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財務の基礎知識

「財務管理」・「財務会計」・「管理会計」3つの違いから使うべき数字を知る!

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企業経営を行ううえで、財務管理、財務会計、管理会計という言葉を耳にしたことは少なくはないのではないでしょうか。それぞれ「財務」、「管理」、「会計」という三つの単語が並び、出来上がりの名称が似ているため、誤って覚えてしまう人も珍しくありません。
しかし、それぞれの言葉の定義は明確に異なっています。
そこで、この記事では聞いただけでは混同しやすいこの3つの言葉が表す意味や違い、役割について解説していくことで経営者が使うべき数値をより深く理解していけるような解説を行っていきます。

1.財務管理とは経営管理のひとつ

財務管理、財務会計、管理会計という3つの言葉のなかでも、財務管理はそのほかの2つとはまったく意味が別で分かりやすく、企業経営においても重要な役割を持つ言葉なので、まずは財務管理から解説していきます

 

1-1.そもそも財務管理とは

財務管理とは、文字通り「財務を管理すること」です。具体的には、事業を運営する際に、必要な資金をどのように集めて(調達)、それをどのように使っていくのか(運用)を考えて、企業の成長を促していくなかでの資金管理、数値管理を行っていくことです。
事業を展開する際に外部から資金調達を行う際、その資金を運用して収益を上げ、それによって企業価値を高め、さらなる事業の展開を行っていくというサイクルが行われています。こういったサイクルを計画的に実施する為に、財務管理を行う必要があるのです。
今回並べた3つの言葉の意味を混同しがちな人の特徴として、経理と財務の違いがよく理解できていないケースが多いため、経理と財務の違いを少し説明します。
まず、経理とは「毎日の取引記録を記帳していき、最終的に損益計算書や貸借対照表を作成すること」を目的にしています。それに対して、財務とは「経理が作成した損益計算書や貸借対照表などの資料をもとに、予算管理や余裕資金の運用を行っていくこと」です。
つまり、経理が行った業務の結果を見て、それをもとに指示を出していく仕事が財務管理となります。
財務管理の業務にある事業計画の策定、予実管理では、資金に対するリスク管理を行うことも重要な役割を担っています。
具体的には、資金繰り表、キャッシュフロー表を作成したり、資金ショートが起きないように対策を立てたりすることなどが挙げられます。

 

1-2.財務管理で行うこと

財務管理に含まれる業務は企業によって異なるケースも多いため、一概に財務担当が実施する財務管理の業務内容だと言い切るのは難しいですが、一般的な企業でよくみられる代表的な業務をいくつか紹介していきます。代表的な業務として挙げられるのは「資金管理」、「財務状況の分析」です。自社の財務状況を正確に把握するために決算書を作成し、損益計算書や貸借対照表を利用して財務状況が分かれば、それぞれの事業で収益性や生産性、安全性、成長性といった項目をベースにした分析をすることが可能になります。それらを通して各事業の特性や傾向を把握できるようになるため、それに応じた資金や事業の計画を立てやすくなります。

「資金の管理」や「利益の管理」といった点も一般的には財務管理の仕事に含まれるケースが多いです。
たとえば、運転資金と一口にいっても、短期的に必要になる資金と設備投資や出資などを念頭においた長期的に運用する資金とは分けて考えた上で、調達と運用を行わなければ、資金繰りが悪化する結果につながってしまい、事業を円滑に運営しにくくなってしまうことがあります。
そういったリスクを減らすために、各事業と財務状況を把握したうえで、借入のバランスをとるのも財務管理の大きな役割の一つです。

また、損益計算書によって収入と費用の状況が分かるようになるため、損益を管理することも業務に含まれることがよくあります。売上計画と実態を比較する予実管理を行うことで次月以降の販売戦略をどう展開するか?どのような点に課題があったか?を把握することが可能です。

2.財務会計・管理会計は目的の異なる会計業務

財務会計と管理会計の2つは会計業務にかかわる点で、財務管理と大きく異なります。
そもそも、会計とはお金の出入りを記録・管理することであり、企業経営では欠かすことのできない業務です。財務会計と管理会計の内容を理解することで、会社の実態管理をどのように行うのか、がより精緻に見えてきます。

 

2-1.財務会計とは

財務会計とは株主や銀行、取引先および投資家といった会社外部の利害関係者に対して財務状況を報告するために行う会計のことです。中小企業においては、役割として納税の為、銀行からの資金調達を目的として、決算書を作成することに利用されます。会社が成長していく過程で、金融機関や投資家といった資金提供を行ってくれる存在との関係は非常に重要になります。災害により資金繰りに困窮した時、大型投資を行う時、資金が必要になるタイミングで、資金調達を実施する際には、過去の実績(安全性)とこれからの将来性(事業性)が重視されます。
財務会計は前者の、過去の実績である財務状況を客観的に表す証拠となるもので、そういった資金供給者等の利害関係者との信頼関係を維持・改善するために重要な役割を持っていると言えます。
財務会計の具体的な業務には金融商品取引法や会社法などの法律、会計基準で定められているルールに則り、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成することなどが挙げられます。

 

2-2.管理会計とは

財務会計が社外の利害関係者に対する仕事がメインだったのに対して、管理会計は社内で経営者や財務担当者が財務状況を把握するために必要な会計のことを指します。
そのため、各事業のコスト管理や売り上げ、データの収集分析といった今後の事業計画の策定において必要な情報を集めることが主な業務です。管理会計の対象者は、主に社長や役員になるため内部報告会計という別称で呼ばれることもあります。
自社が行っている経営活動をできるだけ客観的に判断するために、各部署の営業成績や商品別の損益計算書を作成するなど、業務内容は非常に幅広いことが特徴です。
また、事業計画と実際の各部署のデータなどを見比べることで、その時点での状況が把握できるため必要に応じて軌道修正を行うことも目的としています。
さらに、管理会計はあくまでも社内向けの業務であるため、特に定まったルールなどはありません。そのため、企業によって切り口や形式が異なる点も特徴だと言えます。

3.財務管理・財務会計・管理会計のポイント

3.財務管理・財務会計・管理会計のポイント
ここまで財務管理・財務会計・管理会計の3つの意味について紹介してきました。
さらに効率的な業務を実行するために、それぞれのポイントについても認識しておきましょう。

 

3-1.財務管理のポイント

財務管理で最も重要なポイントは、「資金不足を起こさないこと」だと言われています。
財務管理は、財務状況を把握したうえで事業計画に対して予算などの財務を管理する業務になりますが、すべてが計画通りにいくとは限りません。
何らかのトラブルによって当初考えていた予算よりも増えてしまう事業もあるでしょう。そうした事態に備えて、過去の統計を参考に余裕資金や、資金枠(当座貸越枠等)をキープしておくことや、すぐに対処できるように進捗状況を逐一チェックしておく姿勢が大切です。
常に企業全体の財務状態を把握し、適切に資金が流れていることや事業ごとのバランスを把握することが重要だといえます。そのようにして、正しいリスク管理を行って、計画通りにスムーズな資金の流れを促すことが求められます。
ここでは、「資金繰り表」が可視化ツールとして大変有用です。

 

3-2.財務会計のポイント

財務会計で作成する財務諸表は、正しいデータを会社内の各部署の担当と共有しなければいけません。
万が一、誤った情報を金融機関や投資家といった外部の利害関係者に提供しては、会社の信用力が大幅に低下する恐れもあります。
常に最新の正しいデータを把握するためにも、各部署や部門間とのコミュニケーションを密にすることがポイントです。
効率よくデータを集めたいという場合には、財務会計システムを導入するのもひとつの方法でしょう。各部署間で入力する情報をリアルタイムで確認できるようにしておけば、作業負担の軽減が見込まれます。

また、財務会計では外部の利害関係者に情報を提供するため、一定のルールに従って会計処理や報告を行わなければいけません。
担当者は法律や処理のルールなどを事前に正しく理解しておくことも重要なポイントだと言えます。

 

3-3.管理会計のポイント

管理会計は社内のスムーズな業務を手助けするための役割なので、企業の規模によっては行っていないところもあります。
しかし、管理会計は英語で「Management Accounting」と呼ばれ、経営戦略を考えるうえで重要な会計です。
財務会計と異なり、社内で共有する情報になるため、運用にあたって特別なルールに従う必要はありません。あくまでも自社で使用しやすい方法で運用できる点はメリットで、経営に最適な形で活用できるように運用しましょう。
自社の経営状況を「見える化」するために、管理会計によって必要な情報をまとめて明確化しておくことがポイントです。
なお、管理会計を行うときは事業別に利益やコストを把握して、正しく評価するように心がけましょう。

財務管理・財務会計・管理会計を正しく理解しておこう
財務管理・財務会計・管理会計はよく似た名称ではありますが、それぞれに違う役割を持っています。
経営者や経理、総務担当者が正しく把握して自社の業務に活かすことで、さらに効率化を図れるはずです。それぞれの内容を把握するのはもちろん、なぜ必要なのかといった目的についても理解して会社の成長のために正しく運用していきましょう。

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