コンサルタントがわかりやすく説明!
財務の基礎知識

正しく理解していますか?会計・経理・財務の違いとそれぞれの重要性

  • 最終更新日/

企業経営を続けていくには、お金の正しい知識が備わっていなくてはいけません。
たとえば、企業経営のお金に関わる中でよく登場する「会計」「経理」「財務」の3つなどはその登場頻度にも関わらず、意味が混同されることが少なくありません。
ただ、実際には意味が異なり、まったく違う業務なので間違えずに理解しておくようにしましょう。
この記事では、それぞれの違いや重要を解説し、そのうち「会計」に注目して、その中でも分類が難しく混同されがちな「財務会計」「管理会計」「税務会計」について解説をします。

1.そもそも会計・経理・財務ってどう違うの?

経営者が直面するものの最も他人には共感されにくい業務はお金に関する業務ではないでしょうか。世の中にはそれらにかかわる書籍や、資料はあるものの、結局「何」?とシンプルにわかりやすいものは意外に多くはない印象があります。当記事上にもあるように特に重要なのが「会計」「経理」「財務」というものであることはわかってはいるものの、「一言でいうと?」と問われて端的に回答できる方は意外と多くありません。以下、それぞれをシンプルに説明していきます。

 

1-1.会計とは

会計とは、「お金や物の出入りを記録すること」です。企業経営における会計は「企業会計」と呼ばれます。企業がビジネスを続けていくと、当然ながらお金と物はさまざまな場所を行き来します。それらの企業活動でお金に関わるものは全て、会計情報として記録をする必要性があります。それらの情報を販売実績や在庫の棚卸などを通して正確に計上し、管理をしたり報告をしたりする業務全般が企業会計に該当します。

企業会計では、企業会計原則と呼ばれる基準があり、この中に会計の考え方の基礎として活用される7原則があります。
これらのうち、ひとつでも欠いていると公正な会計が行われていると認められません。
1つ目は「真実性」です。当然ながら、会計上の数字は真実であるべきです。
2つ目は「正規の簿記」であり、正しく会計帳簿を作らなければいけません。
3つ目は「資本取引、損益取引区別」です。資本取引と損益取引を混同していないことが求められます。
4つ目は「明瞭性(適切開示)」で、利害関係者が帳簿を見たときに、すぐに内容を理解できなくてはいけません。
5つ目が「継続性」で、毎期継続して会計が行われていることが絶対条件です。
6つ目は「保守主義」です。企業の財政に損失が起きそうなときは、会計で対策を立てる必要があります。
7つ目は「単一性」であり、目的ごとに財務諸表を分けて作成しなければいけません。

なお、企業会計は目的別に作成するルールや作成物が異なっており、例えば「税務会計」、「財務会計」、「管理会計」という形で分類が出来ます。こちらについては、次の段落で解説をします。

 

1-2.経理とは

経理とは、「会計をはじめとする経営管理の業務全般」を指します。この、「経営管理」を省略した言葉が経理です。
経理業務の主な内容は企業活動におけるお金や物の流れを明らかにすることです。
資金や資産の流れは決算時に報告する義務があるので、必ず記録しておかなくてはいけません。そういった企業活動の所作を証明する資料とする為、経理担当者は貸借対照表や損益計算書といった書類を、定められた規則に従って作成します。

それ以外にも、経理の業務は企業活動を続ける限り、日々発生します。伝票や帳簿に情報を記載するのも経理の役目です。また、会計ソフトにデータを入力したり、請求や支払いを行ったりもしなければいけません。こうした業務の積み重ねが最終的には決算に反映されるので、経理業務はミスが許されない責任のある役割です。

 

1-3.財務とは

財務は、「資金をどのように調達し運用するのかを決定し、実行することです。」
このとき、会計業務で作成した資料を参考にはするものの、業務として行われる会計とは別物ととらえる必要があります。
会計や経理が実際に起こったお金や物品の流れを記録する作業であるのに対し、財務はこれからお金を使うための準備やその実務を指します。経理は過去についての業務で、財務は未来についての業務であるという見方が分かりやすいと思います。
ただ、非上場の企業によっては、経理と財務を同じ担当や部署に任せている場合があるので、両者が混同されることも少なくないです。但し、上場企業では、企業の内部統制上必ず経理部と財務部を分離する必要があります。理由はシンプルで、「お金の記録」を行う担当と、「お金を動かす」担当が同じであれば、万が一不正が実施された際には、自身の都合のいいように記録が出来てしまうリスクが発生するからです。

2.さらにややこしい?財務会計・管理会計・税務会計の違い

前述のとおり、企業会計の中には「財務会計」「管理会計」「税務会計」の3種類がある、とお伝えをさせて頂きました。いずれもお金や物品の記録をする作業ではあるものの、その対象が異なります。
以下、3つの違いや特徴についてまとめていきます。

 

2-1.財務会計とは

まず、企業関係者への報告をするために重要なのが「財務会計」です。
企業は、年1回(決算期の変更によってはそれ以上)株主や出資者、税務署などに対して決算情報の報告が必要になるケースが多いです。それ以外でも銀行等の資金に関わる取引先等からは、当該企業の財務の健全性や、現状を把握する為に決算情報の開示を求められます。そういった中で、報告内容に誤りがあったり、義務を怠ったりすると企業の信用は失墜します。
ときには、新規の投資に対する融資や、必要な年度資金の調達が取りやめになるなどの問題にもつながる可能性があります。
その為、企業は外部に経営状況を伝えるための貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を適正な時期までに作成して、適正なルールで作成したと証明して報告決まりとなっています。

この、財務諸表は銀行に融資を依頼したり、投資家向けの資料として提出したりする際にも使用されます。財務諸表を見れば企業の経営状況がわかるので、作成は慎重に行わなくてはいけません。
また、財務諸表は外部への公示を前提としています。国内外のルールに従い、公的な資料として認められる内容にすることが必須です。

 

2-2.管理会計とは

次に、社内向けのデータを作成する会計業務が「管理会計」です。管理会計では事業計画や経営方針を定めるための参考資料が作られます。これらの資料はあくまでも社内の人間が確認するためのものです。
外部に公示される目的はなく、仕様にも厳密なルールはありません。資料に目を通す人間が理解できるのであれば、作成者ごとの書式でも認められます。
ただし、「事業計画書」や「中期経営計画書」といった重要な書類の基となるので、内容には正確性が求められます。

そのほか、管理会計は経営課題を見つけるためにも欠かせません。原価の計算や経営計画の予実管理などを管理会計で突き詰めていくと、社内の本当の損益やお金の動きが詳しく見えてきます。こうした動きによって無駄な費用や利益につながっていない業務などが明らかになるので、今後の改善点がはっきりします。早い段階で経営を軌道修正し、黒字決算を目指すうえで管理会計は大きな役割を果たします。

 

2-3.税務会計とは

企業活動で発生した、課税対象となる部分を算出するための会計が「税務会計」です。
税務会計を疎かにしていると正しい税額を計算できず、意図せずして脱税などの不正が起こりかねません。また、収めるべき税額がわからないので必要以上に多い税金を納めてしまうかもしれません。法人税法などの規則に従って税務会計を行えば、健全な企業経営が実現しやすくなります。

税務会計で気をつけたいのは、財務会計との差異が出る点です。収益や費用などの項目は、財務会計と違った計算で求められます。
そもそも算出する目的も違うので、両者は必ずしも一致しません。
また、税制は頻繁に改正されているので、最新情報を把握しておくことも肝心です。

3.企業における会計・経理・財務それぞれの重要性

会計は企業成長につながる経営を実現するため、もっとも重要なお金に関する業務です。
そして、会計では幅広い分野のお金を取り扱わなくてはいけません。経理から財務まで、それぞれに担当部署や人員を割り振るのが理想的です。
特に、経理は日々の雑務が多いので十分な人材が確保されていないと、事業運営に支障をきたします。
必要なときに伝票などの資料がないと、お金の出入りを正しく把握できなくなってしまいます。また、経理によって作られた財務諸表は現状分析だけでなく、事業計画の立案にも必要な資料です。財務諸表を作るにあたっては、中心となって指示を出せる担当者が必須でしょう。

経理に対し、財務は「なくては企業を運営できない」といえるほどの業務ではありません。しかし、企業の経営方針を定めるためには重大な役割を担っています。事業計画に見合った資金を調達し、将来的な経営状況を予測するには財務にも力を入れることが大事です。
ただ、中小企業で人員が不足している場合は、会計士や税理士などに依頼して完全に経理業務を外注するのもひとつの方法です。専門家との信頼関係があれば、財務でトラブルが起きてもすぐに対応してもらえます。企業側も全てを外注するのではなく、知識を育んでいけるよう努力しましょう。
また、ITを活用することによってそもそもの業務を軽量化して経理業務を効率化することも近年では非常に多くなっています。

会計・経理・財務の正しい知識を持って企業経営を行う
企業経営では、会計、経理、財務が非常に重要です。過去のお金や物品の動きを記録することはもちろん、将来の計画を立てるためにもこれらの業務は欠かせません。
専門家に依頼すれば作業を行ってくれるものの、自社のお金については自社でもしっかり把握しておきたいところです。
担当者を中心として、会計や経理、財務を正確に行える企業経営を行うことでお金の悩みや会社の数字に強い組織作りを行いましょう。

無料経営相談

財務体質改善に役立つレポート配布中!

flag人気の記事
gradeオススメの記事
中小企業が次々と資金繰り改善に成功した究極の資金繰り改善策
expand_less