財務トピックス(コンサルタントコラム)

コロナ後の金融時流に備えて ~中小企業経営者が今知っておくべきこと~(2)

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◎前回の内容はこちら

赤字が続く⇒赤字補填資金としての借入れが出来ない⇒企業の倒産数増加

 この負の連鎖は今は顕在化していない状態です。この状態が一たび顕在化してくると、銀行も引当金(損失)を積む金額が増え、新規融資に関しては慎重にならざるを得ない状況が訪れると言えます。

 日本政策金融庫による資本性劣後ローン制度の拡充などはあるものの、現在の状況を考えると根本的な原因解決とまでは言えず。中小企業にとっては資本での資金調達は相当にハードルが高い状況(オーナー兼経営者からの増資や家族からの出資)と言えます。
 
 ただ、この問題は今現時点では顕在化していない潜在的なリスクと言えるため、中小企業の経営者が危機感を感じるのは少し先の話になります。

 つまり、このような危機的な状況がくるまえに、本業を立て直すことは勿論ですが、これからの銀行との付き合い方をしっかりと準備していかないと、本当の意味でコロナ後の世界を「勝ち残って」いくことが出来ないと言えます。

では、具体的に何をすべきなのかをここからはポイントをお伝えしたいと思います。

銀行との信頼関係を再構築する

銀行との信頼関係を再構築

 前半部分でもお伝えした通り、銀行の再編やコロナによる融資姿勢の変化がこれから起こりうる未来です。
 そのような状況で成長のための融資を受け続けるためには、まずは銀行からの自社の理解度を高めることが何より重要になります。

 銀行は基本的には保守的であり、見えないリスクを過度におそれます。自社のリスクを顕在化させるとともに、どのような対策を取っているのか、数値の見込みとして将来的にどうなるのか、どのタイミングで投資をしていくのか、従業員教育はどのような方針に基づいて行っているのか、財務数値の根拠設定はどのように設定しているのか、細かい点も含めて数値への落とし込みはもちろん、定量的な部分だけではなく、定性的な部分も伝えていくことで、自社の理解度が向上し、融資を受けやすい環境を維持できます。

 また、銀行の再編があれば、これまでとは違う人や違う銀行の背景を持つ人が審査をする可能性もあり、ますます自社の理解度が重要になります。

「この会社は将来性もあり、しっかりしている」
「今は厳しいけど、今後の成長性を考えると大丈夫」
「メインとしてうちの銀行を頼ってきているので、苦しい時は支えてあげないといけない」

など、最終的には人の判断で決定されるために、皆さまには是非この部分を意識していただきたいと思います。
 
 また、今回の転換点をきっかけにぜひ、メインバンクや準メインバンクとしての金融機関の序列も意識していただければと思います。
 何となく意識はしているものの、金融機関の序列がバラバラのケースという経営者は多いかと思います。この序列は資金調達を最大化させるための効果と、業績悪化時に支えてもらうための効果の二つの意味があります。

 資金調達の最大化としての効果としては、メイン、準メイン、その他の金融機関という競争環境を上手く活用することによって融資額を引き上げていくという方法です。融資額を最大化させるために良くみかけるケースとしては、金融機関の数をどんどん増やすという方法です。
 こちらのケースも企業のステージによっては良いのですが、結局は最初の融資金額がほぼ上限金額となりそれ以上の融資を増やしづらくなり、結局は銀行の取引数を増やすという流れになってしまうケースが多いように見えます。

 一方、既存の取引金融機関の借入れを増やすことで量を伴いつつ借入れの質を上げていく方法もあります。
 質とはただ融資を受けるだけの存在なのか、それ以上の存在なのかという点です。融資額が増えてくると銀行からの扱いが変わってくるケースがあります。これまでは担当だけが来社していたのに、支店長がくるようになったり、本部の常務がくるようになったり、場合によっては頭取がくるようなケースもあります。
 これはやはり、銀行からこの先は大事な先だと思われている一種のバロメーターになります。なるべく、既存の取引金融機関の融資量を最大化させることをはじめてください。

 次に、業績悪化時に支えてもらうための効果について少し触れていきます。企業業績は良い時も悪い時もあります。良い時はどの金融機関も必死になって売込みをしてきますが、一たび業績が悪化すると消極的な姿勢になります。

 このような時に複数の金融機関からそれぞれ少ない金額tで融資を受けている状態だと逃げやすい状態と作っていると言えます。特にメインは言い方は悪いものの逃げられないような取引状態にしておくということは非常に重要になります。

 業績悪化時には場合によっては借入返済のストップであるリスケジュールをすべての金融機関の合意を基に進めるケースもあります。
 その際に、しっかりとメインが主導でおこなうような状態にしておかないと話がなかなかまとまらないというケースもあります。そう言ったことがないようにメイン、準メイン、その他の金融機関という序列も今から少しずつ固めていただければと思います。
 
 今回は、今後の中長期的な金融時流を踏まえたポイントをお伝えしました。すぐにはじめられることもありますが、銀行の序列作りなどは時間をかけて行っていく必要もあります。きたるべき時がくるまでに今からはじめていただければと思います。是非、今回のコラムの内容を少しでも実践し、激動の時代を乗り越えていただく一助にしていただければ幸いです。

【この記事を書いたコンサルタント】
竹村 良太

早稲田大学卒業後、地方銀行に入行。8年間の銀行業務では、中小・中堅企業から上場企業まで幅広い法人営業を経験。その後、船井総合研究所に入社。
前職時代は事業性評価・財務分析に基づく融資業務に取り組み、中小企業・上場企業向け融資実績を数多く残す。
経営者に寄り添い「三方よし」の精神で財務コンサルティングの提供を行っている。

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