財務トピックス(コンサルタントコラム)

◤セミナーレポート「2021年度資金調達事例30連発セミナー」◢

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皆様、いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。

今回は、「2021年度資金調達事例30連発セミナー」の振り返りをいたします。

本セミナーでは、財務の良し悪しだけでなく、業界・所在地の異なる企業様の
合計30事例の資金調達事例をご紹介させていただきました。
今回は、30事例を3つの資金調達パターンに分類し、
そのポイントをご紹介させていただきます。

<目次>
①運転資金編
②設備資金編
③条件改善編
④まとめ

①運転資金編

運転資金確保を目的とする場合のポイントとしては、
・なぜ運転資金が増えるのか、どれだけ業績が伸びるのかを疎明する
・口頭での説明だけでなく、数値的根拠を持った計画へ落とし込む

の2点が挙げられます。

すべての企業において「年商〇億円達成」「実利益〇〇円達成」など経営目標が当然ありますが、
その過程で「仕入れを増やしたい」「採用を進めたい」といった資金需要は必ず発生します。
その資金確保のために、最も思い描きやすいのは「計画」でしょう。
損益計算書から貸借対照表、キャッシュフローまで連動した中長期計画を元に、銀行へ
・なぜ、どこに、いつ資金が必要なのか
・資金さえあれば売上、利益はどう推移するのか
・その結可資金の流れはどうなるのか

をきっちりと説明することが最も端的で、銀行サイドも求めているものだろうと思います。

その他、銀行の営業所集約等で担当者の入れ替わりや担当ごとの受け持ち社数が増えている昨今の銀行の状況において
あると嬉しいものとしては、下記があげられます。
・事業概要書
・商流図

まず企業のこと、事業のことを理解いただいて、そこから計画の話へつなげると
銀行担当者も貴社の中身を理解したうえで、日頃のやり取りをしてくれるでしょう。

②設備資金編

設備資金は運転資金とはアプローチが少し異なります。
設備資金の場合は、運転資金以上に融資対象が固まっていますので、
1.結論、”何に使う資金”が”いついくら”必要なのか
2.投資先の収益はどう動いていくのか
3.元々の事業への影響(※新規投資の場合)

の流れで説明できれば銀行担当者も理解が容易です。

その説明の中で効果があるのは、投資計画です。
・稼働開始はいつなのか?
・収益はいつごろ本調子になるのか?
・人員や販促費は、いつどれだけかかるのか?

そして、「投資先はいつ返済額を上回る黒字になるのか?」を明確にし、
投資先の収益で借入の返済ができる計画を作成することが望ましい形です。

ただし、上記は設備が収益機能を有している場合ですので、
本社建て替え等の非収益設備の場合はまたアプローチが異なるのでご注意ください。

次に、業績が傾いている中で、”脱却戦略のための投資”のポイントをお伝えいたします。

業績が傾いている中での脱却戦略として投資を行う場合、

・赤字の疎明に加え、投資による既存事業への影響(B/S、P/L)を明記
・そのうえで、脱却戦略ともいえる投資の計画を策定し、返済原資を明記する

ことがポイントです。

これに加えて業種ごとの特性まで計画しておかなければ、銀行の担当者から
業績が悪化している場合は指摘を受ける可能性もあります。
住宅販売業であれば、「在庫と仕入れ、営業人員の採用計画」
サービス業であれば、「集客と販売、それにかかる人件費」など
業種の特性をきちんと説明することで、
投資による既存事業への影響をよりわかりやすく伝えられます。

特に、業績が悪い中での計画は、
「売上だけが不自然に伸びている」
「事業が伸びているのに債権や在庫に動きがない」ということが非常に多いです。
必ず”合理的かつ実現可能性の高い計画”を策定しましょう。

③条件改善編

経営者が気になる条件として
1.期間とそれによる返済負担
2.保障や担保
3.金利
の3つに関してよくご相談をお受けします。

上記のような条件を改善するためのポイントとして、
・付帯取引のコントロール
・前向きな施策であることを強調すること

この2点が挙げられます。

両方に共通しているのが、「銀行側にメリットのある内容」であることです。
具体的な施策として、
・給与口座・振込口座に指定
・流動性預金を寄せる、定期積立を開始するなどの預金協力

が有効です。

「自社は、取引行に対して協力していく姿勢なので、より良い条件で
付き合いがしていきたいし、融資残高も増やしていきたい」というように
自社の条件改善だけが目的でなく、銀行側へもメリットがあることを
強調してお伝えすることが、成功のコツです。

④まとめ

①~③でご紹介しました成功のポイントのまとめとして、
資金調達に必要なことは
「財務状況・財務体制×銀行交渉力」であると言えます。

【財務状況・財務体制】
・自己資本比率や債務償還年数などの銀行が重視する指標を伸ばす
・自社の資産構成を社長だけでなく、財務・経理担当者が把握している
・試算表作成スピードを早める
・試算表をもとに月次で財務状況をモニタリングしている
・資金繰り表や在庫一覧など、必要な財務資料は常に更新されている

【銀行交渉力】
・常に適切な情報開示ができる体制が整っている
・銀行の担当者と定期的な面談を実施している
・半期決算、決算後には、銀行の役席者も交えて面談できてる
・金融時流や銀行の仕組みを理解したうえで交渉を実施している

資金調達を検討されている場合、
まずは、財務状況・財務体制、銀行交渉力の視点から自社の分析を行い、
その上で、成功のポイントを押さえて、
銀行交渉に臨んでいただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
本コラムが皆様のご参考になれば幸いでございます。

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【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
攻めの投資を実現する際に最も大切なことは、その1期のみ最大の成果を出せることではなく、持続的に最大限の成長を継続することです。
それを資金面から実現する戦略をデザインします。

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