財務トピックス(コンサルタントコラム)

ホールディングス化による組織活性化論(2)

  • 最終更新日/

皆様こんにちは。
船井総研の金融M&A支援部、財務・組織再編チーム・リーダー小松です。

先週コラムに引き続き「ホールディングス化による組織活性論」の後編となります。

第1週目ではホールディングス体制移行の「目的」と活性化へ向けた「ポイント」について解説致しました。
前編コラムを見逃してしまわれた方は、下記リンクよりお読みいただけますと幸いです。

◎前回の内容はこちら

第2週目の今回は、ホールディングス体制へ移行すべき「タイミング」をお伝えして参ります。

3.ホールディングス体制へ移行する「タイミング」

目的を起点とするホールディングス化の場合であれば「本当にその目的を果たしたい」と感じた時が最適なタイミングであり、年商が〇〇億円以上にならないと考える必要はない、といったことは無いと思っています。
私は前職、金融機関で10年弱勤務しましたが、ホールディングス化している企業の中にグループ年商で10億円超の企業がありました。
その取引先にホールディングス化した経緯を聞くと、同業他社から依頼されて救済型のM&Aをしており、今後もその可能性があったためホールディングス化した、と仰られていました。
今思うと明確な「目的」あったのだなと思いますし、実際にその企業様は順調に経営されていらっしゃいました。繰り返しになりますが、重要なのは「目的」なのです。

「こうならないとホールディングス化は考える必要はない」といったことは無い、と言いましたが、一方で「こういった企業はホールディングス化を検討したほうが良い」というモノサシは船井総研として持っています。

具体的には、下記「ホールディングス化適正チェックリスト」でして、このチェックリスト項目に3つ以上該当する企業は、本格的にホールディングス化を検討頂いた方が良いと考えています。
なぜチェックリストを設けているかというと、下記項目に該当する企業は、先述した組織活性化を含め多く課題を抱えており、ホールディングス化によってその課題の解決に繋がることが期待できるためです。

業種にもよりますが、「年商20億円」を超えてくると、経営者1人で管理出来る範囲を超過してきますし、何より今の体制(経営者が全てに関与して決める)のままでは、今後の成長余地という点で早々に限界を迎えることが考えられます。

「M&A」を積極的に行いたい企業の場合、仮に事業会社1社で経営していたとしてM&Aを行った時にどんなことが起こるでしょうか。
M&Aを実施した企業とM&Aを実施された企業で「事業会社間の親子関係」が生まれてしまい、どうしても事業会社間でのグループ内立ち位置として優劣がついてしまいます。
一方でホールディングス体制に移行すれば、ホールディングスという純粋持ち株会社が親会社として君臨し、その子会社として各事業会社が傘下に入る体制となります。
つまり「事業会社間においては兄弟会社関係」となり、上記のような優劣意識の軽減が図れます。
何より売り手となる企業の経営者においても、後者の方が「グループにシェアインする」構図になりますので従業員からの理解を得やすいかと思います。
これは「競合他社とバッティングした際に、M&Aによる新たな企業の受入体制が整備されている」として売り手企業からすると映るので、買い手企業からすれば同業他社比で選ばられる理由の1つにもなります。

「複数の事業を展開」している場合であれば、仮に1つの会社で複数事業を手掛けているのであれば、1社の中に「各事業部の貸借対照表・損益計算書・資金繰りが混在する」形となるので独立採算・資金繰り管理が非常に煩雑になることがよくあります。
その点、ホールディングス化すれば手間なく貸借対照表・損益計算書・資金繰りを可視化できる素地づくりが可能となります。

といった具合です。

□ 年商20億円以上 *業種によって異なる
□ M&Aを積極的に行いたいと考えている
□ 複数の事業を展開している
□ 拠点が複数存在し越境展開している(商圏広域型)
□ 経営に関与していない株主が存在する(後継者候補除く)
□ 頼りになる同族外の社員が存在し、社内の内部昇格・もしくは外部招聘の検討できる
□ 関連会社を2社以上有する

4.まとめ

「ホールディングス化による組織活性化論」いかがでしたでしょうか。
ホールディングス化は色々なことに活用できるのだな、と感じた方も多かったのではないでしょうか。
ホールディングス体制移行前・移行後のどちらのも皆さまにも当てはまる話ですので、是非上記を踏まえて、最大限ホールディングス化を活用いただければと思います。

なお弊部では、無料の経営相談を通じて、
(1)本日では伝えきれなかったホールディングス化した他社事例、
(2)相談頂いた企業の課題・悩みに対してホールディングス化が有効なのか、
(3)相談いただいた企業での最適なホールディングス化の進め方、
などについてアドバイスさせて頂いております。

是非、「ホールディングス化適正チェックリスト」で3つ以上該当した企業様、勿論それ以外の企業様でもご興味がございましたら相談いただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ホールディングス化適正チェックリスト


⇒ダウンロードはこちらから

無料経営相談
【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
攻めの投資を実現する際に最も大切なことは、その1期のみ最大の成果を出せることではなく、持続的に最大限の成長を継続することです。
それを資金面から実現する戦略をデザインします。

flag人気の記事
gradeオススメの記事
中小企業が次々と資金繰り改善に成功した究極の資金繰り改善策
expand_less