財務トピックス(コンサルタントコラム)

【重要】「リース」が変わる(2) ~リースを使う社長が今考えるべき財務戦略~

「オペレーティング・リースの会計基準変更で、財務が傷んでしまう会社が急増する?」

日本の上場企業の有価証券報告書が国際会計基準に寄り添うことによって「リースの会計基準変更」が発生し、企業の財務に悪影響を及ぼすかもしれない。そして、ゆくゆくその影響は非上場企業の決算書にも…。

前回はまず具体的なリースの手法を紹介しながら、今まではどのようにリース資産が扱われていたのかについて紹介を行いました。

前回の内容はこちら
https://www.funai-finance.com/topics/190523
 

今回はいよいよ「リースの会計基準変更」により、企業はどのような影響を受けるのか、一方でどのような「適切な準備」をする必要があるのかについてご紹介します。
 

3.リースの表面化で「金融機関が見ている指標」に悪影響が!

【表4】会計基準変更による同社の貸借対照表(単位:百万円)


 
【表4】をご覧ください。こちらは、前回の記事(例2)でオペレーティング・リースを用いて20百万円のマシンを導入した株式会社Cの貸借対照表で仮に会計基準が変更となった場合、何が起きるのかを示したものです。具体的に左右で変更したのは、リース資産・負債を掲載した点だけなのですが、実は企業にとって3つの不都合な出来事が発生します。
 

  • ①掲載により、総資産が「+12百万円」されることで、貸借対照表が大きくなる
  • ②①の影響により、企業の健全性を示し、金融機関が気にする指標の1つである自己資本比率が低下する

(=企業のこれまでの利益蓄積や、財務的な「体力」が以前よりも弱いと判断されてしまう)

  • ③また、負債が突然「+12百万円」されるため、企業の有利子負債への依存度が高まったように見える

(=急に「この企業、お金を借りすぎているのではないか?」という判定をされる可能性がある)
 

非上場企業においては、自社の決算書をこれら3つの指標を用いて毎年評価している金融機関(=資金調達の窓口)からの評価を下げてしまう危険性をはらんでいるのです(上場企業においては、さらに株主からの財務に対する評価も気にしなければなりませんので、その影響はますます甚大であると言えます)。

「そんな!今までやっていたことが明るみに出ただけで、実態の状況は何も変わっていないのでは!?」

と嘆きたくもなります。しかし貴社が日頃融資取引をしている金融機関は、まず決算書の数字の中身を確認することで貴社を判断する決算書主義。上場企業ですら、今後の変更に伴う急激な財務の変化にどう対応するかを悩んでいるような問題であり、いわんや非上場企業をや…なのです。
 

国内会計基準の変更が完了するのには最長で2年程度を要するという意見もあり、非上場企業への直接的な影響が発生するのはもう少し先とも言われています。一方で、明日突然にリースの会計基準が変更になったからと言って、そう簡単に「では、リースを全部やめます!」と決断することも到底できるものではありません。来るべき”リース変革時代”に向け、非上場企業においても適切な準備が望まれます。
 

〇リース取引を資産計上 会計基準変更、国際標準へ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42159400X00C19A3MM8000/

(2019年3月7日・日本経済新聞電子版より引用)
 

【対策】勝てる会社は「見方と見られ方」を知っている

今回は、国際会計基準の「リース」の計上方法変更に伴う流れの中で、国内企業の財務内容が急に変更され、株主ならびに金融機関からの評価がガラリと変わってしまう危険性と、そうならないように今のうちから変更点に関して十分に理解をしておくこと、そして適切な準備を取ることの重要性をお伝えしました。では最後に、今回の問題に対する「適切な準備」とは一体何なのでしょうか。それは、端的には以下のチェックリストに集約されるのではないかと考えております。

【Check!】

□常日頃から、自社の決算書の内容・財務指標を把握しており、異常値のチェックができる体制がある

□損益計算書だけではなく貸借対照表を有効に活用して金融機関や社内と財務の話ができる

□リース取引で毎月いくらのリース料を支払いしているか管理し、キャッシュフローとの比較ができる

□そもそも、キャッシュフローの考え方を理解し、投資やリースを行う体制がある

□社長はもちろん、経理・財務責任者(CFO)となる担当がおり、財務を専任で管理できる

金融機関から、自社が財務的「格付」にてどのように判断されているか、理解できている

□「あと、どの程度投資しても財務が大丈夫なのか」を答えることができる(=指標を知っている

皆様の場合は、どの程度当てはまることができたでしょうか。なかには、記載してある内容がいまいちわからない、という方もおられるかもしれません。しかし、これらは全て自社を知り、相手(金融機関や、社内外で貴社の財務を判断する人)を知っていること、つまり「見方と見られ方」を理解していること、と言い換えることが可能です。孫氏の兵法に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という名言がありますが、それは財務においても全く同様ということですね。

 

ぜひいま1度、税理士先生から出てくる貴社の「決算書」を1枚1枚紐解き、リース取引の内容がどのように決算に反映されているのかを確認する時間を設けていただけますと、幸いです。その際もし何か不明な点、気になる点があれば、船井総研の「金融・M&A支援部」のコンサルタントも、ご連絡をいただけましたらお手伝いします。

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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