財務トピックス(コンサルタントコラム)

ローソン銀行が三菱商事系より2600億円調達

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ローソン(2651)は5日、子会社で9月10日に開業予定のローソン銀行(東京・品川)が、三菱商事フィナンシャルサービス(東京・千代田)から総額2600億円の借り入れを行うと発表した。運転資金として長期借り入れと短期借り入れでそれぞれ1300億円を調達する。ローソンの2019年2月期の連結業績への影響はない。

ローソンは3月にも、ローソン銀行の運転資金として、三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)とみずほ銀行、三井住友銀行などから1300億円のシンジケートローンの資金調達をすると発表している。

※上記文章は、下記URLより引用。

(2018年9月5日 日本経済新聞記事

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL05HPN_05092018000000/)

 

9月5日の日経新聞に上記の記事がありました。

ローソンは3月に銀行業への新規参集を表明し、これまで銀行業務開始の準備を進めてきました。ATM事業を担っている関連会社、ローソン・エイティエム・ネットワークスを銀行業の設立準備会社に統合し、準備会社の称号を「ローソン銀行」に変更し、8月に金融庁から銀行免許を取得しました。

今回、以前に発表した1,300億円のシンジケートローンの調達の他、三菱商事の資金力を生かして2,600億円を調達し、銀行業の開始に向け事業資源を確保したこととなります。

 

ローソンは国内に約1万4,000店の店舗網を持ち、総売上高は2兆8,000億円を超えるコンビニの大手であり、地方銀行と連係したATMネットワークは1万3,000台に上ります。また、店舗では日用品の購入を始め、公共料金の支払い、各種チケットの購入(Loppi)、郵便・宅配の取り扱い(ゆうパック)、宅配の受取り、保険の取り扱い、旅行の申込み、鍵の受け渡しサービスなど、生活に密着したサービスを多数展開しております。

 

ローソン銀行の細かなサービスにつき全容は明らかになっておりませんが、全国を網羅する店舗網、生活スタイルに密着した豊富なサービスなど、既に保有している生活のインフラとしての機能を鑑みると、ローソン銀行の誕生は既存金融機関にとって脅威のある存在となります。

 

小売業者としては2001年にセブンイレブン(セブン銀行)、2007年にイオン(イオン銀行)が銀行業に参集しております。イオン銀行においては、参入後10年を経て、中小企業に対する貸出残高が既に1兆4,000億円を超える規模となっております。

 

また金融機関窓口としてのリアル店舗を持たないセブン銀行におきましては、既に250億円を超える純利益を計上しております。(メガバンクを含む日本の銀行の中において20位以内に入る規模)
セブン銀行は自前で銀行を運営している為、ATM利用に応じて提携銀行から受け取る手数料収入の利益率が高く、提携行の拡大や海外送金など、独自の判断でサービスの拡大を手掛けることが出来ましたが、ローソンのATMを運営するローソン・エムティエム・ネットワークスは40社以上の共同出資会社である為に手数料収入の利益率が低く、また独自の判断によるサービスの展開に限度がありました。ローソン銀行のスタートにより、独自のサービスを強化することのメリットは大きいものと思われます。

またローソン自体、三菱商事の連結子会社でもあり、三菱フィナシャルグループの金融技術を活用した付加価値のあるサービスの展開について期待されます。

 

ローソンにとって、銀行業の参入は同業他社の大手コンビニであるセブンイレブンの後を追った形になります。先人を行くセブンイレブンは長年をかけてセブン銀行のブランドを確立してきました。

ローソンの日販(1日当たり1店舗売上高)はセブンイレブンに出遅れていると共に、ATMの1日当たり入出金回数も大きく差を付けられております。

ローソンがセブンイレブンとの距離を縮小する為には、差別化のあるサービスを打ち出し消費者を惹きつけることが必要となります。三菱フィナンシャルグループなど、グループ機能を活かした新サービスの展開に期待致します。

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【この記事を書いたコンサルタント】
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