財務トピックス(コンサルタントコラム)

資金調達を最大化する関連会社の「見せ方」 事業戦略シリーズ(3)

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第2・第3の柱を作るためには欠かせないグループ経営戦略。
が、銀行には「ココ」を説明しないと痛い目を見るかも…?

企業経営に、1社に対して1人の経営者という制限はありません。
関連会社、親会社、子会社、ホールディングス会社など、会社の形態は多数あり、会社の数だけその目的も異なります。
特に最近は中小企業のM&Aがリーマンショック以来の高水準で発生しているトレンドですから、新たな会社を買収し、グループ一体経営を目指していくというのはもはや珍しい話ではなくなりました。

・第2、第3の柱となる事業が加わることで、不況に強い会社を作れる
・単一業態ではないので、幅広な人材の採用を狙うことができる
・そもそも会社規模が大きくなり、出店などの資金調達戦略も考えやすくなる

など、グループ経営には多数メリットが存在するのも間違いないですが…
ぜひ3つだけは、先に「融資を受けている金融機関に絶対に話しておいてほしいこと」があります。

今回はシリーズものの第3回、企業をさらに加速させていくために知るべき手法「グループ経営」についてと、その注意点を3つに絞って簡単に紹介していきたいと思います。

【POINT(1)】そもそも「会社を分けている意味」を話しましたか?

グループ経営で2社以上の企業を一体経営している会社に対して、まず資金調達の窓口でもある金融機関が思うことは、「そもそも、なんで会社を2つ以上に分けているの?」という点です。

・株式の保有割合のことを考えているのか
・事業が全く別物なので、区別するために分けているのか
・一方は事業会社、もう一方は資産管理会社として分けているのか
・支店別・地区別に分けているのか

など、グループ経営はその「分裂している理由」がそろっておらず、理由が複合的になっていることも多数あります。
一方で金融機関はこのような会社に融資を出す際に、

・株式の保有割合が違うのに、同じ会社として判断しても良いのか?
・事業が全く違うなら、なぜ複数保有する意味がある?シナジー効果でもあるの?
・資産管理会社の方は事業をしていないので、原則運転資金は貸せないよね
・地区が異なる会社は、自行のエリア外だから貸しにくいよね

など、単体の会社に比べて悩むことが山ほど出てきてしまう、つまりお金を貸しにくい状況から審査を始めている状況にあります。

せっかく意図をもって経営者が法人を複数保有し、グループ経営で成長し、十分収益を上げている良い会社であるにも関わらず、この意図を離さないがために損をしている会社のなんと多いことか…。
グループ経営を進めるならお金の体制面でもグループ一丸となって考え、それをお金の出し手に発信するべき。

これ、第一の鉄則です。

【POINT(2)】会社の決算期がずれていませんか?

グループ企業のなかには、1社目が12月決算、2社目は3月決算…と、決算の締め月が異なっている企業がグループの中に混在しているケースが多くあります。
それ自体は何の違法性もなく、経理部門の締め作業が会社によって時期ずれしている程度の話なのですが…
これが、実は金融機関の審査上では大きな「マイナス」になる可能性があることをご存じでしょうか。

安心していただきたいのは、かといって「マイナスを食らう!?ならばすぐ決算期を揃える手続きをせねば」と焦れと言っているのではありません。
なかにはM&Aを進めていくなかで、意図せず会社の決算期がすれてしまう形になった会社もあるかと思います。
問題はそれならそれで、きちんと会社を合算した際の「真の一体となった姿」をこちら主導で報告しているか?という点です。

(例)
・2020年1月終了時点での、時期を揃えた合算の貸借対照表を作っているか?
・2019年4月~2020年3月「期間あたり合算」では、キャッシュフローがいくらになるか説明できるか?

金融機関は上記のような情報を、結果的には確保した情報から「相手主導で」作成して企業のランクを決めますが、時にそれが大変もったいないマイナスとなったり、意図しない誤解を受けるケースも少なくありません。

相手のルールは変えられませんが、最低限の情報は決算書を提出する際に補足して「自社主導で」説明しておくことをお勧めします。

【POINT(3)】グループ会社間の取引を明らかにしていますか?

グループ会社、特にシナジー効果を狙っている会社では、当然グループ会社間で商品をやり取りしたり、一時的に売掛金・買掛金が発生したりということが発生します。
なかには工場部門の会社Aが商品を作り、それを販売部門の関連会社Bが仕入れてエンドユーザーに売る、という常に商売が発生している法人もあるかもしれません。

当然のことなのですが、ここでも注意点なのが、会社の決算期や取引形態によっては、金融機関が決算を見ても取引実態が全く分からない場合がある=評価に不利に働く場合がある点です。
今回のコラムではその内容までは記載しませんが、

・どのタイミングでモノ・カネがグループ会社間を動いているのか
・仮に販売形式ならば、どのような原価・粗利を取り決めして取引しているのか

等の情報は、決算と一緒に提出するように心がけましょう。
間違いなく金融機関から喜ばれる重要な資料として活躍してくれることでしょう。

【まとめ】グループ経営のコツを学び、再成長の起爆剤に

今回はシリーズ第3回目として、企業をもう1段階成長させるために取るべき手法の1つ「グループ経営」に関して、そのコツと注意点に関してご紹介をしてきました。

ポイントを3つに絞って説明しましたが、要するに体制だけを整えてもグループ経営は本来の効果を発揮することがなく、それを正しい方法で効率的に「発信」していくことで、ようやく真価を発揮するということが言えるのではないでしょうか。
関連会社がある企業の経営者様ならすぐにでも、ない方でも今後のM&A戦略などの一環として、参考としていただけますと幸いです。

次回3月25日(水)は「『攻め』も『守り』も財務で乗り切る事業戦略シリーズまとめ」をお送りいたします。

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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