財務トピックス(コンサルタントコラム)

「ステージで変わる」社長のお金の使い方

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多くのお金を動かす立場にある社長という職業。社長のお金の使い方に関する、ルールと言えるものがあるのかを、いくつか取材を行い、調べました。

まず社長のお金の使い方には「段階」があります。

創業社長であれば、創業期をお金に余裕がない状態で何とか乗り切ります。

その後事業が軌道に乗ると、だんだんとお金の余裕が出てくるものです。「ずっと前からほしかったものをついに買う」「“これを手に入れたら一流の証”と思っていたものをついに手にする」そのような行動を取り始めます。

欲しいものを買えるように頑張ったのですから、その行為は悪いことではありません。自分へのご褒美としても必要なものです。

社長という職業の人には、さまざまな富裕層向け情報も持ち込まれるようになります。そうして高価なものを次々に手にする。そのときが「成金期」服装ならば上から下まで、生活ならば朝から晩まですべてにお金を使う、そのような時期に入り、そしてその多くは没落していきます。
いくらお金があっても、それ以上に使えばなくなるのは当たり前です。

「買いたいものは買って、もう欲しいものもない」そう思えるレベルに達した「成熟期」を迎えた人たちのお金の使い方を見ていきます。

お金持ちほど「お金を使わない」

画像提供:PIXTA

経営者の取材を多々こなし、自身も高級住宅地に住んでいるライターが、ある超有名ホテルで働く人に聞いた話です。

いつもそのホテルを利用している、かなりのお金持ちの客がいました。

そのお客様はいつも、トヨタのカローラで乗りつけていたといいます。

「その方は『車は安全に走るものが一番』という考えだったようです。

確かに私の住んでいる街にはベンツやジャガーなどの高級車や外車もたくさん走っていますが、相当長い間乗っているのだろうと感じる車も少なくありません。

それらの車が選ばれるのは、運転が快適で安全だからでしょう。『いかにも』という感じの目立つ超高級車はほとんど見ません。先ほどの方のように国産車を愛用したり、中古車に乗っている人もたくさんいます。

本当にお金のある人ほど、ビックリするほど自分をよく見せようとか、見栄を張ろうという考えがないのだと思います。

その人たちは身なりも決して華美ではありません。これみよがしの流行のブランド物のバッグもほとんど見かけません。無駄に高いものは好まないのだと思います。一方でよいもの、長く使えるものには高いお金を払います」

お金持ち=高級ブランド品のイメージがありますが、お金持ちがそれらを好むのは、ブランドと呼ばれるくらい質のよいものだから、ということが言えます。

そのライターは、取材である経営者の大豪邸にお邪魔したときのことをこう語ります。

「ビックリするくらいものが少ないおうちでした。道具も調度品も、必要最低限という感じで。ただし、どれもとてもいいものでした。

年代は感じさせますが、古くなっている感じがしないのです。本当にいいものを買われたのだろうと思います。『本当のお金持ちの暮らしって、きっとこうなんだろうな』と感じました」

“高くても出す部分”と“少なくても出さない部分”のメリハリが利いている

画像提供:PIXTA

本当にお金を持っている人のお金を払うときの基準は“金額”ではありません。

“払う額に見合っているか”です。そのライターは続けます。

「東京の世田谷区、成城に、成城石井というスーパーマーケットがあります。今では日本の多くの都道府県にお店がありますが、1号店はその名の通り、成城にあります。以前取材のときに成城石井の社員の方から伺ったのが、『成城石井は、成城のお客様に育てていただいた』という言葉です。

成城の人たちは、いいものを求めている。それは本当においしいものであったり、もしくは安心・安全なものであったり。その質に妥協はしません。同時に、いいものでも価値よりも高ければ買わないのです。

一方で、価値に見合うと思ったら、支払う金額が大きくても買います。

成城石井の商品は、安売りスーパーといわれるところよりは値段が張りますが、こだわり抜かれた商品がたくさんあります。それらの商品が『この品質でこの価格だったらむしろ安い』とお金持ちに支持され、非常によく売れているのです。

ただ、成城石井をよく使う人たちも、どこでも買えるビールやジュースなどは安く買える別のスーパーで買っていて、買い物先も使い分けている印象ですね。やはり基準は“払う額に見合うか”です。

成功者とは“稼ぎ続ける人”だと私は考えていますが、お金持ちもそうなのだと思います。

お金が残り続ける人。お金が残るとはすなわち、簡単な話ですがある分よりも使わない。

お金はあってもお金に振り回されることもなく、普通でいられて、幸せを味わえる。

本当のお金持ちな人たちは、それが自然とできているように思います」

「使う」と「使わない」を徹底、社長のお金の使い方

画像提供:PIXTA

もう少し会社経営の観点で見ていくと、船井総研のコンサルタントが多くの社長と接していて感じるのも、大きな会社を作り上げた社長の多くも、そのようなメリハリのついたお金の使い方をしているということです。

ある社長は、金額にして1000万円を超えるような設備投資を次々に行います。

その豪快なお金の使い方は、さすが社長と感じるものです。

しかし、彼は決して浪費家ではありません。

出張の新幹線は「どこか空いてるから」と自由席にしか乗りません。愛車は大衆車といわれる車で、会社への行き帰りは路線バスです。

そのコンサルタントはよくその経営者と食事をしながら経営の話をします。立場上、社長がご馳走してくれるそうですが、食べるものはいつもチェーンのラーメン。「飯を食いながら話すだけならどこでもできる」と、こだわらないものへのこだわりは一切ありません。

別のコンサルタントは、カリスマ社長といわれる人の「二面性」に注目しています。

その経営者は、目の前の数字に対しては非常に細かく、1円単位でチェックします。お金に限らず、小さなところも見逃さず、1つひとつのことをしっかり見ているそうです。

では細かい人かというと、決してそれだけではありません。

やはり、いざ投資をするとなったときは、思い切って何千万円という額を使います。

「そのお金の使い方は適切か」を常に見ていて、OKなものであれば、高額でもしっかり使い、不要であればどんなに安い額でも払わない。それを徹底しています。

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【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

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