財務トピックス(コンサルタントコラム)

中小企業信用保険法「危機関連保証制度」改正施行

  • 最終更新日/

平成30年4月1日、中小企業信用保険法が改正施行され、同法第2条第6項危機関連保証制度(大規模な経済危機、災害等による信用収縮への対応)の改正がなされました。

1.概要内外の金融秩序の混乱その他の事象が突発的に生じたため、全国的な資金繰りの状況を示す客観的な指標である資金繰りDI等が、リーマンショック時や東日本大震災時等と同程度に短期かつ急速に低下することにより、我が国の中小企業について著しい信用の収縮が全国的に生じていることが確認でき、国として危機関連保証を実施する必要があると認める場合に、実際に売上高等が減少している中小企業者を支援するための措置です。

2.対象中小企業者次の①、②いずれにも該当する中小企業者が措置の対象となります。

①金融取引に支障を来しており、金融取引の正常化を図るために資金調達を必要としている。

②下記の認定案件(*)に起因して、原則として、最近1か月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれる。

(*)平成30年5月21日時点で認定案件はなし

3.現在の認定案件現在、認定案件はありません

4.保証料率0.8%以内で、各信用保証協会毎に定められております。

5.保証限度額

(一般保証限度額)

普通保証2億円以内

無担保保証8,000万円以内

無担保無保証人保証2,000万円以内

(別枠保証限度額)

普通保証2億円以内※

無担保保証8,000万円以内

無担保無保証人保証2,000万円以内

※危機関連保証と経営安定関連保証を併用する場合、それぞれに対して別枠保証限度額が付与される。

6.手続きの流れ対象となる中小企業の方は、本店(個人事業主の方は主たる事業所)所在地の市町村(または特別区)の商工担当課等の窓口に認定申請書2通を提出(その事実を証明する書面等があれば添付)し、認定を受け、希望の金融機関または所在地の信用保証協会に認定書を持参のうえ、保証付き融資を申し込むことが必要です。

7.今後の動向について

上述の通り、現時点での認定案件はありませんが、今後発生しうるリーマンショック、東日本大震災並みの外部環境の急激な悪化に備えての法改正です。信用保証協会の制度拡充を通じた、セーフティネット機能の強化されたことで、危機事象発生の際にも円滑な資金調達が可能な制度は整っているということができます。

平時においては、保証協会保証付の一般枠と、民間金融機関のプロパー融資をうまく活用し、金融機関とのうまく付き合いリレーションを強化しておき、有事の際にこうしたセーフティネット借入を活用可能であると覚えておきましょう。

無料経営相談
【この記事を書いたコンサルタント】
石田 武裕

政府系金融機関にて10年超、融資営業・審査一体となった業務を経験した後、船井総合研究所に入社。
300社超の企業経営者に対する課題解決に向けた融資営業・審査業務を通じ、多岐にわたる業種の財務分析・審査・金融商品等に関する豊富な知識・経験を有する。
経営者の夢に寄り添いながらも、徹底した現場主義を貫き、企業経営者、従業員とともに汗をかいて支援に取り組むことをモットーとしている。

flag人気の記事
gradeオススメの記事
中小企業が次々と資金繰り改善に成功した究極の資金繰り改善策
expand_less