IT導入補助金を活用しクラウド会計を導入
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(インタビュアー:宮井)今ならIT導入補助金を活用することによってクラウド会計を負担を少なく導入することができるということなんですけど、どういうことなんでしょうか?
(財務コンサルタント:谷)これは、IT導入補助金がクラウド会計導入の利用料だとか導入にかかるコストのうち2/3を補助金で負担が軽くなると実質1/3の費用で導入ができるというのがあります。
(宮井)なるほどすごいお得ですね。
1/3でできるんですね。
(谷)めちゃくちゃお得ですね。
(宮井)そもそもクラウド会計を導入するメリットというのがあるんですか?
(谷)めちゃくちゃありまりまして「月次決算の早期化」だとか「経理業務の効率化」というとクラウド会計導入するとそれだけでかなり効果が出ます。
(宮井)今、日本でクラウド会計を導入している人って実際に増えてるんですか?
(谷)増えてまして、今現状でだいたい17%ぐらいと言われているんですけども、
今後3年ぐらいでそれが55%に増えるという風に言われてます。
(宮井)なるほど。
結構私の周りにいらっしゃる経営者の方でも月次決算が遅いとか、もっと経理周りの業務を効率化できないかな、みたいな悩みを抱えられてる経営者さんが多いんですけど、皆さんそんな感じなんですかね?
(谷)そういう会社さんがすごく多くてですね。
だいたい年商10億から30億ぐらいの会社さんだと月次決算がだいたい15日後くらいにできて、経理の人員が1人から1.5人ぐらいで回せてますよ、というのが目線となる基準です。
船井総研とお付き合いのあるご支援先や会員さんで決算が20日から30日後ぐらい、経理の人員が1.5人から3人ぐらいというのが平均で、それでもちょっと基準に満たないって感じなんですけども、それにも全然満たない、課題が沢山あって月次決算が60日後ぐらいで経理の人員が3人から5人ぐらいいます、みたいな会社さんも結構多いですね。
船井総研のお付き合い先だと、成長スピードはかなり早くて売上とかどんどん伸びていってるのでバックオフィス業務がどんどん増えていっているが、そこの効率化が全然進まないので、逆に成長すればするほど月次決算遅くなったりだとか経理の人員をどんどん増やさないといけないみたいなことが起きてますね。
(宮井)なるほど。
月次決算の日時に比例して経理人員が増えてるというのは、そういうことなんですね。
(谷)課題があるような会社さんだとか、平均的なところでも、月次決算が遅くてどうしても試算表完成までに一か月以上かかっているので「タイムリーに業績が把握できない」という問題だとか、そもそも「月次決算の精度が低くくて出てきたものの数字が合ってるかどうかも分からない」みたいな問題があります。
また、この辺りを改善したいみたいなことを顧問の税理士の先生に言ったんだけどうちにも原因がある、ようは会社側の経理にもいくつか原因があってというような回答で終わってしまって改善が進まないみたいな会社さんが非常に多いです。
(宮井)この3番目よく聞きます。
(谷)経理をその会社の中で全部把握してる方っていうのが一人しかいないので、その方にもし何かあったら経理業務が全部ストップしてしまうみたいなリスクを抱えていたりとか。
あと社長がその経理のことをやっぱり細かいところまでよくわからないので、
月次決算がなぜ遅くなってるかみたいな原因がわからないし、対策もわからないので、どうしても問題をそのまま放置しがちということが非常に多いです。
(宮井)このような状況をそのまま放置していたら経営上具体的な問題がどのようなことが起きるんでしょうか?
(谷)まず一つは、そのタイムリーに業績が把握できない、というのがあるかなと。
そうすると決算の着地が、どれぐらいになるのかということがよくわからないので、決算対策だとか、投資をする時の投資判断だとか、賞与をいくらまで出していいのかだとか、販促費どれくらい使っていいのかみたいなところの判断というのは、どうしても勘頼みになってしまうというような問題があります。
そして、試算表がどうしても月次決算締まらないので提出ができない遅くなってしまうので資金調達に悪影響が出たりします。
あとは企業規模が大きくなればなるほど、この効率化されていない非効率な部分の影響は
どんどん大きくなるので、経理の人員にかかるコストというのがどんどん増加してしまうという問題が起きてきます。
さらによくあるのは、経理が遅いだけじゃなくて人員をどんどん増やさないといけない
というのも問題なんですけども、採用がなかなかできないということも起こっています。
経理が採用できないので月次決算の速度とか精度が会社が、成長するにしたがってどんどん悪くなってしまうっていうのも起きていますね。
あとは今の色んな会社でDXを進めてる会社も多いと思うんですけども、顧客管理だとか業務周りのDXは進めて業務効率化みたいなことがどんどん進んでいても、経理財務にその効果を波及させることができなくて、そこだけずっと非効率なまま卑屈も残ってしまう、みたいな問題も起こっています。
(宮井)確かにコロナ禍に経理の人とかだけが会社に出社していました、みたいな会社もよく聞きますよね(汗)
これも知り合いの経営者さんとかによく言われることなんですけど、
「会計上の資産表は遅くても手元で管理している販売管理表なんかで業績は大体把握できてるから大丈夫だよ」
と言われる社長さんとか多いんですけどどうなんでしょうか?
(谷)その場合は問題が3つくらいあって、一つがまず会計とは別で管理表を作るということで、余計な工数がかかってしまうということです。
これがそれこそ企業規模が大きくなればなるほど、その余計な工数っていうのがどんどん大きくなってしまうという問題があるります。
2つ目が売上とか原価の計上時期というのが、この手元の契約だとか販売ベースでつけているものと会計上だとその計上時期が異なることが多くて、実際の決算数字とズレが発生する
ということが起きてしまうという点です。
そして、三つ目が、P/Lは予測できたとしても投資判断をしていくとか資金調達の事を考えるとB/Sの数字をしっかり見ていかないといけないので、手元資料だとB/Sまでは予測できないというケースがほとんどなので、そこの3つが問題かなと思っています。
なので、会計上の月次決算を早期化するほうが、結局は生産性が高くなるんじゃないかなとは思います。
(宮井)ちなみにクラウド会計を導入するとどれくらいのインパクトが会社にはあるものなのでしょうか?
(谷)そうですね、1つ事例で言いますと、
年商20億ぐらいの自動車販売店さんがクラウド会計導入したことで、もともと月次決算30日ぐらいかかっていたのが10日ぐらいでできるようになりました。
経理の人員が二人いたのが一人で出来るようになりました。
試算表の提出が早くできるようになったので、融資枠が5億だったのか10億までできるようになったり、リアルタイムに業績を把握できることでお金の使い方が上手になってきますので、その効果もあって、経常利益率が3%から9%に上がったと。
これぐらい経営上の数字のインパクトというのは出てきます。
(宮井)数字以外にも何がインパクトがあるんですか?
(谷)ここ会社様の場合は元々社長の奥様が経理をしていて担当者に引き継ぎたかったのがなかなか引き継げなかったという問題をずっと抱えていたんですけども、クラウド会計を導入して経理を仕組み化したことで、経理の引き継ぎが完了しましたと。
実はこの20億の会社さん今期30億まで伸びるんですけど、それは10億の投資をかけて本店と同じくらいの大きさの店舗出店したんですけど、そうすると経理業務は倍増して人員増やさないと回らないという事が起こってしまうのが、その前段階でクラウド会計導入して効率化したので、人員増やさなくても十分回るようになりましたっていうことがありました。
(宮井)業務のどういったところが変化したのかって言うところも説明してもらってもいいですか?
(谷)この会社さんの場合だと販売とか整備のソフトと会計ソフトと金融機関でいうと通帳ベースのものとインターネットバンクをつないでるものがあるんですけど、ほとんどが紙の請求書を販売システムから出して、それを目視で会計ソフトに手入力していくというのを
やっていたりだとか、請求書から支払いをする時、請求書を見てインターネットバンキングに金額だとか口座番号を打ち込んで振り込みを作る、みたいなものをやってたんです。
もうそれが大体振込データでいうと月100件ぐらいあって、紙の請求書を目視で会計ソフトに入力するみたいなのが合計で1700件ぐらいあったりだとか、通帳やインターネットバンキングの動きを見ながら会計ソフトにその動きを入力するっていうのもだいたい月500件ぐらいあってですね、、、
これが大変だったんですけども、この会社の場合クラウド会計ソフトのfreeeというもを使いました。
(宮井)freeeにはどのような特徴があるのですか?
(谷)feeeの特徴は大きく四つあって、
一つが自動取得です。
入出金データとかクレジットカードの履歴を自動で取得できたりだとか、
請求書とか領収書をを画像データとして読み取って仕訳を推測するということだとか、その自動仕訳、
取得したデータから仕訳を自動で推測したりだとか、
入金がどの売掛金なのかみたいなところの突合を自動でする、
という大きく4つの特徴があったりするんですけども、これを使うことで、先ほどのこの手入力だった部分が紙の請求書を入力するという部分は請求書画像データをインポートプラスOCRで自動仕分けできるようになりました、ということや、
あと売上データなんかは、csvでインポートするようにしたりだとか、
通帳、インターネットバンクのデータっていうのは、もう自動読み込みでできるようになったらまったくもういらなくなったりだとか、
振込データを作るというところもfreeeの仕訳データから自動作成できるようになりますので月の工数がだいたい60時間から100時間ぐらい削減できたというぐらい効果があります。
(宮井)かなりのインパクトですね
(谷)そうですね、経理の方はすごく喜んでいます。
(宮井)他にも経営者の方から聞かれる質問があるんですけど、
クラウド会計に変える場合に税理士は変えなくてもいいんですか?
(谷)それは特段変える必要なくて今ご説明した自動車販売店さんも税理士変えてないんです。
その税理士さんfreee使ったことなかったんですけど、大丈夫だったんです。
言っても会計ソフトは会計ソフトなので、使ったことたことないものを覚えようと多少意欲を持って頂いていたら税理士の先生をわざわざ変えなくて大丈夫です。
(宮井)二つ目なんですけれども
「クラウド会計と言うとデジタルに強い担当者がいなきゃいけないんじゃないか?」
という風な心配されている経営者の方もいるんですけど、それはどうでしょうか?
(谷)デジタルに担当者が強い必要は全くないです。
普通にパソコンが使える方であればクラウド会計で大丈夫です。
普通の会計ソフトが使えれば全くクラウド会計だからどうということもないので、全然心配しなくて大丈夫な部分だと思います。
(宮井)経理の担当者の方も安心ですね。
3つ目、クラウド会計に向いている規模とか業種というのはあるのでしょうか?
(谷)まず業種でいいますと、前受金とか前払金がたくさん発生するような業種というのは、少しちょっと相性が悪い部分が、ハードルが高い部分があるので、住宅系とかは難しい部分があるかなあと思うんですけども小売だとか葬儀業とか医療・介護系だとか飲食、この辺りがすごく相性はいいですね。
規模でいうと年商3億円ぐらいからクラウド会計の導入をすれば効果が出るかなと思っていて、例えば50億とか100億とかっていう規模の会社がいきなりクラウド会計に変えるとなると若干導入のハードルは高いのでかなり準備はいるかなと思うんですが、3億から30億ぐらいまでであれば割とスムーズに導入できるかなと思います。
(宮井)クラウド会計を導入しようと思った場合に費用ってどれくらいかかるもんなんですか?
(谷)まずランニングにかかるその利用料で言うとだいたい月4000円ぐらいとかなんです。
あとは導入の時に初期設定だとかで専門家を入れる必要があるので、それが大体三ヶ月から半年ぐらいで200万円ぐらいと見とけばいいかなと思います。
(宮井)冒頭を教えていただいた2/3補助されると言うのは、ランニングと専門家の方の費用の2/3ということであってますか?
(谷)あってます。
(宮井)IT導入補助金利用しない手はないですね!
(谷)めちゃくちゃチャンスですね今。
(宮井)チャンスですよね
今17%が3年後に55%ぐらいということは、半分の企業さんが導入してるだろうと。
今を逃すと自分でやらざるを得ないか高い金額を払って専門家の方にお願いしなきゃいけないっていうことになるので、まさに今やって頂いた方がいいんじゃないかなと、私も聞いていて思いました。
このIT導入補助金はというのは、いつまでなんでしょうか?
(谷)申請期限が9月末なので、実際にやると決めて申請の準備に取り掛かるには9月頭から中旬ぐらいまでには遅くとも決めないと申請間に合うかどうかっていうとこだと思います。
(宮井)結構煩雑なんですね。
(谷)2週間ぐらいは申請準備で見ておいた方がいいかなと思います。
(宮井)わかりました。
もし申請する場合、どんなアクションを起こすことになるんでしょうか?
(谷)すぐにでも申請の準備だとか、導入に向けてどういう風に進めるかというところを含めて、専門家に相談しないと進まないので、経営相談フォームよりそこで弊社にご連絡いただくというのが、まずアクションとしては必要かなと思います。
今もう決めたという人もいると思いますけど、まだ検討しているって言う方もいると思いますので、そういう方に参考になるような資料がダウンロードできるサイトも用意してますのでそこから資料を見ていただくと良いかなと思います。
とはいえ、検討と言っても、このIT導入補助金を使われる期限というのはもう申請期限は9月末までなので、8月中にはある程度方向性を決めて個別相談いただくというのが、実際のところは必要かなと思います
(宮井)分かりました。
分かりやすい説明ありがとうございました。
皆さんこの機会を逃すことなく、申請に挑戦してみてもらえればと思います。
ありがとうございました。
大学卒業後、地方銀行に入社。銀行では5年間勤務し、中小企業を対象に法人営業を経験。
船井総合研究所に入社後、企業の成長を財務面からサポートし、企業のステージに合わせた最適な財務提案が経営者から高く評価されている。
近年は、資金調達や金融機関対策の支援だけでなく、財務管理体制の構築の支援にも注力している。