財務トピックス(コンサルタントコラム)

財務コンサルティングの現場から~経理・財務の管理部門における課題とその特徴16連発(2)

前回、財務管理における課題の
 1)そもそも財務についての理解が進んでいない<何をすればいい?>
 2)事業計画を立てていないまま営業を進めている<将来の利益目標がない>
 3)事業計画の予実を検証していない<計画を立てっぱなし>

についてお伝えさせていただきました。
 
前回の内容はこちら
 
今回は財務管理における課題の
 4)将来のキャッシュの計画を立てていない。<いくら現預金を貯めるか計画していない>
 5)将来のキャッシュポジションの計画を検証していない<計画との差を検証していない>
 6)投資、事業計画を反映したB/S計画を立てていない<将来の資金調達力を把握していない>
 7)自法人が持っている資産・負債の把握が出来ていない<不動産・保険・リース・借入・手形>
 8)将来の経営幹部に上記を引き継げる仕組みが出来上がっていない

についてご紹介します。
 

1-4)将来のキャッシュの計画を立てていないケース

結論としては、資金繰りの予定表を立てる・・ということだとご認識ください。
 
「将来キャッシュの計画を立てる」とは、例えば、半年後、1年後にどれだけの現預金残高を持っているのか?という予測を立てることです。
 
この計画を立てるためには事業の売上・入金・支払・仕入・投資・借入金の返済・資金調達といった複数の項目を盛り込まなければ、なりません。そのため作成には、少し根気が必要になります。
 
更に、事業規模が拡大基調の企業や、複数事業を並行して行っている場合、複数法人を経営している場合、お金の出入りが予測しにくい業界(建設・住宅・不動産業界・大手の取引があり手形取引の多い企業・補助金がかかわる業種)などは、特にこの将来キャッシュの計画を立てることが難しくなるかと思います。
 
まずは、過去の傾向を掴む意味でも、資金繰り実績表を作ってみることから始めることがこの将来キャッシュの計画を立てる第一歩目になります。
 

1-5)将来のキャッシュポジションの計画を検証していないケース

先ほどの1-3)の内容に被っている部分は多かれ少なからずありますが、将来キャッシュの計画を立てるそもそもの目的は、「将来時点での現預金を把握する」ことにあります。
 
これを行う理由として「投資を行うために必要な資金を手元に貯める」こと、「現金水準を一定量確保しておけるか把握することで、資金ショートのリスクを最小限にとどめる」こと、「資金繰りを行う中で、いつ資金調達を行えばいいのか把握する」ことなどがあげられます。
 
これらをを達成するために、将来時点の現預金を把握する上で、この計画は常に最新の情報をもとに最も高い精度での予測を行わなければなりません。
 
そうしたとき、毎月ベースでも計画を修正していく必要があります。
その方法論として1-3)にある3ステップを実践していくことが大切になります。
 

1-6)投資、事業計画を反映したB/S計画を立てていないケース

資金調達を行った際、投資を行った際にはB/Sが変化します。
投資を行うまで、財務状況が良好であった企業でも、投資後も同様に財務が健全であるとは限りません。
 
もし財務が健全で無くなった場合、例えば次の積極投資を行いたい時、例えば投資した事業の追加の運転資金が必要になった場合など、新たな資金調達が円滑に行いにくくなるケースがあります。
 
つまり、事業の存続や持続した成長を求めるのならば投資時に考えるべきことは、投資後も財務の痛まないB/Sになるかどうかの検証することです。投資時の事業計画において、P/L、B/S、CFそれぞれへの影響を踏まえた事業計画を組み立てることが、財務的には必要になってきます。
 

1-7)自法人が持っている資産・負債の把握が出来ていないケース

もちろん、業種柄固定資産を持っていない企業様であれば話は変わってきますが、ここであげる不動産(土地・建物)・保険(簿内・簿外)・リース(簿内・簿外※リース会計の変更により、今後は全て簿内へ)・借入・手形などの把握が為されているかどうかは自社の財務を管理する上で重要な要素を占める部分であります。
 
特に不動産については、遊休資産が無いかの把握や、評価額と担保価値の把握を行うかどうかも合わせた理解を行っていくことが非常に大切です。多くの法人ではここの管理を精緻に行うことまでは手が回っていないという実感があります。
 
ぜひ謄本を取り寄せて管理表に落とし込むことをおすすめします。
 

1-8)将来の経営幹部に上記を引き継げる仕組みが出来上がっていないケース

よく、上記の部分などを含めて「金融機関出身者や、税理士の先生にお任せしているから財務についての心配はないよ。」「そもそも立ち上げから社長としてやってきていて、全て頭の中に資金繰りは出来上がっている。」といったお声を聴きます。
 
実際、資金管理体制の構築でご支援をしていたあるハウスメーカー様でも、社長が「んー、5月。なんか5月がやばい気がするんだよなぁ。」とおっしゃっていたことがあり、ご支援の中で資金繰りの予定表を各物件ごとの収支を入れ込んで作成していくと、まさに5月10日を過ぎたタイミングで、手元現金がギリギリのラインであったということがありました。
 
このような創業社長の頭の中にある資金繰りの精度の高さは、正直我々コンサルタントでも舌を巻くばかりです。
 
ただし、この頭の中にある、という点については、課題として認識すべきでしょう。
 
中小企業では内部に財務を見ることのできる人間が少なくとも2人は存在していることが必要不可欠だと考えています。
 
そこには内部監査的な意味、非常時のリスク回避の意味などもありますが、企業活動を継続する上で、営業活動やマネジメント同様に、財務も引継ぎを行う必要があるからです。
 
そうすることで、社長は更に企業を発展させるための取り組みに従事することが出来るようになります。
 
つまり、財務を見ることが出来るようになる為に必要なことは、今回の1-1)~1-7)までの内容をきちんと可視化した形で帳票を作ってその帳票を使って判断を行っていくことです。
 
1-1)~1-8)までの各項目が、財務管理における各企業様における課題や論点となってきます。それぞれ項目で出ている課題はズバリ以下2点に集約されます。
 
(1)財務という分野がどのような形であれ可視化されていないこと。
 
(2)それぞれの経営結果を検証して予測精度を高めること。

 
「経理と財務」については、簡単な色分けとして経理業務が企業活動の過去を記録し、財務業務で企業活動の将来を描くという分け方が出来ます。
 
こういった財務を管理する際は、将来をどう可視化するかということを念頭に置いて取り組まれることが非常に大切になってくるのではないでしょうか。
 
 
次回は経理管理における課題の
 1)勘定科目や、仕訳の仕方が独特のルールで行われている<正しい経理処理>
 2)試算表の数値をそもそも見ていない<「試算表作成は3か月に1回だけ」など。>
 3)試算表作成まで締め日から1か月以上かかる<場合によっては2か月、3か月後>
 4)部門別の損益管理体制が組みあがっていない。

についてご紹介します。
 
 
次回の内容はこちら

【この記事を書いたコンサルタント】
石田 知大

関西学院大学出身。法学部を3年飛び級で卒業後、同経済学部へ編入、財政・金融システムを専攻。
卒業後は船井総合研究所に入社。
異業種からの新規参入、調査分析に関するコンサルティングに関わり、現在は財務診断・改善の提案や成長のための事業計画、財務管理体制の構築といったコンサルティングテーマに従事している。
現場に入り込んでの実態に即した実務の改善や、誰にでもできる仕組み作りの提案などに重点的に取り組む。

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