財務トピックス(コンサルタントコラム)

時代は「サブスク」 売上拡大のための新財務戦略

突然ですが、ここ1年でネット等メディアのなかで「サブスクリプション」という言葉をちらほら見かけるようになったのではないでしょうか。

サブスクリプション、略称「サブスク」はモノを販売するのではなく、モノの利用権を貸し、それを利用した期間だけ期間継続して料金を得るようなサービス形態のことを指します。最近では無形の動画配信サービスに始まり、自動車・衣服などの有形商品にもサブスクの考えを取り入れたサービスが台頭するようになりました。

今や「成功企業の陰にサブスクあり(?)」とまで言えるほどホットなキーワードとなったサブスクですが、皆様は一体なぜサブスクが企業の成長にとってプラスなのかを考えたことはありますでしょうか。今回は財務コラムの執筆者として、できる限り財務の目線から企業の成長戦略を加速させるサブスクについて検証したいと思います。

〇目次

1.サブスクは「強いキャッシュ」を生む 金融機関も大喜びの”ベースCF”とは

2.サブスクは「リマケ」を生む 老舗企業が編み出した売上拡大新戦略

3.【まとめ】お金と絆を生むサブスクを、自社でいかに扱うか

1.サブスクは「強いキャッシュ」を生む 金融機関も大喜びの”ベースCF”とは

モノを販売するだけの通常の取引とは異なり、サブスクは1件当たりの販売単価が小さく「一発逆転、決算期前に一気に売上を上乗せしてやる!」という戦略を描きにくい戦術です。またサブスクは生みの苦しみも大きく、利用者の集団が一定以上にならないことには企業を助けるほどの成長実現の策として使えません。一方、仮にこうした地道な取組みがある段階でブレイクし、一定以上の会員を確保できた場合、企業は一気に「ベースキャッシュフロー(ベースCF)」を積み上げ、流動性の高い企業になることが可能です。

簡単に言い換えれば、企業は「入金サイクルが早く、ある程度確実に入金が見込めるキャッシュを継続的に得る」ことになるので、資金繰りの耐久力は増し、将来の大型投資を見込んでの貯蓄も有利に行うことが可能です。

ちなみに、金融機関目線でも、こうした「強いキャッシュ」は「耐久力」や「入金サイクルの早さ」という点で評価してもらえるでしょう。

金融機関は金融という手法を用いて企業に融資を行い、融資が返済される際の金利が収益源となる組織です。彼らは融資のプロとして多数の指標を分析していますが、何より重要なのは「融資が約定通りに返済されていくかどうか」という点に尽きます。仮に売上が何十億あろうとも、なかなか顧客からの資金回収に時間がかかる業態で、手元現預金が月の売上に対して少ない状態が続くのでは、金融機関も「果たして融資が返済できる会社なのか」とどうしても及び腰になってしまいます。

一方で仮に本業で短期的な赤字や不調が発生したとしても、継続的な副収入がある程度の規模見込めており、手元の現預金も常に月商の1~2ヶ月程度を確保できそうだということがわかれば、金融機関も「返済原資がしっかりとしている」と判断し、融通を聞かせてくれる可能性が高まります。

サブスクは(※先行投資の苦しみを超えれば)、お金の強度を上げるキラーツールなのです。

2.サブスクは「リマケ」を生む 老舗企業が編み出した売上拡大新戦略

ある地方の老舗エネルギー関連企業であるAは、業歴を50年近く積み上げるなかで次第に年商を拡大し、直近では40億円を超える売上を記録、利益もしっかりと確保していましたが、扱う商品が石油などの先物であり、どうしても市況の影響を受けやすいという弱点がありました。

またどんな企業でもありがちですが、自社の「顧客リスト」を整備しておらず、蓄積する決まりもなかったことから、顧客が集まる月には資金が豊富にあるのに、閑散期には資金繰りがやや苦しい場合がありました。

・季節性に左右されずしっかりお金を確保し、年商を上げるためには?
・全くの新規顧客ではなく、これまでの顧客データを有効活用するには?

Aの社長は熟考の末「自社で灯油等エネルギー資源を配送している顧客のデータ」をもう1度精査し、そこに対して継続的な「御用聞き」のサービスを考案し、エネルギー資源配送という接触以外にも、自社と触れ合う機会を作ることを考えました。

人間は合理的に判断できる理性を持ち合わせている一方、やはりどこまで行っても感情の生き物。
顧客も1回よりも2回、2回よりも3回と慣れ親しんだサービスを使うようになり、Aも複数回の接触を試みるなかで今までは思いもよらなかった仕事を受けるチャンスにも恵まれるなど、結果として顧客と「強く」「長く」付き合うことに成功しました。

サブスクとは、単に継続的にサービスを提供して課金収入を得ることという表面的側面だけではなく、自社のファンを増やして紐帯を強くし、今までにはなかったようなマーケティング(リマケ、もう1度同じお客に販売や営業を行う)を可能にする側面もあります。

株式会社Aは、閑散期の資金繰りをこうした新たな取り組みで解決し、今まで借りていた長期借入も、約2年で実質無借金状態にできるようなレベルになろうとしているというから、まさに驚きの戦略です。年商拡大には融資が不可欠という常識も、ある部分で覆るかもしれませんね。

3.【まとめ】お金と絆を生むサブスクを、自社でいかに扱うか

今回はここ数年であっという間に有名なキーワードとなった「サブスクリプション」をテーマに、中小企業がどのようにこの仕組みをとらえ、扱うべきなのか、そのメリット・デメリット・事例をお伝えしてまいりました。

筆者もまだまだこの領域に関しては研究を続けていきたい部分であり、財務と関連して言うならば「借入の返済」にとって大きなプラスに働く可能性の高いサブスクが、新時代の財務戦略として一般化していく可能性もあるのでは…と想像してしまいます。

皆様もぜひ今回のコラムを1つの意見・きっかけとしてとらえ、自社の新たな一手として研究してみてはいかがでしょうか。

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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