流行りのHD化の基礎知識とメリットデメリット
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日本の人口が減少していく中で、世界的に好景気の波が急速に小さくなっていくことが予想されています。特に生産年齢人口が減少し、採用が困難になっていると感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。そのような環境において、いかに優秀な人材を後継者候補として確保し、また育成していくのか、また、縮小経済に伴い、各ビジネスモデルのライフサイクルが短縮化していく中で、いかに時流の変化に適応した新規事業及び新規ビジネスモデルを展開していくのかといったことが、今後の大きな経営課題となります。
そのような経営課題に対応していく組織体制として、現在、中堅・中小企業のホールディングス化が注目を集めています。
1.ホールディングス化とは
ホールディングス化とは、二つ以上の法人がある場合に、一つの会社が、他方の会社の株式のすべてを所有することで、両社で親子関係を創出する組織再編を言います。上記において、親会社のことを、子会社の株式を持っている会社ということで、持株会社やホールディングス会社といった言い方をします。
そもそも、ホールディングス体制は、戦後GHQの指導によって、独占禁止法で禁止される前は、日本におけるグループ企業つくりの中核的な仕組みでした。三井、三菱、住友等の戦前の財閥において、ある一つの家系が、幅広い業種の企業の株式を所有することで、株式市場を独占しており、まさにホールディングス体制がその基盤になっていたといえます。戦後、財閥が解体されるに伴い、ホールディングス体制についても、株式市場を開放するという趣旨の下、独占禁止法で禁止されました。ホールディングス体制が全面的に解禁されるようになったのは、1997年になってからです。このような歴史の裏を返せば、ホールディングス体制は、一つの家系が、株式市場を独占するほどの強大な経済力をつけ、永続経営を実現するために効果的な仕組みということができます。
2.ホールディングス体制におけるメリット・デメリット
では、実際に経営を行っていく上で、ホールディング化のメリット・デメリットはどういったところにあるでしょうか。以下、経営という視点で、ホールディング化のメリット・デメリットをお伝えします。
(1)メリット
① 資本の投資戦略と事業の執行の機能の分離
ホールディングス体制では、ホールディングス会社において、オーナー経営者が、グループ会社全体の資本投資戦略を担い、事業会社において、他の経営者が、事業の執行を担うことで、事業の監督と執行を分離することで、全体として効率的な経営が可能となります。
② 役職や権限の拡大によるモチベーションアップ
役員や従業員におけるキャリアプランにおいて、事業会社の経営者として、一事業を取り仕切るという目標ができることにより、優秀な人財の離職を防いだり、逆に他の企業から優秀な人財をリクルーティングしやすくなります。特に独立志向が強い従業員が多い業種の場合は、グループ内独立の選択肢を用意することで、会社として、多種多様な働き方を実現することができます。
③ 事業リスクの分散
事業によっては、飲食業や運送業のように、許認可関係による行政の規制が強い業種もあります。他業種を展開している会社において、万が一、飲食業や運送業において不祥事が発生し、行政から業務停止命令等があった場合に、その他の無関係な業種の業務も停止してしまうリスクがあります。そのような事業リスクが高い業種について、法人を別にすることで、他の業種への影響を軽減することができます。
④ 事業に応じた労働条件の設計
例えば、アパレル業において、土日祝日が主な稼働となる販売業と、平日が主な稼働となる製造業等では、従業員の働き方も大きく変わってきます。法人ごとに、事業に適応した労働条件を設計することで、従業員にとって働きやすい環境を創出することができます。
⑤ スムーズな事業承継の実現
事業規模が拡大し、また多業種を経営している会社において、後継者がそれらの事業の経営権を一挙に承継することは至難の業です。後継者が、事業会社の経営者として経営の資質を身に付ける環境を整えたり、事業部ごとに経営権を分散させることで、後継者の経営権の承継にかかる負担を軽減することができます。
またホールディングズ体制の副次的な効果として、節税効果も見込まれるため、株価対策にも繋がってきます。
⑥ 機動的な事業戦略(M&A、IPOなど)の実現
近年中小企業においてもM&Aが盛んになっており、今後の事業戦略の一つとして、M&Aが選択肢の一つになってきています。他の企業を買収する過程において、自社と被買収企業を合併などにより経営統合するのではなく、ホールディングス会社が、被買収企業の株式を所持することにより経営統合をすることで、より機動的なM&Aを実現することができます。
(2)デメリット
① 多数の経営能力の育成が不可欠
ホールディングス体制において、グループ会社である事業会社を他の者に一任するために、役員や従業員の経営能力を育成することが不可欠です。経営者と従業員の大きな違いとして、事業別のP/Lだけでなく、B/Sやキャッシュフローへの意識があるのか否かという点が挙げられます。単なる営業マンや部長にとどまらず、経営全般をマネジメントできる経営者として、育成していく必要があります。
② 管理コストの増大懸念
会社の分割の仕方によっては、法人が増えることにより、管理コストが増大する危険性があります。よくある失敗のケースとしては、同一商品の製造部門と販売部門を別の法人に分割することで、商流が複雑化してしまい、経営者が不透明な業績の管理に時間を費やされてしまうということが挙げられます。
③ セクショナリズム(一つの部門にとじこもって他を排斥する傾向)の懸念
部門や支店ごとに法人を分割し、各事業会社が自己の利益を追求するあまり、グループ全体にとって最適な事業戦略を実現することが難しくなる可能性があります。また、業績不振なグループ会社への転籍を希望しない従業員が出てきたりなど、グループ間の人事異動に支障が生じることも懸念されます。
4.ホールディングス体制の本質、及び、メリット・デメリットを理解した上での仕組化
以上のとおり、ホールディングス体制の本質、及び、メリット・デメリットを記載いたしましたが、実際にホールディングズ体制を構築するにあたっては、その目的がどういったところにあるのか、また、デメリットが生じることを想定した上で、それを上回るメリットがあるのかを検討する必要があります。
よくある失敗例としては、目先の事業承継における株価対策の手法として、ホールディング化を実行してしまったというケースです。節税対策のみを考慮した設計により、後継者がマネジメントをしづらくなってしまっては、意味がありません。ホールディング化を検討する上では、中長期的に、より会社規模を大きくしていくうえで、それが最適なのかといった視点が必要です。
一般的にホールディングス化に向いている会社の特徴をまとめました。ホールディング化を検討している経営者の皆様は是非ともご参考にしてください。
□経営者一人では事業の管理が難しい程の会社規模になっている。
□複数の異なる業種の事業を運営しており、管理が難しい。
□事業の性質として、許認可による行政の規制が厳しいなど事業リスクが高い業種を運営している。
□今後の事業戦略として、M&Aを積極的に活用しようとしている。
5.最後に
いかがだったでしょうか。
本メルマガではホールディングス化の基礎とメリットデメリットをご紹介させていただきました。
本メルマガをお読みになり、ホールディングス化について更に知りたい経営者は
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フォーラム詳細
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船井総研の財務コンサルティングは、企業の業績アップを「資金と管理面」からバックアップする実行型コンサルティングです。
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