財務トピックス(コンサルタントコラム)

ドラッグストア業界、調剤業界の業界動向(2)

前回、ドラッグストア業界についてご紹介させていただきました。
 
前回のページはこちら
 
次に調剤薬局業界に目を移してみたいと思います。
 
首都圏を中心に全国展開を進める業界3位の調剤薬局チェーンであるクオールホールディングスは、創業から一貫して医療機関とのマンツーマン体制による出店戦略を推進しており独自の勝ちパターンを確立しています。
個人的な話にはなりますが私もよく利用させていただいています。
 
「財務の安全性」という観点では自己資本比率が20%台で推移しており、積極的なM&Aを展開していっていることから他人資本(銀行からの借入)が多いという状況です。
 
ドラッグストア2社と違い、銀行の借入を積極的に利用しているのが大きな特徴と言えますね。
ただ先行投資という観点でいえば、財務が良い状態だからこそ借入を可能にしたということが言えるかと思います。
 
同社の「成長戦略」としては異業種との提携等による出店に力を入れており、LAWSONとの提携による「コンビニエンスストア併設型調剤薬局」で街ナカ展開を行い、家電量販店大手のビッグカメラとの連携による駅チカ展開を行い、更にはJR西日本グループとの業務提携による「駅クオール薬局」といった駅ナカ展開も進行中です。
 
こういった業界初の取り組みである異業種とのコラボにより、他社にはない形で店舗網を拡大していっています。
 
独自路線をいくというよりは調剤業界はこのようにコンビニエンスストアであったり、大手家電販売店と連携しているケースをよく見かけます。
いかに名前があるところと連携して自社のブランド力を上げていくか、今後はこの競争が更に加速していきそうな気がします。
街ナカ、駅チカ、駅ナカといった店舗の更なる収益化が今後の同社の命運を担いそうですね。
 
 
それと似たようなビジネスモデルを展開する会社をもう一社紹介させていただきたいと思います。
 
「地域医療」と「非調剤店舗」の拡大をキーワードに東京、名古屋、京都、大阪、北海道を中心にM&A事業を展開しているファーマライズホールディングスです。
 
持ち株会社体制を敷き、北海道から沖縄までを各事業会社がきめ細かく運営している点に特徴があり、特に北海道の地盤は底堅いです。
ドミナント展開の推進と非調剤事業の拡大に重点を置いています。
ヤマダ電機、ファミリーマートと業務提携を行う等、積極的な事業展開が光っています。
こちらは上記でも例として挙げたクオールホールディングスと被る施策ですね。
 
課題としてはドラッグストアやコンビニエンスストアは採算途上にあり収益は当初想定より伸び悩んでいることであり、買収した店舗のテコ入れによる収益力の強化が課題とされています。
 
そのため自己資本比率が低く、借入に対する依存も上記に例として列挙させていただいた2社よりも高く、経営基盤が決して盤石であるとは言い切れないとは思います。
 
積極的にM&A戦略を展開していっていることから総資産に対する借入の割合は他社より高い状況になっており、買収店舗等の早期での収益化は今後の同社の大きな課題だといえるでしょう。
 
最後に少々特例としてご紹介させていただきたい企業があります。
 
調剤薬局業界の大手である日本調剤です。
国内に約600店舗を展開し、売上高は今年3月の着地では2,000億円超で東証一部に上場している大企業です。
 
上場当初は売上高が260億円、経常利益が6億円、店舗数は25という規模であったもののこの15年で売上高が1,800億円、経常利益を100億円と急激に規模拡大を行い、600店舗を保有する大企業になりました。
 
まず「財務の安全性」では自己資本比率が22.2%であるものの、積極的な出店による規模拡大を行ってきたことから決算書を見ていても借入が少し高くなっています。
 
彼らが上場した一番のメリットは資金調達手段が格段に増えたというカードを手に入れたことでしょう。
実際2015年には自己資本比率は15%を下回っていたものの、エクイティーファイナンスをうまく活用し投資戦略、拡大戦略の資金に回し更に拡大スピードを速めていきました。
上場するメリット=資金調達というところでは一番恩恵を受けているように感じます。
 
こういった企業にも様々な成長戦略があり、結果としては現在のような状況になっています。
「成長戦略」という意味では店舗網を拡大し、会社を大きくしていったという印象でしょう。
 
上記から言えることはやはり成長戦略を掲げる意味でも財務戦略というのは切っても切り離せないということです。
 
「投資をしたい」と現在考えられている方は明確な基準を設けていますか?
そして投資をした後も会社の資金繰りがしっかり回っていく財務体制を構築できていますか?
 
一度専門家に質問してみてもいいかもしれません。
お読みいただき、ありがとうございました。

【この記事を書いたコンサルタント】
堀口 拓矢

地方銀行に入行後約2年半、中小企業向けの融資営業に従事。
500社以上の中小企業のオーナーと相対し、多岐にわたる課題に対して、顧客目線での解決に向けたソリューション提案を行ってきたことが強み。常に経営者目線を追及し、経営者とともに成長することを信念としている。現在は前職での財務の知識を中心に、経営者と同じ方向性を見ながら企業の成長過程をバックアップしている。

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