財務トピックス(コンサルタントコラム)

「金融庁の改革について」①

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金融庁長官の人事異動が発表され、新聞やニュースで話題となりました。これまで、金融改革を大きく進めた、森信親長官が退任し、遠藤俊英監督局長が後任に起用される予定です。

時を同じくして7月4日に金融庁から金融庁の改革について方針が発表されました。今後、会社や個人の金融機関取引へも影響のある重要な内容です。内容量も多いため、こちらのテーマを全4回に分けて改革の内容をみていきたいと思います。

まず、第1回目として、「改革の基本的な考え方」についてみていきたいと思います。こちらは大前提の重要な考え方になりますので、しっかりと押さえたいポイントであります。

以下、金融庁発表の資料より抜粋いたしました。

 

  1. 改革の基本的な考え方

金融は、実体経済をはるかに凌ぐ勢いで拡大している。また、ブロックチェーンに見られるように様々なテクノロジーが加速的に進展し、金融のあり方も、 そこから生み出される便益や脅威も、急速に変化している。

巨大化し、急速に変化していく金融を適切に制御し、経済の発展につなげていくことが極めて重要な課題になっている。2008 年のリーマン・ショックは世界経済に甚大な影響をもたらしたが、まさに金融を適切に制御できなかったことに原因がある。

金融システムを守り、金融がその機能を十分に発揮することによって、企業や経済が成長し、国民の資産形成を実現していくことが、金融行政の目標である。

金融庁が、今後、国民の期待と信頼に応えていくためには、金融庁自身を、常に課題を先取りし的確な政策を立案・実行していけるよう、不断に自己変革できる組織にしていく必要がある。同じような仕事を毎年、定型的に繰り返していることに安住する組織では、金融行政の任務を全うできない。

 

金融庁は、発足以来、様々な面から組織の変革に努めてきた。例えば、人材面では、現在の金融庁は、かつての大蔵省の金融部局と全く異なる姿になっている。これまでに積極的に民間出身者を登用した結果、現在は職員の約 1/4が民間出身になっている。また、女性や理系出身者等多様なバックグラウンドを有する人材も積極的に採用してきた。新規採用に占める女性の比率は平成23年以降継続して1/3 以上となっている。

しかしながら、急激に変化する金融の中で金融行政の質をさらにレベルアップしていくためには、金融庁自身の改革を一層進めていく必要がある。

 

改革すべき中心課題は、「ガバナンス」と「組織文化」であると考える。

 

組織を継続的に変革していくためには、ガバナンスを効かせることが重要である。そのためには、外の意見や批判が入りやすく、それを真剣に受け止め、改めるべきはしっかりと改められる体制である必要がある。身内だけで、お互いが傷つかないように遠慮した議論しかできない組織は、現実から目を背け、重要な判断を先送りする結果、時代遅れな対応を繰り返し、いずれ存在意義を失ってしまう。

 

また、組織を実際に動かしているのは、そこで実際に働く職員である。単にガバナンスを効かせるための仕組みを作るだけでは不十分であり、そこで働く職員が、「国のために貢献したい」、「成長して自分の価値を高めたい」と常に意識し、行動できるようになって始めて、質の高い行政を実現することができる。そのためには、人事評価や任用のあり方を含めた、組織文化の改革が不可欠である。加えて、同じようなバックグラウンドをもって、同じような発想しかできない人間ばかりからなる組織からは、新しい発想や新しい取組みは生まれない。多様な人材が集まってこそ、これまでは問題と思っていなかったことを問題であると気づくことができる。人材面でも外との交流をもっと太くしていくことが改革の重要な鍵になる。

しかしながら、どれほど組織が変革していかなければならないとしても、そこで働く職員が、国家公務員として決して忘れてはならない基本が存在する。それは、個別の利益を追求するのでなく、また、組織や職員の自己の利益のためでなく、「国民のため、国益のため」に仕事をしていくということである。どれほど外の世界と交流を太くしても、この基本を踏み外した行動は厳しく指弾されるべきである。この基本をおろそかにさせない心棒の通った組織にする必要がある。

 

出展:金融庁ウェブサイト

(https://www.fsa.go.jp/common/about/kaikaku.html)

 

いかがでしたか。金融業界や金融庁を取り巻く環境の理解の一助になったのではないでしょうか。

今回はあるべき論として、抽象的な内容も多くありました。次回以降はもう少し踏み込み、改革の具体的な内容に触れていきたいと思います。

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【この記事を書いたコンサルタント】
財務支援部

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