財務トピックス(コンサルタントコラム)

対金融機関 面談の基本マニュアル④

〇対金融機関 面談の基本マニュアル④

金融機関との面談は、立てた資金調達計画を実行できるかどうか、あるいは当面の資金繰りを見通せるかどうかということを左右するため、非常に重要です。

たとえ自社が無借金経営で今は金融機関の世話になっていないとしても、大型の設備投資やM&A・事業承継という転換期を迎えれば、必ずそこに金融機関からの資金調達という選択肢が出てきます。

特に「次回は課長も参りますので」や「支店長の○○がご挨拶に」と、突然金融機関の担当者が上席を連れて会社に来るとなれば、関係性にもよりますが、一体何をしに来るのだろうと気になるものです。

今回は金融機関との面談マニュアルシリーズの第4回として、金融機関の上席が会社に来た場合の考え方やポイントに関して紹介します。
 
(※過去記事にも記載しておりますが、シリーズで紹介しております「金融機関の5大面談パターン」は、あくまで筆者の経験等に基づく分類であり、実際の金融機関面談はより細分化されるべきものですが、あえて分かりやすく大まかなセグメントで分類しております。日々の面談の参考として、お読みください。)
 

〇金融機関の面談5大パターンはこれだ!その

④上司帯同(随行)面談(≒リレーション強化面談)

元銀行員の売れっ子作家・池井戸潤氏の描く銀行員の姿の通り、金融機関は厳しい縦社会で構成され、担当者1人で融資の可否を決めるといったことはまずありません。

課長・支店長、時には本部と順々に「稟議」を通してはじめて、融資先へ金額をコミットできる構造になっています。

ということは、自社が融資を受けた経験があるならば、日常的に顔を出す担当者だけでなく、上司もまた稟議上では貴社を見ているはずです。

しかし、金融機関はいち担当者であっても10~100社程度の新規・既存の顧客を抱えているのが実態。その上司や支店長ともなれば、正直なところ1社1社の理解度は薄くなりがちで、訪問前の理解度は「稟議・訪問記録に記載のある話(決算情報)だけ」という場合がほとんどです。

また、筆者も3年だけ金融機関の営業マンとして働いていた経験がありますが、自分の担当先に上司を連れていく前に渡すものと言えばまず財務データの掲載されている資料であり、事前に説明する内容も決算から読み取れる数字の話が多かった気がします。
 
「では、正直なところ突然来たそんな理解度の低い上司に何を話しても、うちにメリットがないのでは?」

いえ、決してそんなことはありません。数百の融資先を抱える金融機関の上席が、多忙にも関わらず貴社の応接に座っている「裏の意図」とあるポイントを押さえれば、茶飲み話で終了してしまいかねない面談を、資金繰りや財務戦略を絡めた有効な1回に変えることもできるかもしれません。

それはズバリ1回前の面談記録を整理し、今の金融機関との「関係性」を把握するということです。
 
というのも上司が貴社に来社する際は、行事挨拶でもない限り、

何らかの融資・商品販売を上司の経験や知識も交えながら案内を行う推進・深耕系、

稟議・条件を通すにあたり、金融機関内で情報を収集するための調査系、

業績落ち込みや、他行への融資持ち込みなどの異変が起きた際に発生するはずの改善系、

の3つに大別され、その区分は1つ前の担当者面談で如実に分かるケースがほとんどです。
 
たとえば、

「自社は過去○○銀行から借入をしていたが、業績の改善とともに借入が無くなった。以降も担当者がしょっちゅう来ているようだが、最近はうちの経理部長としか面談していない。するとその担当が、次回は支店長とお伺いしますのでと社長アポイントの依頼をしてきた」

というケースなら、次回の上司面談は確実に推進・深耕系ですので、次の面談はこちらが微に入り細に入り情報開示をしなくても、向こうからセールストークが飛び出すことは間違いありません。一方、

「3月の仕入れに向け、長年取引している○○信金にいつも通り融資相談を持ち掛けた。しかし、いつもはスピード感良く書類を持ってきてくれるはずの担当者が、融資の件で少しお時間いただけますか、上司を連れていきますのでという電話をかけてきた」

という場合は、稟議で何かしらハードルを抱え、次は上司と問題点を解決しにやってくる調査系であると想定されるため、こちらも相応に資料や明細を準備し、何を質問されても答えられるようにすることが好ましいはずです。

この場合は、対策さえ練れば逆に稟議を決裁する上司に好印象を与えられるので、融資がスムーズに通過する可能性もあります。

以上のように金融機関が上司を連れてくる際は、いつも以上に向こうが何を考えているかを見透かす良いチャンスになります。
特に1回前の面談は担当者がそのヒントを置いて帰っており、この記録を基に次回の上司面談に備えることが可能になります。

日頃何となく進めているその面談。メモ書きでもいいので、発言記録を取ってみるのはいかがでしょうか。
 

〇まとめ: 担当者と日頃から懇意にしておくメリット

今回は金融機関との面談マニュアル第4回として、金融機関が上司を連れてきたケースを想定しました。

金融機関からお金を借りれば、その瞬間金融機関が債権者、我々が債務者という立場ができるため、常に相手が強い立場にあるような気になります。

一方、金融機関も他の業者と同様に「お金の仕入れ先」であることは間違いなく、自社の財務戦略・資金調達を円滑に進めるために「協力してもらう」という認識は重要です。

また、縦社会の金融機関とやり取りする際に、上の立場の人間をグリップすることは極めて有効に働く場合があり、そのために日頃から密な担当者面談を行い、ポイントごとにやって来る上司同行面談をクリアする必要があります。

自社に日頃来ている担当者の方は何を発言しているでしょう。
それは金融機関都合のセールスだけではなく、彼の上司にもこちらの発言がうまく伝わっているような印象があるでしょうか。

メモ書きの面談記録を並べ、ぜひ1回1回の面談を有意義なものにしていただければと思います。

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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