財務トピックス(コンサルタントコラム)

進化を続けるファクタリングサービス

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皆様は会社経営を行っていくうえで、ファクタリングという手段を用いて資金調達をしたことがありますでしょうか。

ファクタリングというと「高額な手数料をとってお金を融通する怪しい業者」というイメージを持っている方も少なくないと思われます。
たしかに大抵、ファクタリングサービスというのはスピーディーな資金調達方法である反面、高額な手数料がかかります。現代は空前の低金利時代ですが、ファクタリングの手数料を金利に換算すると数十%となることも多分にあり得ますので、経営者の皆様が敬遠するのも無理のない話でしょう。

しかし、そのイメージは前時代的なものかもしれません。AIやWeb技術の発達によってファクタリングサービスも日々進化しているのです。
本コラムでは従来のファクタリングと近年登場したオンライン完結型ファクタリングの違いやメリット等について説明していきます。

1)そもそもファクタリングとは

ファクタリングとは、企業が保有している売掛債権を入金前に売却し資金化する資金調達方法のことです。

銀行等からの融資と比較して、資金化がスピーディーに実現するため、一時的な運転資金の増加などで資金繰りが悪化した場合には魅力的なサービスです。
ファクタリングには大きくわけて2つの取引方法がありますので、以下で簡単に説明します。

3社間ファクタリング
1つ目は「3社間ファクタリング」といい、

(1)ファクタリングを利用する企業(納入企業)
(2)売掛先(支払企業)
(3)ファクタリング業者

以上の3社間で行われる取引方法です。

「3社間ファクタリング」の1番の特徴は、売掛先(支払企業)が同意しなければファクタリング契約を結べないという点です。
この取引方式ではファクタリング業者は直接、売掛先に売掛金の請求・回収を行うことが出来るので、貸倒リスクが低下します。その結果、後ほど紹介する「2社間ファクタリング」と比較して手数料を抑えることが出来ます。

しかし、この「3社間ファクタリング」には大きなデメリットが存在します。
1つ目は売掛先に同意を得る必要があるため、売掛債権の資金化までのスピードが鈍化してしまうという点です。早急に資金が必要であるからこそ、高い手数料を支払ってでもファクタリングサービスを利用しているのに、その恩恵が享受しづらい取引方式だと言えます。
また、ファクタリングサービスというものがまだ日本では浸透していないため、取引企業(今回でいえば売掛先)に自社のことを「資金繰りが厳しい経営が上手くいっていない会社」と見なされる可能性も高く、今後の取引に悪影響を及ぼしかねません。

この「3社間ファクタリング」が1番最初に日本で普及したファクタリングサービスです。そして次にこのようなデメリットをカバーした新しい形のファクタリングである「2社間ファクタリング」が登場しました。

2社間ファクタリング
2つ目は「2社間ファクタリング」といい、

(1)ファクタリングを利用する企業(納入企業)
(2)ファクタリング業者

のみで契約が完了する取引方法です。名前の通り、2社のみで取引可能で、前述の「3社間ファクタリング」と違い、売掛先からの同意が無くともファクタリングを利用できます。

メリットとしては売掛先の同意が必要ないため、取引がスムーズに進み、売掛債権の資金化が実現するスピードが「3社間ファクタリング」と比較して速いという点です。
また、売掛先にファクタリングサービスを利用したことを知られる可能性が低いため、今後の取引に悪影響を及ぼしません。

しかし、この取引方法にもデメリットがあります。
それは、売掛先からの同意が必要ない分、ファクタリング業者の貸倒リスクが高まるため、手数料が「3社間ファクタリング」と比較して、高額になってしまうという点です。

この「2社間ファクタリング」は「3社間ファクタリング」のデメリットをカバーする素晴らしいサービスでしたが、元々高い手数料がさらに高くなるという新たなデメリットが存在しました。
しかし、そのデメリットをもカバーするような形のファクタリングサービスが近年登場しています。

2)進化を続けるファクタリングサービス

「『3社間ファクタリング』だと手数料は比較的安価だが取引先に同意を得る必要があるから、今後の取引に支障がでる可能性もあるし、資金化のスピードも遅い・・」
「『2社間ファクタリング』は取引先に知られる心配は無く、資金化のスピードも速いが手数料が高すぎる・・」

ファクタリングには上記のようなネックがあったからこそ今まで日本では普及しづらいサービスでした。
しかし、新進気鋭のファクタリングサービスはそのネックとなっていたポイントをカバーしつつあります。

その新しいファクタリングサービスの1番の特徴は何といってもオンライン上のみで取引が完結するという点です。
オンライン上で決算書や資金化したい請求書などを送付するとAIによる審査のみで売掛債権の買取が可能か判断するため、最短即日で買取金額が提示され、資金化が可能です。

従来のファクタリングサービスでは、ファクタリング業者に申し込みをしたのち、決算書等の必要書類を持ってファクタリング業者を訪問または出張依頼を行い、直接顔を合わせて面談審査を通過しなければ売掛債権を買い取ってもらうことは出来ませんでした。

例えば自社が地方にあり、近場にファクタリング業者が存在しない場合、長時間の移動が必要であるため、たとえ「2社間ファクタリング」だとしても売掛債権を資金化するスピードは鈍化してしまいます。また、ファクタリング業者の観点から見ても、直接面談を行うのは人件費がかかってしまいます。
しかし、面談不要な「オンライン完結型ファクタリングサービス」なら自社がどこにあろうとファクタリング業者がどこにいようと手続きにかかる時間もコストも変わりません。

オンラインで完結することでファクタリング業者としても人件費などのコストを圧縮することができるため、ファクタリングの大きなデメリットであった高額な手数料を引き下げることが可能になったのです。

3)まとめ

本コラムでは従来のファクタリングと新進気鋭のオンライン完結型ファクタリング についてご説明させていただきました。

ファクタリングサービスは日々進化しており、以前と比較して使い勝手がよく、手数料も低下傾向にあります。ですので、大口契約が急に決まり運転資金が一時的に膨れ上がった時など、“もしもの時”には検討する余地のある有効的な資金調達方法ではないかと筆者は考えます。

しかし、手数料が低下傾向にあると言えども、この低金利の時代、銀行からの融資で運転資金をまかなえるなら、もちろんそれがベストだと言えます。
ですから、日頃から自社の資金繰り管理を徹底して行い、資金ショートが起こらないような財務体質を構築し、ファクタリングサービスはあくまで“もしもの時”の最終手段として活用するようにしましょう。

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【この記事を書いたコンサルタント】
多和田 良喜

国立大学卒業後、船井総研に新卒入社。
大学時代に地方金融の事業性評価融資と収益性との要因分析を研究論文として実施。
金融行政のアカデミックな視点に加え、
営業指導、広告運用、市場リサーチ等マーケティング支援実績もあるため、現場視点を盛り込んだ財務提案が可能。
不動産×事業性評価の企業サポートには定評がある。

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