財務トピックス(コンサルタントコラム)

地銀統合の転機

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また一つ、地方銀行の経営統合が確定した。

長崎県のふくおかフィナンシャルグループと十八銀行である。

 

まずこの2行が統合、1年後にふくおかフィナンシャルグループ傘下の親和銀行と十八銀行が合併し、新銀行が誕生する。

実際はおよそ2年半前に基本合意をしていたものの、統合後の貸出シェアが県内の約8割にのぼるということで、独占禁止法抵触を危惧した公正取引委員会からストップがかかっていた。

今回はおよそ1,000億円の債権を近隣の地銀・信金などに譲渡し、県内シェアが6割強まで低下する目途がついたことで、ようやく審査がおりたようである。

 

長崎県における事業所数や人口は、全国の減少率を上回るペースで減少しており、銀行の本業利益はここ10年で急減している。

年々激化する競争環境に身を置くことは双方にとって得策ではなく、金融庁も経営余力のあるうちに統合し、その余力を地域へ還元することを推奨していた。

 

今回の統合では、重複エリアの店舗削減による余剰人員により、訪問頻度を増やす等のリレーションの強化、情報・専門人材集約による事業承継やM&A支援など、地域に還元されるメリットは非常に多い。

確かに金融機関に限らず各種サービスにおいては適度な競争環境が必要であるが、銀行に自行の存続だけでなく地方存続への貢献が求められている中、多額の債権を譲渡してまで地域の為にこれだけの大きな銀行が手を組んだということは、今後の地銀再編の大きな転機となったに違いない。

 

 

参照:8月24日付日本経済新聞

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【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

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