財務トピックス(コンサルタントコラム)

脱P/L主義。脱感覚経営。成長を実現する財務戦略・資金調達(2)

前回、「経営者に付きまとうお金の悩み」ということで、脱P/L主義、脱感覚経営を達成する必要性についてご紹介させていただきました。
 
前回のページはこちら
 
今回は事例を用いて「キャッシュフロー経営とは」何かについてご紹介します。
 

キャッシュフロー経営とは

企業の成長を加速させるために、なぜCF(キャッシュフロー)の考えが重要になるのでしょうか。
ここで一つの例を話していきたいと思います。
 
売上10億円、利益1億円の企業があるとします。
売上の10%が利益であり、優良企業と言えます。
では一方でこの企業のキャッシュフローを見ていきたいと思います。
1億円も利益が出ているので現預金も増えているだろうと考える方は多いと思います。
利益が1億円でも銀行への年間返済額が仮に2億円あったとするとどうでしょう。
 
実際には、1億円の利益から2億円の返済を行う必要が出てくるため、1億円が不足してしまいます。
結果として、手元現預金が減少するか、新たに借入を実施するかという選択肢になってくる可能性が高くなります。
 

利益1億円-年間返済額2億円=現預金▲1億円

ではなぜ、借入の返済を行うために借入を実施することがキャッシュフローを悪化させるのでしょうか。
さらに、時間の流れを進めながら見ていきたいと思います。
 
上記の企業が、現預金を減少させないために、仮に1億円の融資を受けたとします。
5年で返済し、年間の元金返済額は2千万円とします。
毎年、同じ利益水準の企業だとすると、毎年、1億円の借入が必要になってきます。
毎年1億円の借入を実施した場合、4年目で返済額がさらに6千万円増えてしまう計算になります。
 

年間返済額:1年目2億円、2年目2億2千万円、3年目2億4千万円、4年目2億6千万円

こちらは極端な事例ですが、このような事例企業は数多く見られます。
もちろん、その他の資産状況の変動によりキャッシュフローは大きく変わりますので、事例のような単純なお金の動きになることはありません。
 
また、既存の借入の状況によっては、年間の返済額も増減してくる可能性はあります。
しかし、これまで、私たちが関わってきた企業の多くの資金繰りに困る原因は、上記のような資金の流れということが大半でした。
 
なぜこのような、一見すると単純な原因でキャッシュフローが悪化する問題が起こってくるのでしょうか。
 
こちらの問題を考える上で、重要な要素として、一つ上げられるポイントは、銀行の問題です。
 
銀行の目線では、企業の返済額とキャッシュフロー(利益+減価償却)を意識しているということはほぼ少ないと言えます。
なぜなら、銀行員は半期ごとに成果を求められ、なるべく高頻度で融資を利用してもらいたいという考えがあります。
だからこそ、長期の毎月返済型の融資を進めてきます。 返済が進めば、再度、長期の運転資金を進めてきます。
 
これは、金融検査マニュアルの導入により、結果的に短期継続融資が排除されてきた歴史という少し難しい話が影響しています。
今回はこちらについての詳細には触れていきませんが、興味のある方は検索してみてもらえば、そのあたりの詳細をたくさん出てくるので、確認することが出来ます。
  
そのような流れのなかで、銀行は長期の毎月返済型の融資を進めてくる傾向が強くなりました。
 
「返済の実績作りで企業の信用が高まります」、「まずは返済付融資からのスタートでお付き合いの実績を始めましょう」言い方は色々とありますが、内容は同じで「長期の毎月返済型の融資」を実績作りや成果として実行したいという意向は強くあります。
 
また、もう一つの要因としては、審査が通りやすいという点にあります。やはり、期日一括の証書貸付や経常的に資金を利用する当座貸越は審査のハードルが高くなります。
 
日本の中小企業の借入のうち86%程度は証書貸付に集中している点からも上記の構図は多くの企業に当てはまると言えます。
 

会社の重要な資産とは

企業経営でキャッシュフローを意識されている経営者はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
現状は少ないと言えると思います。
しかし、企業として最も重要な資産は何でしょう。
もちろん、社員やパートなどの「人」や商品や製品などの「モノ」ということもあるかと思います。
 
しかし、企業が存続していくという考えにおいて、「お金」が最も重要な資産と言えるのではないでしょうか。
極端な話、赤字であろうが、債務超過の企業であろうが、「お金」があれば、倒産することはありません。
アメリカでは「cash is king」という言葉もあるそうです。
 
人を雇用するにも、モノを製造するにも、新たな投資をするにも、何をするにも「お金」が必要です。
金融の役割は「経済の血液」と呼ばれます。
企業にとっての「現金」とは車で言えば「ガソリン」のような役割を果たすのではないでしょうか?
 
この「お金」の動きや「お金」をいかに自社の企業に合わせて維持するか、「お金」にコントロールされるのではなく、「お金」をコントロールすることで、企業の成長を永続的に実現していくことが企業の財務戦略の第一歩につながります。
 
この現金の効率化こそが、キャッシュフローを意識した経営になります。
キャッシュフロー経営を意識するために、まずは自社の状況を知る必要があります。
自社の情報を知るために活用できる資料として、キャッシュフロー計算書があります。 
次回はキャッシュフロー経営を実現するために必要な「キャッシュフロー計算書とは」何かについてご紹介します。
 
次回の内容はこちら

【この記事を書いたコンサルタント】
竹村 良太

早稲田大学卒業後、地方銀行に入行。8年間の銀行業務では、中小・中堅企業から上場企業まで幅広い法人営業を経験。その後、船井総合研究所に入社。
前職時代は事業性評価・財務分析に基づく融資業務に取り組み、中小企業・上場企業向け融資実績を数多く残す。
経営者に寄り添い「三方よし」の精神で財務コンサルティングの提供を行っている。

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