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財務の基礎知識

財務4パターンの資金調達の成功事例!

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1.最新の金融機関の時流

2021年以降新型コロナウイルスの影響で金融市況も悪化、合併・統合する銀行のニュースも増えてきています。
また、地方銀行では2021年公開時点で6割が減益や赤字のため、手数料新設・値上げを導入、銀行の約7割が、引当金積み増しを行い、リーマンショック以上の市況悪化となっています。

こうした金融市況下において、どのような企業が融資を受けられるのでしょうか?コロナ前までは数値化できない部分、いわゆる定性評価を重視するべきという指針の下、各金融機関は企業を支援していたのですが、今後は返済できるか否かにより焦点が当てられ、定量評価が重要となる傾向が強くなります。

しかし、これは財務状況が良い企業しか資金が調達できないという訳ではありません。定量評価を正しく得られる企業が融資を受けられるということです。本コラムではこの“正しい評価の受け方“について事例を交えて紹介します。

2.新規調達【運転資金編】

∼将来的な運転資金の確保の成功事例∼

エリア:関東
業種:オート
年商:5∼10億
状況:仕入れ資金枠をさらに確保しておきたい

エリア:九州
業種:オート
年商:10∼30億
状況:展示場増築に伴う在庫仕入資金の確保がしたい

上記事例の資金調達の成功のコツは、“なぜ運転資金が増えるのか、どれだけ業績が伸びるのか数字で銀行に疎明“することです。多くの数値計画を見てきた中で、「この数字はどういう根拠で成り立っているのだろう」と思うことが多々あります。売上が伸びると一言に言っても、採用が好調で販売員が増えるからなのか、在庫を確保できるからなのか、取引先との交渉が上手くいく見込が高いからなのか。必ず理由があるはずで、それは売上に限らずすべての数字に共通します。資金を調達する際も、融資があればどうなるか数字を元に説明しましょう。それを踏まえて、融資をしても十分に返済が可能である妥当性があれば、融資を断る理由はなくなると言えます。

3.新規調達【設備資金編】

~業績が傾いている、新規事業への設備資金の調達に成功した事例∼
エリア:関東
業種:整骨院
年商:1∼5億
状況:不採算店舗の撤退と出展を考えているが、業績が下がっている

上記資金調達の成功のコツは、“誠実に情報を開示した”こと、“メインバンクに限らず取引行すべてに打診した”ことです。赤字が出た企業の多くは、いかにこの事実を隠すか、前向きにとらえてもらうかに注力しがちです。ですが、金融機関側も注意深く開示資料や社長の説明を伺うため、「この部分には触れないな」「どうにも理屈がわからない」と気づいた場合は実態以上に疑いの目をかけてしまうこともしばしばです。赤字が出た理由はこれです、だからこの対策をとるので売上やキャッシュフローはこうなりますと説明されれば、金融機関も前向きにとらえてくれるケースもあります。
また、メインバンクとの二人三脚にこだわる企業もよく見かけます。赤字に限らず苦しい時期を支えてくれる金融機関はもちろん貴重です。ただ、自社の状況が一転した際にメインバンクの意外な姿勢が見えてくることもあり、そうした時こそ一度取引行すべてにフラットに接することで、本当に自社へ向き合ってくれる金融機関に気づけます。
上記事例は取引行すべてに説明・打診をした結果、借入残高シェア下位行から状況を打破する投資の資金をプロパーで出してもらえました。

4.条件改善編

∼既存借入の期間や担保といった条件の改善に成功した事例∼

エリア:関東
業種:介護福祉
年商:1∼5億
状況:短期継続枠(当座貸越)と同額の担保を取られている

上記資金調達のコツは、“お願いだけをしない”ことです。企業が融資をお願いする際、こちらの要望を伝えることに注視し、金融機関の見解を伺わないことがよくあります。また、金融機関側も聞かれない限りすべてを伝えてはくれません。自社のどの部分を注視しているのか、今現在の取引をどう捉えているのか等をできるだけ対話しながら伺わなければいけません。
この事例は新規行との付き合い開始時に自社の状況や見え方を客観的に伺い、金融機関が自社の今後においてどう関わってほしいか、どの部分でメリットがあるかを感じてもらった結果、担保をとらない形で同等の融資枠を引き出せた好事例です。

5.珍しい成功事例

∼資本性劣後ローンの導入事例∼
エリア:中国
業種:住宅不動産
年商:1∼5億
状況:コロナ禍+ウッドショックで債務超過になり、資本性劣後ローンの実行へ動いた

昨今よく聞く資本性劣後ローンの活用事例も紹介します。
資本性劣後ローンとは、数年後一括で返済をする借入で、返済の優先度が“劣後”するため“自己資本”として判断してもらえる融資形態です。
その結果、自己資本を短期間で厚く持て、そこからの融資協力を得やすくなるという魅力的な融資形態です。
ただ事業計画や資金繰りの資料は妥当性の高いものを求められ、資料作成や数回の面談を要するため期間もある程度かかります。
ここで伝えておきたいことは、融資制度の存在を知っているだけで、早めの対応やそれを見越した準備が可能である為、普段から金融機関からコミュニケーションをとり、提案をもらえたり協力姿勢を示してもらえるよう動いておきましょう。

この事例は金融機関から提案があり、資本性劣後ローンの導入にも率先して協力してもらえた、コロナやインフレといった有事の際において理想的な事例です。

6.まとめ

本コラムでは資金調達の事例やそのポイントをいくつか紹介しました。

資本性劣後ローンの紹介で記載した通り、知っているかどうかだけで金融機関との関係性や融資の可否は大きく変わります。

融資を受けられるかどうかにおいて、財務・業況(=定量面)は当然重要です。ただ、それだけでは最大の成果は得られません。自社の魅せ方、金融機関の視点を理解し、“正しい評価”を受けられるよう普段から準備を進めていただければと思います。



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