「経営者保証」その問題点と外すメリット
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銀行融資において「経営者保証を解除する動き」が加速しています。これまでの経営における大きな足かせにもなっていた経営者保証。
それが外れたことで、企業としては経営者保証にとらわれない事業承継が進む可能性が出てきたほか、今後は思い切った投資を行って事業成長を加速させる選択肢も、今までより取りやすくなる見込みです。多くの経営者に関心の高い経営者保証について、詳しく解説します。
経営者保証の現状と2つの問題点
金融庁の発表している「民間金融機関における経営者保証に関するガイドラインの活用実績」によると、2022年、経営者保証に依存せず融資を行った比率は30%を超えているといいます。
2015年はその割合が12%だったことと比較すると「融資には経営者保証が必須」という従来の傾向は着実に改善傾向にあるといえます。
また、金融庁は2023年4月から、経営者保証を求める場合は保証契約の必要性などを具体的に説明することを金融機関に義務付けるなどしており「融資に経営者保証は不要」の流れは今後、さらに加速すると思われます。
経営者保証の問題点は大きく2つあります。
①事業承継の難しさ ②企業成長の阻害要因となる です。
①について、例えばある経営者が事業承継を考えているものの、自身が経営者保証をしていることで、後継者に事業を引き継ぐこと=経営者保証も引き継ぐことになり、次の世代にそのままリスクを背負わせることにつながります。
実際にある経営者は「経営者保証のリスクを考えると、とても次の世代に承継できない。なので自分の代で会社を清算することに決めた」と話しています。
経営者保証が事業承継を阻害する要因になっている、そのようなことは日本全国の企業で起きていると考えられます。
②について、経営者保証があることで、思い切ったチャレンジができず事業成長の阻害要因になっていることも考えられます。
企業は投資を行い、それによるリターンを得ることで成長をする構造になっていますが、経営者保証があることで大きな投資ができず、現状維持もできず、逆に衰退の道を辿ってしまう可能性がある。
これは誇大表現ではなく、企業にあるのは「成長」か「衰退」のどちらかですから、投資の足かせとなる経営者保証が企業の成長を阻害する要因となっていることは、十分井考えられるのです。
経営者保証解除後の企業経営の在り方
「経営者保証を外す」は大きな変革なので注目されていますが、経営者保証を外すことが真の目的ではなく、経営者保証を外すことで、健全な企業成長ができることが真の目的です。
投資を行うことで企業成長が加速し、収益力が高まり地域での雇用が増え、
雇用が増えることで新たな事業にチャレンジでき、
新たな事業にチャレンジできたことで、収益力が高まる。
この正の循環に入ることが重要です。
一方で、正確な会計やガバナンスの強化も、企業成長と同時に行う必要があります。
正確には、同時にではなく経営者保証を外す以前には財務基盤が強化され、ガバナンスが機能している組織になっている必要があります。
そうすることで、経営者保証が外れたことが思い切った投資を生み、事業成長が加速することにつながるのです。
ぜひ「経営者保証を外す」を目的とするのではなく「経営者保証を外すことでできるようになることに目を向け、実行していく」を意識いただきたいと思います。
船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
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