財務トピックス(コンサルタントコラム)

Beforeコロナ時に財務改善を実行した企業の「今」

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新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、および関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、1日も早い収束を心よりお祈り申し上げます。

皆様こんにちは。
船井総研の金融M&A支援部、財務・組織再編チーム・リーダー小松です。

日本国内でのコロナウイルス発生から半年以上が経過しました。
世界経済への影響は現在も続いており、警戒感は拭えませんが、本格的なWithコロナ時代に突入する中で、いかに経済を停滞させないかが議論の中心に移行しつつあります。
いわずもがなですが、日本においては殆どの企業が「中小企業」であり、中小企業によって経済は支えられています。
つまり、今コラムを読まれている皆様こそが、日本経済を支える立場にいらっしゃいます。
とはいえ、中小企業は大企業に比べて経営資源が限られているため、大企業よりも非常事態における影響が大きいことが言えます。

弊社、金融M&A支援部においてはそんな中小企業の経営者の皆様を「Finance面から支える」をモットーに日々、財務関連の情報をご提供しております。
本日は、今年3月7日にオンライン開催しましたセミナー企業様の「その後」について、ご紹介させて頂きたいと思います。

1.2020年3月7日に開催したセミナー概要

約1年半前の2019年1月より弊部にて財務支援をさせて頂いた企業様に、今年3月にセミナーで講演頂きました。まず、その概要について下記内容で触れさせていただきます。

①企業概要と当時の財務状況
関東エリアで空調工事を主とするA社は、創業15期を迎え成長フェーズにありました。
順調に売上は伸び、2018年時点で売上約8億円を達成していたものの、経常利益は約5百万円(同率1%未満)と少し物足りなさを感じていらっしゃいました。
また資金繰りの状況としては、金融機関に対する借入金の返済原資=所謂キャッシュフロー「以下、CF」は約15百万円、それに対して実際の返済額50百万円超と、返済原資であるCFと大きな乖離が生じていました。
つまり返せるお金よりも返さないといけないお金の方が多い状態=資金繰り償還でした。

②取り組まれたこと及び成果
(1)当時の社長の意識
毎月の返済額の負担の重さは感じていたものの、取引有無を問わず多くの金融機関から「お金を借りてほしい」と提案を受けている状況であり、「今の資金繰りに不安は感じていない」というのが本音でした。
ただ、将来投資したい時や何か起こった場合にどうなるのか、といった漠然とした課題は持たれており、弊社に相談頂きました。

(2)実際に取り組まれたこと❶
■現状把握・分析
まずは上記(1)の通り、返せるお金(CF)と返さないといけないお金(借入金の年間返済額)の差異を確認し、その差異の原因分析をしました。
分析の結果、資金繰り償還を起こしている主たる理由は「業績に問題がある」わけではなく「借入の仕方が最適でない」ということが判明しました。

■取組み成果
その結果を受けて適切に金融機関に相談を行い、借入金の年間返済額を約20百万円まで減少させることに成功しました。

(3)実際に取り組まれたこと❷
■利益向上策の立案・施行
当時、毎期大幅増収は遂げていましたが、利益率はなかなか満足のいく成果を得られていませんでした。
理由は明確で、数多くある施工案件毎の採算管理を出来ていないことに起因するものであり、企業の成長スピードに財務の管理体制が追いついていない状態でした。
上記課題を解決すべく弊社サポートの下、個別案件の採算管理の見直しを実施しました。

■取組み成果
取り組んだ翌期には、たった半年で経常利益30百万円(前年同期比約7.5倍)を達成されました。

2.現状

ここまでが、セミナー開催時にお伝えした内容の大枠でございますが、皆様が何といっても気になるのが、その企業の「今」ではないでしょうか。
つまり、Beforeコロナ時に財務改善を実行された企業様がコロナの影響を受けてどのように状態にあるのか、ということかと思います。
弊社としても企業の動向が気になり、2020年8月に取材をさせて頂きました。

結論からお伝えすると、
(1)コロナ影響が直撃した2020年5月期決算でもしっかり経常黒字を確保
(2)現在も何ら資金繰りに問題無い
といった状態で堅調に経営をされていました。

無論、当社においても例外なくコロナウイルスの影響を受けていますが、それでも財務改善後(Beforeコロナ時)同様、資金繰りを過度に気にすることなく本業に集中できる環境が続いていらっしゃるそうです。
勿論、売上が前年比で減少している月はあるものの、損益面ではしっかり黒字を確保し続けているとのことで、個別案件の採算管理の仕組みが上手く作用しているご様子でした。

「コロナ問題前に財務改善を実行しておいて本当によかった。
実行していなかったら、資金繰り・収益性で考えてもかなり厳しい状況に立たされていたと思う。
おかげさまで、こんな時でも銀行としっかり交渉して良い条件で借入もできている。」
と仰っている社長の姿が印象的でした。

3.皆様にお伝えしたいこと

このコラムを通じて、財務改善を「Beforeコロナ時に取り組むべきだった」ということをお伝えしたい訳ではありません。
冒頭でお伝えしたように、本格的なWithコロナ時代に突入し、いかに経済を停滞させないかが今後一層重要となってくる過程において、中小企業が果たすべき役割は非常に大きくなってきます。
コロナとの戦いは長期戦、あるいは共存といったことが叫ばれる中で、どこかのタイミングで財務戦略(財務改善を含む)の立案・施行は間違いなく必要となります。

こんな時だからこそ、目の前の資金繰り手当て=短期的な課題、に目途をつけた企業様においては、Withコロナ時代を生き抜く財務戦略=中長期的な課題、の解決に是非一度、真剣に向き合って頂ければと思います。

今回、新たな試みとして”Beforeコロナ時に財務改善を実行した企業の「今」”と題して、Withコロナを生き抜く企業の生の声をご紹介させて頂きました。
弊部では、本コラムを皮切りに今回と同様のテーマで、様々な企業の「今」を4回シリーズでご紹介致しますので、引き続き楽しみにしていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◎次回、第二弾はこちらから

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アフターコロナの財務戦略
https://www.funai-finance.com/report/finance-after-korona

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【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
攻めの投資を実現する際に最も大切なことは、その1期のみ最大の成果を出せることではなく、持続的に最大限の成長を継続することです。
それを資金面から実現する戦略をデザインします。

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