財務トピックス(コンサルタントコラム)

その融資、返せますか。銀行とは話しましたか?(1)

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コロナ市況で「たくさん借りた」その融資。
返済のために社長が知るべき、たった1つの銀行対話術。
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「無利子、無担保、返済据え置き」。

耳を疑うような、破格の制度融資。コロナウイルスという未曽有の事態を、いかに政府が危険と判断していたかが見えてくる制度です。5月には民間金融機関でもほぼ同条件で融資を受けられるようになり、先行き不透明ななか、金融機関の融資金額だけは今までにない勢いで増え続けています。
企業はまず何よりも資金繰りが命なので、この制度に乗らない手はありません。一寸先が見えないからこそ、今は大丈夫でも「とりあえず、いっぱい借りた」という企業も多いのではないでしょうか。それは決して間違った戦略ではありません。

ただ、どんなに条件が良くても融資は「借りもの」です。
借りたら、その瞬間「返す義務」も考えねばなりません。

筆者が知るある弁護士の先生は、今の制度融資を「説明書きのない、非常に強い痛み止め」と表現しました。病気で非常事態に陥った企業を救うべく、企業によく効く痛み止め(制度融資)を配ったのは良いのですが、その痛み止めには残念なことに説明書きが付いていないと言うのです。というのも、

・いっぱい借りた「後」、どうするのかという戦略が立てられない
・制度融資の返済が始まってもうちは大丈夫なのか、自信がない
・そもそもコロナによって受けた痛みが、どの程度だったのかが見えてこない
・返済計画を立てるにも、どのように計画を立てれば良いか分からない

といった、説明書きがないことによる返済段階での迷いが生じている企業が、非常に多い状況にあるからです。

普段であれば、ひと月に数回は顔を出していた金融機関の職員さんとも、コロナ発生当時は「とにかく融資制度を借りなきゃ!」とばかりに慌ただしく借用証書のやり取りをしたかもしれませんが、その後、行員さんとは「プロパー融資に戻していくための打合せ」や「来年以降の融資の相談」をいつも通りできているでしょうか。
もしや、コロナ自粛だからと、めっきり訪問がなくなってしまっている銀行が存在しませんか。
あるいは、今までは言わなかったのに突然資料を要求したり、取引姿勢が厳しくなった銀行はありませんか。
それは、非常に危険な金融機関の取引解消サインかもしれません。

・金融機関の担当だけではなく、今まで通り課長、支店長ともやり取りできていますか?
・金融機関の担当の発言の意味を考え、適切に資料で説明できていますか?
・実は、試算表を出した時に確認されている「あること」をご存じですか?
・コロナウイルスが拡大したことで、金融機関がガラリと変化する可能性が高いことをご存じですか?

「いやいや、社長は銀行員じゃないんだ。分かるわけない!」。
今までにはなかったような融資が市場にあふれ、金融機関の姿勢もガラリと変わってしまうアフターコロナでは、そう言っていられない時代がやってくるかもしれないのです。

今回は企業がコロナウイルス発生によって一時的に増やした融資を、その出し手である金融機関とどのように連携すれば、無事返済できるのか?というテーマに関して、後編では具体的なアクションプランをお伝えしたいと思います。皆様もぜひ、このメルマガの内容をきっかけに「今年のうちに」融資の課題を解決すべく対策を取っていただきたいと考えています。

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◎次回のコラムはこちらから

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【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
攻めの投資を実現する際に最も大切なことは、その1期のみ最大の成果を出せることではなく、持続的に最大限の成長を継続することです。
それを資金面から実現する戦略をデザインします。

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