財務トピックス(コンサルタントコラム)

経営者と銀行 なぜお互いに理解できないのか(2)

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前回、「経営者と銀行 なぜお互いに理解できないのか」という疑問に対して、まず経営者の視点について、まとめさせていただきました。
前回の内容はこちら

今回は、「銀行員の視点」から経営者と銀行、両者のすれ違いについて紐といていきます。

銀行員の視点
突然ですが、今、銀行が置かれる状況は良いでしょうか?悪いでしょうか?

このように質問された場合、みなさんはどう答えるでしょうか?
おそらく、多くの方は銀行は厳しい状況だと答えるかと思います。長引くマイナス金利状況において、銀行の収益力は低下しています。
また、地方に目を向けると、人口減少などにより収益機会が減少しており、銀行は融資先が少なくなってきています。

支店の統廃合や合併のニュースはこの一年だけでもよく耳にするようになりました。また、就職人気も低迷しており、採用でも苦戦している状況です。
新聞や経済雑誌の特集で「銀行」をテーマにしている場合、「倒産ランキング」、「銀行員の進退」など、ネガティブな特集が多い印象です。
一昔前の銀行員=安定した職業というのは、常識ではなくなってきているのかもしれません。

つまり、多くの方は銀行の状況は良くないという印象をお持ちかと思います。

実際、現場の銀行員との話の中では「最近はうちも業績が厳しくて、、、」という言葉や、「マイナス金利で収益力が低下してきています」、「融資では稼げないので最近はコンサルティングや手数料で稼ぐことが求められています」という言葉を耳にします。
ここまで、銀行の置かれた状況を見てきましたが、何が言いたいのかと言うと、銀行はこれまで以上に大変だと言うことです。

ん?当たり前のことですよね?とお思いになったかと思います。
この事実が実は経営者と銀行の目線がずれている要因につながっています。
ここからはなぜ銀行が経営者の目線を見ることが出来なくなっているのかについて詳しく説明していきたいと思います。

先ほどまで触れたように、銀行を取り巻く環境は厳しい状況です。
では現場の銀行員には一体どのようなことが求められるようになっているのでしょうか?

多くの銀行では融資で稼げないのならその他の手数料で稼がないといけないという意識が強くなっています。
実際、銀行のホームページや投資家向けのIRでもしきりに「コンサルティング業務の強化」という言葉を目にします。
つまり、銀行として融資の代わりに「今後は手数料で稼ぎますよ」と宣言していると言っても過言ではない状況がきていると言えます。

この流れを踏まえると、現場の銀行員にはコンサルティングを行い収益を稼ぐスキルが求められていると言えます。
言葉にすると簡単ですが、この「コンサルティングで稼ぐ」ということは実に難しいスキルです。
事業承継やM&A、ビジネスマッチングに不動産の紹介、海外進出のサポートなど、コンサルティング業務の内容は幅広くあります。

これまで融資業務で収益を上げることが出来ていた銀行は融資の目利き力をいかに高めるかということが重要なスキルになっていました。
しかし、収益力の強化を掲げる今の時代では融資業務では稼ぎにくい状況でもあり、他のスキルの獲得が求められる時代になってきています。

もちろん、銀行員は優秀な人材が多く、多くのスキルを獲得できる素地はあります。
ただ、収益が厳しいからあれもこれも学ばないといけないとなると現場の銀行員に求められる要求は必然的に高くなります。

加えて、今は「働き方改革」の名のもとに残業時間を減らし、いかに効率よく働くか・生産性を上げていくかということが声高に叫ばれる時代です。
これまでのように残業をたくさんして、先輩から融資のイロハについて叩き込まれるような時代でもなくなってきています。
このようなことから、実は銀行員は経営者のお金の悩みを敏感に感じ取って改善の提案をくれる存在ではなくなってきています。

銀行も株式会社であり、上場している以上、収益力が求められます。
厳しい株主の目にさらされており、毎期毎期しっかりと利益を出していかなければ、株主に認められることも出来ません。
また、最近では、新聞や経済紙でも銀行が苦境に立たされているという内容や、「倒産ランキング」という不名誉なランキング付けの特集を組んでおり、ここに名前を挙げられようものなら、さらに厳しい目線を向けられることになります。

結果として、短期的な収益を現場に求めるという銀行経営者の気持ちも理解できないものではありません。
ただ、この事実が結果として、現場の銀行員に短期的に稼ぐスキルが求められている状況につながっていると言えるのです。
ましてや、銀行員は2~3年で転勤していくことが多いため、在任期間中にいかに稼げる先を見つけてそこに力を注ぐかという目線にシフトされてしまいます。

手数料で稼ぐということの優先度があがり、融資で稼ぐという概念が徐々に変化しています。
だからこそ、この先には融資が出来るのか、この先の融資で稼ぐことが出来るのかという視点はあるものの、なるべく手間や時間を掛けずに成果を得たいと考えるようになり、結果として経営者のお金の悩みを感じ取る余裕がなくなってきていると言えます。 

銀行員は黒字が出ている企業なら、企業からお金を貸してくださいと言えば、借りられる状況だと考えています。
お金の流れの視点から融資の提案をするということは出来ていない状況です。
本来、運転資金は短期継続融資という当座貸越や手形借入を活用して、借りっぱなしに出来るはずが、多くは長期資金の毎月の返済がある融資を使っている状況です。

経営者からすれば、銀行から提案されるもので過去から同じだから、長期で借りるものだという認識を持っていることが多くあります。
現金が少なくなれば、再度銀行にお願いして、反復資金を借りるという流れになってしまいます。
また、銀行員からしても、半年に一度や一年に一度、融資を借りてくれるお客さんはありがたい先です。
そのような先にわざわざ短期継続融資の提案を積極的にするでしょうか?

上記は一例ですが、やはり銀行員の視点は「収益になるかどうか」「自分の成果につながるかどうか」が強くなってしまいます。
だからこそ、企業のお金の流れにはあまり着目しないという現実につながります。

では「どうすれば、そのようなギャップを解決出来るのか」ということを次回お話していきたいと思います。大きくは3点あります。

次回の内容「経営者と銀行 なぜお互いに理解できないのか(3)」はこちらから

【この記事を書いたコンサルタント】
金融・M&A支援部

船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
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