財務トピックス(コンサルタントコラム)

「経営者保証」の必要性 ~金融庁の方針、金融機関の姿勢~

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今回は借入の際に提供する経営者保証についてコラムを書いていきたいと思います。

皆様は融資の契約の都度、当然のように連帯保証人として経営者保証を提供していませんでしょうか。
私自身、銀行員時代を振り返ると、ほとんど全ての会社に経営者保証の提供をお願いしておりましたので、皆様の中でも保証が外れていないという方はいらっしゃると思います(経営者8割超が経営者保証を提供している)。
しかしながら一方では、経営者の高齢化に伴う事業承継の増加もあり、次期経営者の候補をお探しの社長も多くいらっしゃると思います。特に最近の経営相談で私が感じるのは、「事業承継に備えた対策がしたい。親族よりも既存社員に承継したいのだが、多額の負債の保証をお願いできない。」というお悩みが多いということです。

●経営者保証のガイドラインについて
こういった中、金融庁の方針により経営者保証の必要性についてもう一度見直しがされています。
次の資料をご覧ください。金融庁のHPから引用したものでございます。

赤枠で囲った要件を満たすことができれば、原則として経営者保証は無保証、会社の信用力だけで借入ができるという方針となりました。
また2018年に入ってからは、さらに運用ルールについて各論が見直されました。具体的には、企業の事業内容や成長可能性などにより無保証となる取決めでしたが、そのためには「財務データ面だけに捉われず、主たる債務者との対話や経営相談等を通して情報を収集し、事業の内容や持続・成長可能性などを含む事業性を適切に評価することが望ましい対応であると考えられます」とあり、続いて「事業計画や業績見通し等の情報」を企業側は積極的に発信し、金融機関側は把握することで、更なる無保証融資増加に向けた方向性となりました。

●金融機関の無保証取り組みの現状
それでは実際の金融機関の取り組み事例を確認したいと思います。下の図をご覧ください。
政府系金融機関における無保証融資の実績ですが、年々増加傾向にあることがわかります。


●無保証借入を行う上でやるべきこと

今回は無保証についてコラムを書きましたが、金融庁の方針として「担保・保証に必要以上に依存しない融資」が促進されていますので、無担保借入についても同じようなことが言えます。
つまり、金融機関に自社の事業を正しく評価してもらい、法人単体としてきちんと返済できることを明確にすることが大切です。そのためには3つの要件である
①法人・個人の資産が明確に区分されている(=貸付金や役員借入金がない状態にする)
②法人の収益力で借入返済が可能(=キャッシュフローによる返済が十分に可能と言える状態にする)
③適時適切に財務情報等を提供する(事業計画や資金繰り表、案件管理表等融資判断に必要な資料の開示)
以上に加え、過去の決算をベースとした定量評価だけではなく、将来の成長性などを説明できる状態にあることが無担保無保証借入のために必要と言えます。

弊社、船井総合研究所の金融財務支援部では、財務管理体制をしっかりと構築していくことで借入条件を改善するための無料の経営相談をさせていただいておりますので、是非こういった機会をご活用いただき、まずはご相談いただければと思います。

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【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
財務指標をただ算出してその上下を評価するのではなく、それらの指標をどのように経営判断、投資判断材料とするのか、持続的な成長を支える為に必要な資金調達額を最大にするための施策を検討、実行します。
攻めの投資を実現する際に最も大切なことは、その1期のみ最大の成果を出せることではなく、持続的に最大限の成長を継続することです。
それを資金面から実現する戦略をデザインします。

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