

極端な事例ではありますが、このように、事業計画とはすべてのプラス材料を反映させる必要はありません。
むしろ起こりそうな事象に対してどのように対応するのか、どれくらいストレス耐性があるのか、リスクは検討できているかという部分が重視される、ということが分かる良い事例ではないでしょうか。

さて、今回まででシリーズ合計4回にわたり、金融機関の審査を2倍速にするための「事業計画作成における考え方」に関して、3つの要素に分けてご説明をしてきました。

3要素は全て大変基本的な要素ながら、どれが抜けても正確で評価を受けられる事業計画を策定することはできません。
一方でこのコラムだけでは、もっと具体的に自社のどの資料を掘り返して根拠にし、どうやって手を動かしていくのかという戦闘戦術レベルの内容までは、お伝えしきれなかったかと思っています。

そこで、船井総合研究所、金融・M&A支援部ではここまでコラムを読み進めてくださった皆様に、今般のコロナ市況に伴う危機対応も含めた「無料財務相談」を実施します。
大変な市況ではありますが、コンサルタント一同少しでもお役に立てるように準備しておりますので、ご希望の方は下記よりお申し込みをお願い致します。

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【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

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財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
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