財務トピックス(コンサルタントコラム)

脱P/L主義。脱感覚経営。成長を実現する財務戦略・資金調達(7)

前回、「脱感覚経営」を目指すための計画の必要性を「銀行の実態」という側面からお伝えさせていただきました。
前回の内容はこちら
 
今回は実際に事業計画を作成していくうえでの「事業計画作成のポイント」、「投資計画のポイント」についてご紹介します。
 
 

事業計画作成のポイント

では、ここからは事業計画の作り方のポイントについて見ていきたいと思います。
 

1.経営理念、ビジョン、目的

・事業を通じて「何を成し遂げたい」のか、会社の存在意義は何かという点です。
 こちらは、会社の存在意義という部分では最も重要な要素になります。
 ホームページに記 載されている企業も多いのではないかと思います。
 こちらは、従業員へもしっかりと浸透 させていく必要があります。
 

2.事業の内容

・経営理念やビジョンを実現するために、どのようなビジネスモデルでどのようなサービス、商品を提供するのかを伝えます。
 

3.自社の強み、戦略

・どのようなターゲットを対象としているのか、そのなかでどのような強みがあるのか。参入障壁はあるのか。他社にない特徴は何かなどを伝えます。
 

4.マーケット調査(市場環境、競合)

・事業に関わる政策の動向、商圏の市場規模、市場の成長率、競合他社の状況などを説明します。
 

5.販売計画

・どのような販売チャネルを用いて、どのように販売促進を行っていくのか、どれくらいの販売数を見込むのかなどを説明します。
 

6.組織体制

・会社組織として機能させていくために、どのような組織体制にしていくのか。
 今後、どのような役割を持たせていくのかを説明します。
・この組織体制に関しては、会社が会社として機能していることのアピールにつながる部分でもあります。
 最近では話題となった「個人保証」についてのテーマでもあり、こちらをしっかりと開示出来ている企業は個人保証を解除出来ている事例も数多く見られます。
 

7.財務計画

・上記の事業を展開していく上で、会社の財務がどのようになるのか、P/Lだけではなく、B/S、CFについても織り込んでいく必要があります。
・3年後、5年後、会社がどのような財務状況になっているのか、どのような事業展開を行い、どのような姿になっていたいのか、逆算して会社の状況を考えることもに役に立ちます。
 
よく事業計画や投資計画を立てずに事業を行うという話を耳にすることがあります。
これでは大海原を羅針盤なしで航海するような状態かもしれません。
不安を不安のままにしておくのではなく、数値や言語化として可視化することが、まず初めの第一歩につながります。
 

投資計画のポイント

次に、投資計画のポイントについて見ていきたいと思います。
 

1.売上計画の策定

・より具体的に、売上を設定。なるべく細かく想定を実施。販売数や販売単価に分解してなるべく論理的な売上数値の目標を設定。
・商圏分析に基づきどの程度のシェアが見込めるのか、どのくらいの販売数が見込めるのかを想定します。
・既存店舗や既存設備の参考事例のデータを基に作成するとより説得力が増します。
 

2.経費予想の策定

・投資計画を基に経費の予想を作成。建物や機械設備を購入する場合は、固定資産の償却金額等も考慮。固定費と変動費に分けて経費計画を策定。
・特に大きくかかる費用を中心に計画の詳細を深掘り。経費のうち、人件費が占める割合が高い場合、別途、人件費の計画を策定するなどし、より現実的な数値への落とし込みを行う。
・採用計画等もこちらに織り込んでいけると、どのような組織体制で進んでいくのかを可視化することが出来ます。
 

3.資金調達計画の策定

・投資に伴う借入が発生する場合、設備や機械でいくらかかるのか、工事単価はいくらか、その他かかる費用はどのくらい必要かの計画を立てます。
・その上で、どの銀行からいくらの金額を調達するのか、期間はどのくらいに設定するか、金利はどのくらいかを踏まえてシミュレーションを行います。こちらは、全体の収支計画を見る中で返済年数を決める方法もあります。
 

4.損益計画の策定

・上記の売上、経費に基づき損益計画を策定します。単純な損益だけではなく、借入の返済を考慮して計画を作成します。
・損益計画を見た際に、何年で投資回収が出来るのか、この計画によりどの程度の損益や利回りが見込めるのか、このあたりの全体像を把握することが出来ます。
・投資計画としては、なるべく資産を抱えずに、収益が見込める計画が理想ではあります。
 

ここでのポイント!

・事業計画・投資計画の作成により思いを「可視化」することが可能
・資金調達を円滑に進めるために共通言語としての「計画」を作る
 
これまで見てきたように、やはりステークホルダーのなかでも強い存在である、銀行をしっかりと納得させた上で事業を展開していくことで、短期的な経営成績にとらわれることなく会社経営を実現することが出来ます。
 
会社の永続的な成長、ステークホルダーとの永続的で良好な関係性の維持のために、財務戦略をどのように実践していくか。
しっかりと数値で根拠を示すことで、銀行からの評価は上がり、永続的な成長のための投資を行ないやすい環境を作り出すことが出来ます。
  

最後に

ここまで、キャッシュフローの重要性と、事業計画・投資計画の重要性について説明してきました。
経営者としてはわかりやすい「売上」や「利益」という指標に着目しやすいことは理解出来る部分ではあります。
 
しかし、企業を永続的に存続させ、ステークホルダーへの意義や責任を果たしていくためには、所謂「P/L」にだけ着目していては、中長期的な成長展望を描くことが難しくなります。
 
自社の財務を把握し、さらには中長期的な将来像を可視化することで、資金調達を円滑にし、会社の成長のための投資を実現していくことが可能となります。

【この記事を書いたコンサルタント】
竹村 良太

早稲田大学卒業後、地方銀行に入行。8年間の銀行業務では、中小・中堅企業から上場企業まで幅広い法人営業を経験。その後、船井総合研究所に入社。
前職時代は事業性評価・財務分析に基づく融資業務に取り組み、中小企業・上場企業向け融資実績を数多く残す。
経営者に寄り添い「三方よし」の精神で財務コンサルティングの提供を行っている。

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