財務トピックス(コンサルタントコラム)

経営者と銀行 なぜお互いに理解できないのか(3)

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前々回から前回にかけて、「経営者と銀行 なぜお互いに理解できないのか」という疑問に対して、「経営者の視点」「銀行員の視点」それぞれについて整理し、なぜすれ違いが生じてしまうのかを紐といてきました。
前々回の内容はこちら
前回の内容はこちら

今回は、「どうすれば、両者の意識のギャップを解決出来るのか」ということをお話していきたいと思います。大きくは3点あります。

(1)銀行と信頼関係を築く
いや、うちは銀行とは数十年の付き合いだから信頼関係あるよという経営者の方もいらっしゃるかと思います。
その考えは一旦、忘れてください。
もちろん信頼関係は時間と共に形成されます。ただ、銀行も商売であり、慈善事業ではなく、稼ぐことが求められます。

銀行が置かれる状況を踏まえるとこれまでのような受け身な状況ではなく、自社主導の付き合い方に変えていかなければいけません。
小さな信頼の積み重ねを忘れず、銀行と信頼関係を築くことで自社の本当のところを知ってもらう努力が必要です。

では、どうすれば、信頼を積み重ねることが出来るのでしょうか。具体的な方法を次に述べたいと思います。

(2)自社の情報を積極的に伝える
みなさんは決算書だけ提出している状況ではないでしょうか?もしくは、言われた時にだけ頼まれた資料を提出している状況ではないでしょうか?
それでは、忙しい銀行員にとっては優先度の低いお客様になってしまいます。
自社の決算の説明文章や売上・利益の増減要因などを出来れば書面などで提出することが望ましいです。

いかに銀行員の手間を省けるか、このような考えも大事な視点です。
また、決算書が出来たタイミングでは、業況説明の資料とともに、支店に報告に訪れるということや、自社主催の経営方針発表会を開催するということを実施してみてください。

多くの中小企業ではこの取り組みは出来ていないことが多いです。
そのような状況でしっかりとした取り組みをしているということだけで評価を上げるポイントになります。

さらに、その際は支店長には絶対に会うことを心掛けてください。顔が見える先に対しては銀行も信頼感をもってくれる可能性が高くなります。
工場見学や支店見学、なるべく現場を見てもらうことで自社を理解してもらう取り組みを行うこともポイントが高くなります。
このような自社の主導的な取り組みが銀行の信頼を得ることにつながります。

(3)自社主導で融資の提案を受ける
先ほど述べた決算資料に補足資料として、投資計画や資金繰り表などをつけることも重要なポイントです。
事前に情報を伝えることで、銀行からすればいつのタイミングでどのような資金が必要になるのかということを事前に知ることが出来ます。

つまり、忙しい銀行員が企業の悩みを感じ取って融資提案をしてくれるのを待つのではなく、こちらから積極的に情報を伝えることで事前に融資提案を受ける環境を作ることが出来ます。

また、お金の流れと返済のバランスにギャップが生じる場合、銀行向けに、このギャップの改善が出来るかどうかということを打診することも意識してください。
しっかりと利益は出ているのに、毎月の返済額が大きい場合、このケースに該当する場合も多いです。
まずは自社のお金の流れを把握した上で、銀行へは事情を説明することで改善につながる融資を受けることが出来るかもしれません。

ここで、一つ注意していただきたい点は、リスケという印象を持たれることがないように、事業が上手く進んでいるということを伝えるということです。

「しっかりと利益は出来てるし、銀行から見てもうちの格付けは問題ないよね?でも、実は今のキャッシュフローと返済額のミスマッチがあると思っているんだけど、これって改善とか出来ないの?」

このように、なるべく深刻な形ではなく、強いてあげるとすると、ここで悩んでいるんですがと伝えると銀行も変に構えることがなく、対応を検討してくれる可能性が高くなります。
自社主導で銀行から融資の提案を受けるためには金融業界の情報をしっかりと知っていることが重要です。
最近の金融時流などを踏まえながら、それが間違っていないのか、我々のようなコンサルタントも活用しながら、正しい調達手法を知ることも一つの手段です。

銀行員は転勤も早いし、その度に色々と面倒だと思わず、銀行が置かれる環境を理解した上でどのように付き合っていくかを考えることが経営者と銀行員の視点のギャップを埋めていくポイントになります。

銀行との付き合いも希薄で融資を受けない企業は特段、意識しなくても良いかもしれないですが、銀行から融資を受けて成長していく企業であれば、少なからず銀行員の事情を知った上で、どのような取り組みをすれば銀行員が喜ぶのかという考えが大事です。

もちろん、銀行員が喜ぶからと言って、むやみやたらに投資信託や保険に入ることはお勧めしません。
担当の銀行員が融資の稟議を通すために、支店長や本部を説得するための材料をいかに提供し、手間を省く努力をするかということをお伝えしています。

この視点を忘れず、ギャップを埋める努力を行えば、しっかりと銀行との関係性を築くことができ、自社に有利な状況になっていきます。

【この記事を書いたコンサルタント】
竹村 良太

早稲田大学卒業後、地方銀行に入行。8年間の銀行業務では、中小・中堅企業から上場企業まで幅広い法人営業を経験。その後、船井総合研究所に入社。
前職時代は事業性評価・財務分析に基づく融資業務に取り組み、中小企業・上場企業向け融資実績を数多く残す。
経営者に寄り添い「三方よし」の精神で財務コンサルティングの提供を行っている。

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