財務トピックス(コンサルタントコラム)

急成長を嫌う金融機関~売上30億を超えるための財務戦略~

なぜ金融機関は急成長を嫌うのか?

金融・M&A支援部の鈴木です。
メルマガをお読みいただき、ありがとうございます。
 
皆さん「売上の壁」という言葉は聞いたことはありますでしょうか?
売上3億円の壁・10億円の壁・30億の壁など。
船井総研では3億の壁、7億の壁、10億の壁、30億の壁をよく例に挙げます。
 
実は成長のおどり場の意味で、よく使われる売上の壁ですが、
実は財務にも成長企業が備えておかないと成長停滞する
ポイントが存在します。
本日は企業がより成長を加速させるための財務戦略のポイントをお伝えします。
 
金融機関には、信用組合、信用金庫、第二地銀、第一地銀、都銀、メガバンク、政府系等があります。
売上3億円程度であれば信用組合から信用金庫が得意なゾーン。
売上10億程度の企業であれば第2地銀や第1地銀が得意なゾーン。
売上30億を超えた辺りからメガバンクとの取引が深まっていく傾向にあります。
 
もちろんその他の要因として
各金融機関ごとに得意な業種業態があったり
支店や担当の得手不得手があったりと様々な変数があります。
 
弊社の会員企業では成長意欲の高い企業が集まっているため、
成長途上の企業の財務支援が数多くありますが、
最近はよく下記のようなことを金融機関から言われることがあります。
 
「事業計画を拝見しましたが、成長が早すぎませんか?」
「一度おどり場(投資を控え利益を積み上げる期)を作ってみてはいかがですか?」
「正直、ちょっと成長に追いつけていないところがあります」
 
上記コメントからわかるように金融機関は急成長を嫌う傾向にあります。
ではなぜ金融機関は急成長を嫌うのでしょうか?
簡単ではありますが、
金融機関の業務フローに基づき解説をしていきます。
 
金融機関はお金を貸し出すことで収益をあげるビジネスモデルですが
無限にお金を貸せるわけではありません。
またお金を貸すだけでは収益にはなりませんので、
貸したお金に利息を付けて返してもらうことが最も重要です。
 
つまり、 シンプルに考えると
①会社を評価する→②稟議を書く→③お金を貸す→④利息付で返済を受ける
という流れ
で金融機関は収益をあげています。
 
まず、金融機関は決算書に基づき会社を評価します。
これを「格付」と言います。
この格付に基づいて、お金を貸し出せる上限や金利などの条件、
貸出方針等が決まります。
 
その後必要な資金に応じて稟議を作成し
承認され、契約を締結することでお金を貸し出すことができます。
そのお金の返済をもって、収益が上がるというモデルです。
 

まずは①から考えてみましょう。

 
急成長しているということは
積極的に投資をしている場合が多く、
利益が薄い会社が多いということが言えます。
利益が薄いということは会社に蓄えられるお金が少ないということ。
金融的な用語で言えば、内部留保に充てるお金がないということです。
そうすると将来的には非常に優良な企業だとしても
短期的には財務の弱い企業に見える場合があります。
その結果、金融機関の格付が低くなり、
融資が否決となったり、借入条件が厳しかったりします。
つまりこの財務が弱い状態で売上だけを追いかけて急成長を続けていると
金融機関はますます融資ができなくなってしまいます。
そのため金融機関としては急成長するより
盤石な財務を作った上で成長してほしいと考える傾向にあるのです。
 

次に②の稟議を書くということについて考えてみましょう。

お金を貸す際に金融機関は必ず稟議を書きます。
その稟議の中には、どんな会社なのか、どんなお金の借り方をしているのか、
今回の融資の資金使途は何か、など
様々な情報を記載しなければいけません。
稟議を書くのは、担当者=人ですので、内容の質に個人差が生まれてきます。
くわえて、銀行員とのコミュニケーションの頻度によっても
稟議の質が異なる場合があります。
 
簡単に言えば、頻繁にコミュニケーションを取っていれば
銀行員も自社の情報をよく理解しているので
実態にあった稟議を書きやすく、
反対にコミュニケーション頻度が低く、自社を理解していないようであれば
担当者のイメージや憶測、濁した表現で稟議を書くことが多くあります。
 
対策としては、
コミュニケーション頻度を上げること
そして個人差を埋めるために、経験が浅い若手や新任担当でもわかるような情報開示を行い、
稟議を作るたための手伝いをしてあげることが重要です。
銀行員も数多くの担当を持っているため、コミュニケーション頻度を上げるという
方法だけでは決して十分ではなく、
担当者に正確に理解してもらい、正しい内容を支店長または本部に伝えてもらうことが重要です。
担当者が理解をしていない中では、
もちろん支店長には正しい情報は伝わりません。
(そもそも支店長まで情報をあげていない担当も稀に存在します)
そのために、適切なコミュニケーション頻度と情報開示を
戦略的に行っていくことが重要です。
 

そして最後に④について考えてみましょう。

通常の約定返済以外に、繰り上げ返済やプロジェクト資金の返済があると思いますが、
自社都合のみで返済のタイミングを決めていませんか?
この”返済”一つでも金融機関との関係性を深めることが可能です。
金融機関には、3月、6月、9月、12月に四半期決算があり、
四半期毎に決算短信を発表します。
つまり、金融機関ではこの四半期決算のタイミングは、
貸出残高を落としたくないという心理が働いており
意外とこの返済タイミングを配慮していない経営者が多く見受けられます。
もちろん金融機関に配慮ばかりする必要はありませんが、
お互いの取引を深めていく上では協力してあげることで
お互い win-win の関係を築くことができます。
 
今回は様々な変数がある中での一部をピックアップして解説をしました。
ここでまとめると、
 
①金融機関格付、②コミュニケーション頻度と情報開示、③金融機関視点が
重要なキーワード
でした。
 
そもそもお金を貸しやすくするために金融機関格付を上げる。
金融機関とのコミュニケーション頻度を上げ、適切な情報開示を通して、
自社をよく理解してもらい良い稟議作成を手伝う。
普段の金融機関取引に自社の中でも金融機関視点を付加することで
戦略的に財務基盤を強化していく。
 
どうだったでしょうか?
 
自社で取り組めているポイント取り組めていないポイントが存在したと思います。
2019年の4月に金融検査マニュアルが廃止され
格付けに重きを置いてきた検査主義の融資スタンスから
実態を理解し、事業性について評価を行い融資をする実質主義のスタンスへと
時流の変化が起きています。
金融機関も変化に追われているこの時流の中では、
今までの時流と最新時流のトレンドを押さえたハイブリッド手法で
財務を強化していく必要
があります。
 
 
そして金融市況が最も厳しいのが不動産融資です。
大手地銀・大手信金による不正融資問題など、
銀行の不動産に対する融資が厳しい目線となり
仕入資金の調達のハードルが高くなっています。
 
ですが、時流が変わり、不動産融資市況が下火の中、
金融機関との関係を盤石なものとし安定経営をされている会社があります。
その会社が取り組んでいたのは

①金融機関目線を付加し格付を上げる
②(他社ではやっていないような)情報開示を行う
③金融機関窓口をCFOにする(コミュニケーション頻度を上げる)

 
というものでした。
 
今回お伝えしている格付・コミュニケーション頻度・情報開示の方法を間違えると
成長の鈍化・停滞させる場合があります。
そのため自己流でやることはあまりお勧めしていません。
 
物事には原理原則(変えてはならないもの)と
時流適応(変えねばならぬこと)
があります。
 
これらを理解するには成功している会社の事例を見ていただき
自社に活用していただくのが一番だと考えています。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

【この記事を書いたコンサルタント】
funaiadmin

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