財務トピックス(コンサルタントコラム)

経営者と銀行 なぜお互いに理解できないのか(1)

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「銀行はなぜうちのことを良くわかっていないのか」と経営者が言えば、
「中小企業の社長は銀行のことをよくわかっていない」と銀行員が返す。
この話はあくまで一例ですが、私たち、コンサルタントという立場で経営者や銀行員の方と接すると、上記のような話を良く耳にします。

経営者と銀行員では決定的に見ている視点が違うと感じることがあります。もちろん、経営者が悪いという訳でもなく、銀行員が悪いという訳でもありません。
ただ、お互いの重要とする視点が異なるからこそ、そのような齟齬が出てきていると感じます。これは融資状況において最も顕著にあらわれます。

中小企業は銀行の事情を正しく理解していない。
そして、銀行員は経営者目線で重要とされる観点を意識できていない。

この状況が、経営者と銀行員の考えのギャップを生み出す要因となっています。
今回はこの違いがなぜ起こるのか。また、どうすればこのギャップを改善させることが出来るのかをお伝えしていきたいと思います。
ギャップを改善することで得られるメリットは大きく、融資条件(金利、担保、個人保証)で大きな差が生じます。

今回のコラムではギャップ改善のヒントを、経営者と銀行それぞれの立場からみていくことでお伝えしていきたいと思います。

経営者の視点
経営者の悩みとして「お金」の問題はよく出てきます。
会社の持つ資産のうち、現預金は一番重要な資産でもあり、勘定科目でもB/S(貸借対照表)の左上に位置します。
会社はお金が尽きない限りは存続は可能です。会社が事実上の倒産となる要因は「お金」が足りない場合です。

つまり、経営者は日々の資金繰りを一番優先度の高い項目として考えます。
社員の給料は払えるのか、仕入代金の支払いは出来るのか、新たな機械設備の導入は可能なのか。
経営者は日々、お金の流れを意識しています。現預金が潤沢にあってもお金をどう使うのかという悩みは尽きません。
来るべき不況時代や不測の事態が発生した時に対応するためにはとにもかくにも現金がモノを言います。

もちろん、業績が悪く資金繰りが悪化している企業だけがお金の心配をする訳ではありません。
企業経営が順調で利益もしっかりと出している企業でも意外とお金の悩みや心配を耳にします。
これは意外だと思われるかもしれませんが、一見、順調そうな企業でも実は「隠れたお金の悩み」を抱えていることがあります。

この「お金の流れ」という視点を銀行は意外と見落としているケースがあります。この要因は後ほど詳しく触れたいと思います。
 
また、経営者の目標としてP/Lの数値を上げる(売上を上げる)ことを目標とする方は多いと思います。
もちろん、中小企業であろうが、大企業であろうが、世の中の大半の企業はこのように考える傾向が強いです。

ただ、P/Lはお金を残す手段の一つです。
売上を上げて利益を残し、次の投資にお金を使ってさらに売上を伸ばす。この好循環をつくっていくことが重要ですが、もちろんこのように簡単にことが運ばないのが世の常です。

P/Lを伸ばすことは手段の一つであって、それだけがお金を残す方法ではありません。
売掛金の回収を早期化する、在庫の回転率を上げる、買掛金などの支払条件をなるべく遅くする(※信用面もあるので、遅くすれば良いということではないですが)など、お金を増やす手段は実はたくさんあります。

経営者はどうしてもこの考えの優先度が低い傾向にあると感じます。
お金の悩みの意識は強いが、その解決策をどうすればよいかということが分からないという問題が出ているからこそ、このような傾向が強くなります。
この辺りの話は以前に話題として触れていますので、そちらをご参照ください(https://www.funai-finance.com/topics/190725

では、ここからは少し話を戻します。
経営者の主眼がお金の流れである一方、企業に融資を行う銀行員はお金の流れを意識していると言えるのでしょうか。
また、銀行は経営者と同じ目線で経営者のお金の悩みを理解しているのでしょうか。
数字のプロでもあり、たくさんの企業を見ている銀行だからこそ、理解していて当然とお思いではないでしょうか。

現状、多くの場合、答えは「いいえ」となります。次回、銀行員の視点でなぜ経営者と視点がずれてくるのかを説明していきます。

次回の内容「経営者と銀行 なぜお互いに理解できないのか(2)」はこちらから

【この記事を書いたコンサルタント】
金融・M&A支援部

船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
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それを資金面から実現する戦略をデザインします。

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