財務トピックス(コンサルタントコラム)

たった半年間で経常利益7.5倍の粗利管理術~将来の資金繰りに備えて万全の準備をしたA社~

  • 最終更新日/

こんにちは!
船井総合研究所、金融・M&A支援部の小松です。

今日は、先日『1月29日』に配信しました「<事例紹介>将来の資金繰りに備えて万全の準備をしたA社」の続編ということで、引き続き事例のご紹介させていただきます。

前回までの配信コラムでは、「なぜ今、資金手当の準備をしなければいけないのか」、「資金手当の準備の仕方として借入方法の最適化という手法がある」、「それは借入の総額を変えず、毎月返済の必要がある借入と毎月返済の必要の無い借入を分けることで返済額の軽減を図るというもの」といったことをお伝えさせていただきました。

加えて、事例企業であるA社は、財務的なアプローチを用いて利益水準を大幅に改善させたということをお話させて頂きましたので、今回は「実際にA社がどうやって利益水準を向上させたのか」について事例を用いて説明させて頂きます。

■業績を伸ばすための管理の仕組みづくり

結論から言うと、「粗利管理」を徹底されたという一言に尽きます。

「何だ、当たり前のことか」と思われた方も入らっしゃるかもしれません。
ただ本当に、当たり前のことをやり切れている人は少ないのではないか、と私は思っています。

本田技研工業株式会社の創業者である本田宗一郎氏は次のような名言を残しています。

『自分の生き方を強いて言うなら「当たり前のことを当たり前にやる」ってことかな。』

あれほどまでに成功された方が実践していた「当たり前のことを当たり前にやりきること」が如何に重要で、また難しいか。この言葉で分かるかと思います。

翻って経営者の皆様はいかがでしょうか。
基本的に経営者は株主であり、自分の会社という認識のもと当事者意識を持って経営されていることから「当たり前のことを当たり前にできている人」が多いのではないでしょうか。
但し「従業員ではどうですか?」となると、自信を持って「出来ている」と言える方は少ないのではないでしょうか。

何をお伝えしたいかというと「経営者が当たり前に出来ること」という目線ではなく、「従業員が当たり前に出来るようにするためにはどうすれば良いか」という視点で考えていく必要があるということです。そのためには、誰もが「当たり前に出来る」仕組み作りをする必要があります。

A社においては、それが案件別の粗利管理でした。

勿論、A社も無策ではなく、当時から独自のExcelフォーマットで案件別の粗利管理をし、全社員参加の定例会議でも個別案件の状況把握を行っていました。がしかし、それでも低粗利率や採算割れを起こしている案件が発生していました。なぜなのか?それには主に2つの原因がありました。

1つ目は、案件受注に至るまでの業務フローに問題があったこと
2つ目は、原価率の上限は社内で周知されていたものの、従業員の数値意識が低かったことや各案件での金額ベースの仕入・外注費の上限額を各担当者が把握しきれていなかったこと

などが挙げられました。

一見すると、そんな当たり前のことと思えますが、会社全体でやりきるのは容易ではありません。

とりわけA社は、成長フェーズでキャリア採用にも注力されていたこともあり、思うように社長の考えが浸透しきれていませんでした。「受注して売上を伸ばすことが大事」「業務が手一杯だから仕事を捌けばOK」という考えを持つ従業員も存在しました。

問題解決のために、1つ目の原因に対しては、社長主導で受注までの業務フローを見直しすることで解決を図りました。2つ目の原因については、弊社とA社の社長・従業員で「なぜ上手く運用できていないのか」、「どうすれば上手くいくと思うか」の観点で話をし、まずは現場レベルでの様々な悩みや課題を把握することから始めました。

A社における「悩み」「今後どうしていきたいかという意向」は以下の通りでした。

<社長>
【悩み】
(1)案件管理をExcelで実施しており、最新の情報を知りたいと思ったら、データを管理している本社に 出社するか、経理に連絡しデータをわざわざ送ってもらうしか方法がなく手間
(2)案件管理表には色々な情報が詰め込まれすぎていて、知りたい情報を探すのが煩雑
(3)仕入・外注・販売ともに取引先が多く取引条件が個々別々、また工期もバラバラであるため、経理が「損益と資金繰りの予測」を立てるのに非常に時間がかかっている
【意向】
(1)常時、各案件の確認したい内容を「どこからでも」「一目で」把握できるようにしたい
(2)案件の粗利管理は勿論のこと、管理している案件一覧を用いて損益・資金繰りの予測を立てられるような仕組みを導入できないか

<従業員>
【悩み】
(1)Excelでの案件管理のため、外出先で案件情報を取得するためには経理に電話等で確認するしか手段 が無く面倒(経理が不在の場合は尚更不便さを感じる)
(2)原価率の上限は認識しているが、案件にかかる原価の内訳(仕入・外注費)までは把握できていないため、変動増減のある外注費をいくらまでなら使ってよいのか分からない
(3)外出先で業務を捌きながら、新規契約受注や各案件の外注依頼をしたりしているので、その場で確定した内容をわざわざ帰社後に入力するのが手間(案件入力を失念する原因にもなっている)
(4)社長からは、案件毎の入金・支払予定を意識しながら販売先との取引条件交渉や外注先選定を行うよう言われているが、外注先も多く全先の取引条件を覚えられないため、指示通りに出来ていない
【意向】
(1)外出先でも、各案件の情報を取得・入力できる環境にして欲しい
(2)案件情報として、「金額ベースでの外注費の上限額」「案件毎の入金・支払予定」が一目で分かるようにして欲しい

最終的には、上記「社長と従業員の悩み・意向」を踏まえた管理手法を弊社より提案させていただき、その半年後に試算表ベースではありますが「前期比で経常利益7.5倍・金額30百万円」を達成されました。手前味噌ではありますが、社長からは「非常に良かった」との言葉を頂戴いたしました。
現在は年商15億円を視野に入れて事業展開されています。

これまでのコラムをお読みいただき、ありがとうございました。

コラムに関するお問い合わせ・経営相談がございましたら、
下記よりご連絡ください。
https://lp.funaisoken.co.jp/mt/funai-finance/inquiry.html

【この記事を書いたコンサルタント】
小松 靖教

高知県出身。大学卒業後、地方銀行で約9年間勤務。
前職では累計100社超の中小企業を担当、豊富な営業・融資経験を強みとしている。また本部にて外国為替取引や海外取引・進出時の資金調達支援業務に従事した経験を持つなど幅広い金融知識で企業支援を行っている。
「実態を知り、最善策を立案する」をコンサルティングの信条とし、現場に出向き、経営者と密にコミュニケーションを取ることを重視する。常に誠実に、常に真剣に経営者と向き合うコンサルティングを実践している。

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