財務トピックス(コンサルタントコラム)

財務コンサルティングの現場から~経理・財務の管理部門における課題とその特徴16連発(3)

前回、財務管理における課題の
 4)将来のキャッシュの計画を立てていない。<いくら現預金を貯めるか計画していない>
 5)将来のキャッシュポジションの計画を検証していない<計画との差を検証していない>
 6)投資、事業計画を反映したB/S計画を立てていない<将来の資金調達力を把握していない>
 7)自法人が持っている資産・負債の把握が出来ていない<不動産・保険・リース・借入・手形>
 8)将来の経営幹部に上記を引き継げる仕組みが出来上がっていない

についてお伝えさせていただきました。
 
前回の内容はこちら
 
今回は経理課題における課題の
 1)勘定科目や仕訳が独特のルールで行われている<正しい経理処理>
 2)試算表の数値をそもそも見ていない<「試算表作成は3か月に1回だけ」など。>
 3)試算表作成まで締め日から1か月以上かかる<場合によっては2か月、3か月後>
 4)部門別の損益管理体制が組みあがっていない。

についてご紹介します。
 
 
2つ目の経理管理については、様々な企業様にお伺いさせて頂くと存外課題というものがあるのだなと感じる部分が多くある部分でした。
 
ここからはご支援の中で出会った事例も踏まえてお伝えしていければと思います。
 

2-1)勘定科目や、仕訳が独特のルールで行われているケース

少し脇道からお話を進めますが、「中小企業の決算書の数字は信用するな」という言葉があります。
 
これは別に中小企業の経営者は、常に悪意を持って銀行から資金調達しやすいように決算書の数値をコントロールしているという意味合いではなく、中小企業は監査が義務づけられておらず、オーナーが経営者であることが非常に多いため、法人と個人の会計がほぼ同等としてみることが出来るという側面があるからと考えられます。
 
実際、ご支援先の決算書を拝見している中で「買掛金」の勘定科目に月々の請求書の届くすべての支払いが計上されていたり、数千万円の営業赤字が発生している企業で内実役員報酬が1億円ほど計上されていたり、仕訳の不明なものについてはとりあえず雑費に計上を行っていたりと、勘定科目を見ただけでは正確に企業の実態を把握しにくい処理が行われているケースなどがあります。
 
また、月次決算(試算表)を作成するにあたって、正確な試算表の作成のために請求書の到着を待つため、試算表を作成するのに2か月ほどかかるというような企業様もいらっしゃる一方で、仮当てでの数値を入れこんで、とにかく素早い月次決算を作成することを意識するという企業様もいらっしゃいます。
 
こういった会計に関わる部分については、各企業様ごとに特徴があるように感じています。
 

2-2)試算表の数値をそもそも見ていないケース
3)試算表作成まで締め日から1か月以上かかるケース

 
日々のご経営の中で毎月の経営結果を表す試算表ですが、時々「試算表をお見せ頂けますか?」とお伺いした時に、「いや、うち試算表を特に出したことないんだよね。」と回答をいただいたことがありました。
 
その社長の場合、手元の自分用の売上、粗利の数値を経営指針として使用しており、試算表については四半期に一度ほど、税理士の先生から上がってくる資料という程度の認識でした。
 
B/Sの見方まできっちりと抑えているのが理想ですが、手元のご資料と合わせて、会計上の利益についてもしっかりと認識を行う意味でも、月次決算を早め早めに行っていくことで、実際の決算を迅速に作成する意味でも試算表の重要性を意識意識することが大変重要になります。
 

2-4)部門別の損益管理体制が組みあがっていないケース

部門別の損益管理について、記憶に新しいのは複数事業を展開されており、直近の業績が傾いた時期があった企業様で、当時のメインバンクから「結局、部門ごとに儲かっているのかどうかが分からないとご支援がしにくい状況になってきている」ということを言われたケースがありました。
 
実際にその企業様では、新規事業を非常に速いペースで展開しており、それぞれの収益が取れているのかどうかが非常にわかりにくくなっていたことが課題としてあげられておりました。
 
これは一つ極端な例になってしまっていますが、部門別でしっかりと事業が収益をあげられているのかどうか。店舗別でどの店舗が収益性が高いのかどうか。ということを把握することは非常に重要です。
 
一方で、他の企業様で見た事例で言えば、部門別の損益を既存の会計ソフトで導入しようとおもうと、それまで1本で行うことの出来ていた仕訳を10近くの仕訳に分解せざるを得なくなり、エクセルを併用しながら、部門別の損益を作り上げていたというケースもありました。確かに部門別での会計を行っていくにあたり、「手間」というコストはそれまで以上にかかってくると感じます。
 
次回は経理管理における課題の
 5)紙の帳簿で記録を行っているため、データ分析が行いにくい。
 6)管理帳票に過去入力したデータを2度、3度入力する必要がある。<システムで出力不可>
 7)人材が「経理」専任ではなく、「総務」「労務」等を兼任し、忙しすぎる。
 8)業務改善を進めるにもそもそも他の事例を知らない。

についてご紹介します。
 
 
次回の内容はこちら

【この記事を書いたコンサルタント】
石田 知大

関西学院大学出身。法学部を3年飛び級で卒業後、同経済学部へ編入、財政・金融システムを専攻。
卒業後は船井総合研究所に入社。
異業種からの新規参入、調査分析に関するコンサルティングに関わり、現在は財務診断・改善の提案や成長のための事業計画、財務管理体制の構築といったコンサルティングテーマに従事している。
現場に入り込んでの実態に即した実務の改善や、誰にでもできる仕組み作りの提案などに重点的に取り組む。

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