財務トピックス(コンサルタントコラム)

逆風下でも持続的な成長を続けるためのたったひとつのコツ

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依然として収束のみえないコロナ禍に加えて、ウクライナ問題といった国際情勢の影響による資源価格高騰等、企業を経営していくうえでの懸案事項が次々と発生している状況で、多くの企業で「いかにして有事のリスクを回避して持続的な成長を続けるか」を考える必要がでてきています。
その手法のひとつとして「経営の多角化」があげられますが、皆様の中でも既存の事業の見直しを進めて新たな事業の柱を作ろうとされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は経営の多角化を進めていくにあたって、どのような手法をとるべきか、また、どのようにすすめていくべきかについてお話をしたいと思います。

経営多角化4つの方法

ひとくちに「多角化」といっても方法は色々とあり、大きくは次の4つに大別されます。

①水平型多角化
②垂直型多角化
③集中型多角化
④コングロマリット型多角化(集積型多角化)

一つ目は、自社の主力事業で培った技術を活かして、関連性の高い市場への新規参入を目指す方法です。(水平型多角化)
これまでの生産技術や生産ライン、市場への流通網や販売網を転用できるため、既存の経営資源を有効活用し、事業展開のコストを抑えられるのが特徴です。
たとえば、自動車の生産技術を応用し、バイクや農機などの市場投入を目指すのがこれにあたります。

二つ目は、既存のサプライチェーンにおける上流工程や下流工程を内包していく方法です。(垂直型多角化)
これは飲食チェーン店が今まで外部へ委託していた「生産」「流通」「加工」といった事業を自社で行っていくような場合です。
生産技術は異なるものの、市場やエンドユーザーは変わらないため、既存事業とのシナジーを活かしやすい戦略となります。

三つ目は自社の主力事業で培った技術を異なる市場や事業領域への参入を目指していく方法です。(集中型多角化)
水平型多角化と似ていますが、参入分野の関連性の高低が異なります。
こちらは想像がつきにくいと思いますが、富士フィルムやオリンパスのように、フィルムやカメラの技術を医療分野で転用していくような場合が該当します。市場はまったく異なりますし、既存製品をそのまま転用することもできませんが蓄積された技術やノウハウといった自社のリソースを活用できます。

四つ目が、商品・市場ともに全くことなる分野に参入していく方法です。(コングロマリット型多角化)
コンビニが金融業に進出するようなケースがこれに該当します。
ほかの方法と異なり、既存の市場・商品いずれも異なる分野への進出になるので他と比較して参入していくリスクは高くなりますが、一方でビジネスモデルのリスクをヘッジするという意味では効果的といえます。

これら4つの多角化の方法、それぞれにメリットデメリットがありますが、特にお勧めしたいのが「コングロマリット型」になります。

なぜコングロマリット型なのか?

コロナ禍に代表されるような社会的混乱が生じた際は業種・業界単位で打撃を受けます。コロナ禍で言えば「旅行」「宿泊」「外食」が代表的なところかと思いますが、同一市場内でのタテ展開をしていく垂直型多角化ではこうした業種・業界単位での不況には対応しきれません。
また、「有事」については社会的混乱だけでなく「技術革新」や「法改正・規制強化」も含んで考えておかなくてはいけません。昨今では目まぐるしい速さで新しい技術・商品が生み出されており、今まで主力だった技術・商品が気づいたときには陳腐化しているなんていうこともめずらしくありません。また、法律の改正や規制強化により従来のビジネスモデルが成り立たなくなってしまうことも良くあります。そこを考えると既存の技術・商品を軸にヨコ展開をしていく水平型多角化も選択肢としてはうまくありません。
不確実性が高く、未来予測の難しい状況の中で経営の多角化を進めるのであればできる限り既存のビジネスモデルと距離のある事業を行うことが有効です。
なので、有事のリスク回避という観点から事業の多角化を進めるのであれば既存の市場・商品と全く異なる分野へ参入していくコングロマリット型多角化が最適解となります。

ただし、既存の市場・商品と全く異なる分野への参入については決してハードルは低くありません。事前に入念なマーケティングを行い、市場参入に伴うコストを正確に把握する必要があります。1から事業を立ち上げていくのはかなりのエネルギーを必要とするでしょう。

そこで活用したいのがM&Aです。
M&Aであれば、既にビジネスとして成立している事業を買収するため、①事業を開始するまでに時間を短縮することができる、②1から事業開始するよりリスクが軽減される、③他社が有している独自のリソースを獲得することができる、というメリットがあります。異なる分野への新規参入に当たっては1から事業を作り上げていくよりも、既に出来上がっているものを活用した方が圧倒的に効率的であり失敗するリスクも軽減できます。
M&Aと聞くとハードルが高いと思われたり、自社とは無縁であると考える方もいらっしゃるかもしれませんが、昨今ではいわゆる「スモールM&A」と呼ばれるような小~中規模の案件も多くあり、年商規模を問わず、積極的にM&Aを活用した経営の多角化により「企業成長」と「安定化」を同時に獲得している企業が増えてきております。
不確実性が高く、未来予測のしにくい情勢においては、いつ次の問題が発生するかもわかりません。今後ポイントになるのはどれだけ機動的に変化に対応していくことができるかです。
皆様におかれましては、M&Aを積極的に活用することでスピード感をもって経営の多角化を進めて頂き、逆風を乗り越えて頂ければと思います。

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逆風下でも持続的な成長を続けるためのたったひとつのコツ

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船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
攻めの投資を実現する際に最も大切なことは、その1期のみ最大の成果を出せることではなく、持続的に最大限の成長を継続することです。
それを資金面から実現する戦略をデザインします。

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