財務トピックス(コンサルタントコラム)

すぐに結果の出る費用削減 コロナ市況下でキャッシュを生み出す実践論(2)

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前回のコラムでは、
(1)費用削減は事業計画の策定から始まり
(2)費用削減計画は3つの仕分けが重要
ということをまずお伝えさせていただきました。

3つの仕分けとは、

コストを、削ると会社の根幹が揺らぐ固定費(フィックスコスト)、

削ると事業に著しくマイナスに働く変動費(フラットコスト)、

事業推進には重要だが不要不急の変動費(ドライブコスト)

の3点で、この視点で各費用項目が削減可能かを検討していきます。

【表1】ある企業が費用削減を考える場合

前回の内容はこちら

今回は、経費削減計画「策定後」に注意すべき「ヒト」のことについてお伝え致します。

■策定後の注意点 削減は「ヒト」に依存する

最後に具体的な手法が確認できたところで、筆者が実際に現場で上記のような費用削減に関する取組みを進めていく際、これだけは注意してほしいと感じた点に関してご紹介しておきたいと思います。

ずばり、それは「費用削減はヒト(従業員)に依存する」という点です。

お伝えしてきた事業計画の策定、あるいは各種費用の細かな仕訳に関する作業は、おそらく企業の中でも経営陣、あるいは経理財務部門の人間が担って進めるものではないかと思います。
しかし、その計画で定量化したものを実際に現場で実行するのは従業員1人1人であり、ヒトはいくら机上の空論で「削減しなさい!」と費用削減を促されても、感情的な納得感・メリットがなければ動かないという点は、注意しておかねばならないポイントです。

たとえば前述の昨対比▲90百万円の費用削減を達成したような企業で実際に行った取り組みを紹介しますと、

・〇月までに計画通りの削減をすると、▲月に行う従業員の賞与査定に〇〇円の影響(インセンティブの告知)

・経費精算を早く行う従業員に対する、社内日報での「プチ称賛」(懲罰ではなく、できる社員への称賛)

・経費削減を行うことにより、自社のどんな数字に影響が及ぶのかの月次説明会の実施(納得感の提供)

と、社長以下の幹部が、苦心して従業員に対する数値に見えない努力をしていたかを、確認することができます。

なかでも3点目の「月次説明会」は、リーダー以上の従業員全員が会議に集まり、営業には営業利益を、総務には販管費のそもそもの水準感を、工務には原価と案件ごとの採算を…と、役割に応じた数字の伝え方を心がけて運営したことにより、より感情的な納得感や「自分が努力して会社にプラスの影響を与えることができている」という実感を与えることに成功していました。

事業計画・費用分析は「現場で使って一人前」です。
筆者もついこの仕事をしているがゆえに、作ることに力を入れすぎていつの間にか目的を見失ってしまう…というミスをしてしまったことがありますが、それではせっかくの自社の羅針盤が無用の長物になってしまいます。

ぜひ、有事である今だからこそ一丸となって、強く第1歩を踏み出してほしいと考えています。

■まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、先行き不透明な市況の中で足元の資金繰りも自社の努力で改善していくため、費用削減に関する具体的な手法に関してお伝えしてきました。

ただし、こうした打ち手は短期的な施策であり、本質的には資金繰りを圧迫する借入返済に関して手を打たなければ意味がありません。
なぜなら、費用が原因で一時的に赤字になっても、手元に現預金があれば日々の経営には影響がありませんが、借入の返済が滞ると資金調達そのものが困難になるためです。

だからこそ、費用の見直しを進めつつも、やはり借入返済が関係する指標を優先的な指標として据えていただければと思います。
一方で現在の市況下にあって、マーケティングや営業のギアを踏みつつ、更に資金繰りや計画策定を両軸で考える時間はやはりない!というのも確かです。

今回の情報を踏まえて実践に興味を持たれた方は、是非、弊部までご相談ください。
3月以降、資金繰りや経費削減に関するご相談に多数応対させていただくなかで体験した情報を元に、各種の悩みを解決する一助になることができればと考えております。

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【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
攻めの投資を実現する際に最も大切なことは、その1期のみ最大の成果を出せることではなく、持続的に最大限の成長を継続することです。
それを資金面から実現する戦略をデザインします。

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