「人員増」で銀行がカネを貸しにくい理由
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〇「人員増」で銀行がカネを貸しにくい理由
人口減少局面に入っているわが国では、人手不足のニュースが巷に飛び交って久しいです。女性の活躍・外国人材の登用・高齢者雇用等、あらゆる解決策が打ち出されるものの、女性を取り巻く社会環境の改善や島国根性が強い日本人の外国語アレルギーを改善しないことには、そう簡単に問題を解決することはできないだろうと感じます。
またこうした話を中業企業経営という観点で見ると、最近は人手不足を原因とした人件費高騰が経営者の頭を悩ませているようです。ある経営者の方とお話をした際に「広告会社に高いお金を払っても人は来ないし、給料は吊り上がる一方。お手上げだよ」という嘆きをお聞きしたこともありますが、このように長いデフレに迷い込んでいる日本でも、いよいよ頭数の減少という緊急事態に引っ張られ、人件費がじわじわと上昇している様子です。
〇パート賃上げ率、4年連続最高 小売り・外食、人手不足で
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33784500T00C18A8EA2000/?n_cid=SPTMG053
(2018年8月4日 日本経済新聞電子版より引用)
特に記事のなかでは店舗ビジネスである小売・外食業界で、賃上げをしないと人が集まってこない現状が書かれていますね。人を集めないとお店は開けない、でも今まで以上にお金を払わないと人は来ない…大企業ですら頭を悩ませるのですから、中小企業ならなおのことといった具合でしょう。
ここで「そうだ、カネが足りないなら銀行から人件費を借りればいい」と考えた方もおられるのではないでしょうか。だがちょっとお待ちを。貸し手が少ない現在の金融情勢ならば、もしかしたらそんな言い方でも融資が出る可能性もありますが、本来銀行は人員増のお金(人件費)という目的だけではお金を貸してくれませんよ。
「え?でも、この前メイン銀行さんに社員の賞与資金を出してもらったけどなあ」
「いやいや、店舗を新たに出す時に人件費もコミで融資してもらったよ?」
…さて、筆者の発言の真意やいかに。本日はこのテーマで記事にお付き合いください。
〇その人件費は、何に化けるか
銀行は人員増のお金(人件費)という目的ではお金を貸さない。
そうはいっても、銀行の融資メニューのなかには賞与資金という名目の短期融資の仕組みがありますし、店舗ビジネスを展開している企業なら、店舗拡大の際に発生する増加運転資金を出してくれる銀行があります。これでは「ほら、人件費でも銀行はカネを貸してくれるじゃないか」となりそうですね。
いえいえ。実はこうした融資、厳密にいうと以下の通りになります。
★銀行は人件費(=費用・消費されてなくなるもの)ではなく、費用を投下したことによって生まれる新たな「収益」を見込んでしか、融資をしてくれない!
たとえば店舗ビジネス拡大に伴う増加運転資金。たしかに先行投資によって一時的に家賃や人件費が出ていくので融資を受けますが、集客に成功し稼働し始めることで、何年かをかけて投資分を十分に回収できるはずです。たとえば賞与資金。高額の賞与を一括で払うのは苦しいので借入を行うわけですが、半年もすれば賞与を払った社員一同が頑張って賞与分のお金(営業収入)を取り返してくれるはずです。銀行は、こうした投資計画、返済計画が理解できる人件費にしか、基本的には融資を行いません(※資金繰り支援融資、業績不振の際の救済措置など、一部に例外あり)。つまり、人件費が会社のどんな利益に化けるのか、どの程度の期間をかけてペイされるのかを伝えることが、ここでの最大のポイントです。
・人手不足感があるので新卒を入社させた。人件費が増えたのでお金を借りたい
(=で、新卒は何年で使い物になる計画で、いくら稼ぐのか?)
・成功報酬型の給与体系にしている。今月は大口の案件が多かったので人件費が高い。お金を借りよう。
(=成功報酬にするのはいいが、果たして収益対比その報酬額は妥当なのか?)
これでは、先の返済原資となるものが見えづらく、金融機関にしても「いったい、どうやってカネを返すのだろうか」と二の足を踏んでしまうわけです。
いかがでしょうか。貴社は、きちんと金融機関に人件費について投資・返済計画まで織り込んだうまい融資交渉ができているでしょうか。極めて金融機関のために、金融機関に寄り添った考え方を「してあげる」わけですが、実際に弊社のご支援先で、この考え方を活用してうまく融資が引き出せた事例もありましたので、一度振り返っていただくと良いかもしれません。
〇まとめ:人件費も一種の「設備投資」
今回は、国内で広がる人手不足や人件費高騰の問題を話のタネに、金融機関とのうまい人件費関連の交渉方法に関してお伝えしました。ハイテク設備や最新鋭の医療機器とは異なり、こと「ヒト」というのは採用費をきっちりかけたとしても、その社員が具体的にどの程度成長しいくらの収益に貢献するのかが非常に見えにくいものです。もちろん社員は人間であり、機械設備にはない・カネに換金できない無形価値が存在するのは当然ですが、金融機関との取引においては人的投資効果があいまいになればなるほど、ここに対する支援を勝ち取ることが難しくなってしまう傾向にあります。来る超人手不足時代に備え、人件費といういったん費用で消えてなくなるものも「設備投資」の一部と考え、常に費用対効果を把握していくことも、大切ではないでしょうか。
なお、こうしたヒトの問題に関しては弊社に専門部隊がいるほか、金融的な側面で気になることがあった場合は我々金融財務支援部にお声がけいただければ、もちろん対応可能です。
今回は投資に必要なお金をどうやって勝ち取るかというテーマでしたが、
・うちの会社は今いくらまでなら人的コストを投下できるのか
・人件費は今の事業に対して多いのか、少ないのか
といった部分に関しても財務的な側面からご案内できますので、ぜひ無料経営相談にお申し込みいただければと思います。
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財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
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