財務トピックス(コンサルタントコラム)

ドラッグストア業界、調剤業界の業界動向(1)

皆様こんにちは。船井総合研究所金融・M&A支援部の堀口です。
 
企業の成長を加速させるためには「財務戦略」というテーマは切っても切り離せないテーマになっています。
皆様は「自社の財務」をどのように理解し、言い換えるのであればどこに着目し、決算書を銀行に説明していますか?
 
会社を成長させるにあたって「投資」というのは必須ですよね。
上記の代表例で言えば会社を買収するM&A、土地の購入、建物の購入、その他・・・・etc
 
しかし、投資を行うという事は銀行の協力も必要でありそもそも財務状況が悪ければ銀行は融資をしてくれない可能性があります。
「投資」は、「財務戦略」ありきという事が言えるでしょう。
今回私のコラムでは「財務の安全性」「成長戦略」という2点に絞って企業を見ていきたいと思います。
 
私自身が業務で調剤薬局業界、ドラッグストア業界に携わらせていただくことが多いことから今回は同業界の企業を何社かピックアップして見ていきたいと思います。
 
代表的な企業としてドラッグストア業界2社、調剤薬局業界2社を紹介したいと思います。
 
まずドラッグストア業界の代表的な例として「無借金経営」を続けるマツモトキヨシホールディングスと「積極的な規模拡大」を続けるウエルシアホールディングスを紹介したいと思います。
 

マツモトキヨシホールディングス

まずはマツモトキヨシホールディングスから見ていきましょう。
 
同社は関東圏を中心に全国に1,600以上の店舗網を敷き、グループ従業員数は14,000人を抱える大企業です。
船井総研ホールディングスは従業員数が約1,000名なので弊社の約14倍の人数を雇用しているということになります。
規模拡大路線からは一線を置き、都市部の一等地を中心に張り巡らされた他者を圧倒する包囲網が同社の最大の強みであることは明白ですね
 
まず「財務の安全性」というところで代表的な指標である(1)自己資本比率(2)他人資本への依存という2点に絞ってみていきたいと思います。
 
まず一つ目の指標である自己資本比率は驚異の65%。毎期しっかりと利益を蓄積しており、純資産を積み増している。
磐石な経営をしているということが言えるのではないでしょうか。
 
もう一つ安全性を見る指標として、他人資本への依存というところをピックアップしたいと思いますが、同社の凄さは「無借金経営」であり他人資本への依存はありません。
ドラックストア業界の「アマゾン」ですね。
 
「無借金経営」というのは普段、銀行の方とお会いすることが多い我々としては本当に衝撃的です。
「無借金経営」が可能な一つの理由として、CCC=(Cash Conversion Cycle:キャッシュ・コンバージョン・サイクル 企業が原材料や商品仕入などへ現金を投入してから最終的に現金化されるまでの日程を示し、資金効率を見るための指標 小さいほど資金効率が良い)が約2週間という数字であり現金化が早いということも一つの理由です。
 
規模がどれ程大きくなっても現金化のサイトが苦しくなると、それに伴い借入金が増加し、資金繰りが厳しくなるという資金繰り償還の状況になってしまいます。
 
中小企業は規模拡大にあたってここの要因に苦しんでいるケースはよく見かけます。
この仕入から現金化までのサイトを意識しながら規模を大きくしていくということは中小企業にとってもしっかりベンチマークをしておかなければなりません。
実際、海外資本が入ったSHARP等のようこのようなケースに陥っていることが多く見受けられます。
 
「成長戦略」としては同社は特に自社での化粧品等のPB商品の開発に力を入れています。
磐石な財務であるからこそ、自社での開発にも注力できるということが言えるのではないでしょうか。
更にPB商品を扱うことによって他社に知名度という部分でも差別化ができています。
 
同社は「無借金経営」であり、当然ではありますが銀行からの借入余力は存分にあることが想定され、同社がグループとして銀行と連携してM&A戦略を展開していくと仮定した場合、業界を大きく揺らがせることも可能です。
まさに脅威です・・・
 
財務が良いということは成長戦略の選択肢の幅が広く、切れるカードの枚数も豊富。
業界トップに戻る日もそう遠くはないだろうと私自身は感じます。
 

ウエルシアホールディングス

続いて同業であるウエルシアホールディングスを見ていきたいと思います。
競合他社と違い同社は「ドラッグ&調剤・カウンセリング・深夜営業・介護」を行っています。
同社は顧客の様々なニーズに応えるため、「かかりつけ薬局」のコンセプトを掲げて調剤併設型のドラッグストアの店舗進化を進めておりドミナント戦略を積極的に展開していっています。
 
「財務の安全性」という観点で見ていくと同社も銀行からの借入が他社に比べて少なく、自己資本比率も44%と高水準を維持しています。
上記のマツモトキヨシホールディングス同様、借入に依存しすぎることなく店舗出店を行い、きちんと利益を出している状況です。投資した店舗が収益化するのが早いということでしょう。
 
私の感覚ではウエルシアは不採算店舗を閉めるのも早い印象があります。
ここも財務を大きく毀損しない一つの要因であると思います。
業績が良くない店舗の営業を維持していくには自己資金、銀行からの借入金が必要になってきますよね。
そうなる前に店舗を閉める。これは中小企業も見習う一つのポイントであると思います。
ここまで出店戦略を行いながら「財務の安全性」も保っている、これも非常に驚異的です。
 
「成長戦略」としては同社は積極的なM&Aを実施していますが、マツモトキヨシホールディングス同様、銀行と連携をしながらM&Aを行うことによって爆発的な規模拡大も大いに考えられます。
 
今後もドラッグストア業界の規模拡大が見込まれる中、同社がツルハドラッグを逆転するのか動向を注視していきたいと思います。
 
 
次回は調剤業界ついてご紹介します。
 
次回の内容はこちらから

【この記事を書いたコンサルタント】
堀口 拓矢

地方銀行に入行後約2年半、中小企業向けの融資営業に従事。
500社以上の中小企業のオーナーと相対し、多岐にわたる課題に対して、顧客目線での解決に向けたソリューション提案を行ってきたことが強み。常に経営者目線を追及し、経営者とともに成長することを信念としている。現在は前職での財務の知識を中心に、経営者と同じ方向性を見ながら企業の成長過程をバックアップしている。

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