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銀行向けに「やってはいけない決算対策」と「やるべき決算対策」

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〇銀行向けに「やってはいけない決算対策」

銀行向けに「やってはいけない決算対策」があることをご存知でしょうか。
決算対策は財務戦略上欠かせない部分でもあります。
まずはP/L(損益計算書)の部分で多くの経営者の方が行っている銀行にとって好ましくない決算対策の事例をご紹介します。

1.減価償却費を計上しない(償却不足とする)ことで黒字決算
2.保険金の還付(営業外利益)があるから営業利益は赤字、でも経常利益は黒字の決算
3.節税のために当期利益は少額黒字

この例を見て自分もついついやってしまうなと思われた方も多いのではないでしょうか。

1、2、3の例を見て、あなたは銀行からの見方も黒字決算として判断されて(安全な企業として捉えられ)今後の資金調達にも支障が出ないと思っていませんか?

勘の良い方はお気付きだと思いますが、実は銀行からは赤字会社財務脆弱企業として捉えられる恐れがあります。
要するに今後の資金調達がしづらい可能性があり最悪の場合は借入ができないことも考えられます。
そのため、間違った決算対策は事業成長の機会を逃しかねない気を付けるべき重要な部分です。
ここでは、決算対策は節税だけが全てではなく、事業を成長させるためにも重要な部分であることを押さえていただきたいです。

〇銀行とのお付き合いを考慮した「決算に向けて気を付けておきたいこと」

パート2では、主にB/S(貸借対照表)の部分で「決算に向けて気を付けておきたいこと」の事例についてご紹介します。

1.経費精算が手間で社長との貸借で計上。
2.算前に銀行からの売り込みで余剰借入。
3.勘定科目明細は出していない、出してもざっくり。
4.すぐに販売する資産を固定資産へ計上。
5.保有不動産の使用目的が不明確。
6.勘定科目を分けすぎて売掛金・買掛金などの判別がしづらい。
(未収金・前渡金などの入り繰り)
7.劣後ローンを利用しているが調達状況がわかる資料を銀行に提出していない。
8.赤字決算となったが理由がわかるような説明資料を特に提出していない。

となります。

このような決算に対して銀行から、
1.資産をゼロ評価
2.代表者保証の免除不可
3.スコアリング(企業の格付け)のダウン
とみられて
資金調達がしづらい、そして最悪の場合は借入ができなくなる恐れがあります。

財務戦略を構築し、B/S(貸借対照表)をしっかりデザインすることは、銀行と良好なお付き合いをするために重要なことです。
ここでは、B/S(貸借対照表)を財務戦略に沿ってデザインすることが、財務基盤を強化し、成長機会を拡大させる重要なことだということを押さえていただきたいです。

<タイプ別>銀行向けに「やってはいけない決算対策」

<タイプ別>銀行向けに「やってはいけない決算対策」についてご紹介をしていきます。

先ほどご紹介しました、銀行向けに「やってはいけない決算対策」として銀行向けに好ましくない決算対策についてご紹介しましたが、
会社のタイプ別で銀行向けに「やってはいけない決算対策」についてご紹介します。

タイプ別とはどんな種類があるのかというと、
1.戦略失敗型
2.策不足型
3.無防備型
があります。

詳しく説明しますと、
1.戦略失敗型
このタイプの方は、儲かっている会社に多く、実力はあるが結果的に、評価を落している可能性があります。

本来の実力で損益を形成すれば、もっと高い評価を得られるが、銀行が好まない決算対策を行っていることで低い評価にとどまっている可能性があります。
(例えば、保険解約金などがあることで営業赤字としているような会社)
節税するために過剰な税金対策をして最終利益が毎期少額となっていることで、純資産の蓄積が進まず安全性が低い会社と判定されてしまいます。
(例えば、一括償却を利用するなどして最終利益が赤字の会社)

2.対策不足型
このタイプの方は、損益が厳しい会社に多く、損益改善後も評価を落している可能性があります。

費用の調整で黒字を確保し、黒字決算と見られていると認識している。
(例えば、減価償却不足により赤字を黒字としているような会社)
お付き合いでの借入を行うことで関係性を構築しているが、他行からのスコアリング(企業の格付け)は悪くなっている。
(例えば、決算期末に不要な借入を行い、銀行が企業を評価する時に判断する財務指標が悪くなっているような会社。不要にもかかわらず保証協会付の借入をしているような会社)

3.無防備型
このタイプの方は、対策を特に講じていないことで、自社の評価を落している可能性があります。

ありのままの情報をそのまま提供することで、銀行からうがった見られ方や、保守的な取られ方となっている。
(例えば、経理的な処理の関係で代表者個人との貸借が生じている)
情報の提供が不足しており、スコアリングが低くなっている。
(例えば、劣後ローンなどのプラス素材の資料の提供不足。情報開示が少なく不明瞭資産が多いことで控除項目の多い会社)
というタイプに分けられます。
あなたの会社はどのタイプでしたか?
自社の銀行向けに「やってはいけない決算対策」のタイプを知ることで今後の決算対策も大きく変わってきます。

自社のタイプを把握する大切さをお分かりいただけましたでしょうか。
銀行向けに「やってはいけない決算対策」で該当された方は決算対策の見直しを検討していただくことをお薦め致します。

〇銀行向けに「やるべき決算対策」

先ほどまで銀行向けに「やってはいけない決算対策」についてご説明してきましたが、実際どんな決算対策をすれば良いのかわからない方もいらっしゃると思いますので先ほど紹介しました、タイプ別で銀行向けに「やるべき決算対策」についてご紹介をしていきます。

1.戦略失敗型
「納税は出来るだけ抑えたいが、銀行の評価は下げたくない」

・税務対策をしつつ銀行の評価を下げないようにするには・・・
特別損益で調整するようにしましょう!
課税所得を抑える効果で言えば、どの利益で調整しても同じです。
銀行は常時発生する利益(営業利益・経常利益)を重視する傾向が強いです。
※実際に手続きする際は税理士の方などの専門家からのアドバイスをもとに手続きを頂きますようご注意願います。

2.対策不足型
「そうは言っても業界の許認可の関係上黒字が絶対で、銀行からのお願いも断れない」

・減価償却費などで調整せず黒字決算を確保するためには・・・
費用項目や繰入繰越などで資産や負債に計上出来るものや、損益への計上可否の調整が出来ないか検討しましょう!
決算調整を加えるのであれば本来の効果を考慮して調整する方が望ましいです。
※実際に手続きする際は税理士の方などの専門家からのアドバイスをもとに手続きを頂きますようご注意願います。

・銀行との関係構築をしつつスコアリングを落さないようにするには・・・
自社の決算期以外のタイミングで借入協力を行うことが出来ないか検討しましょう。
仮に自社の決算が3月決算などであっても9月には借入の協力を行うなどでバランスを取りながら銀行との関係構築する方が望ましいです。
※実際に手続きする際は税理士の方などの専門家からのアドバイスをもとに手続きを頂きますようご注意願います。

3.無防備型
「そうは言ってもどこまで情報開示をすればいいのかわからないし、開示しすぎると色々聞かれて困る」

・手間をかけずに決算内容をより良く見せるようにするには・・・
資産勘定・損益で金額が大きい部分を重点的に説明するようにしましょう。
資産価値や損益の見方の違いで目線にズレが生じやすいので、影響の大きい物(金額が大きい部分)から正しく評価をしてもらえるように情報を開示していきましょう。
※実際に手続きする際は税理士の方などの専門家からのアドバイスをもとに手続きを頂きますようご注意願います。

その他
①法人と個人の資産は分離しましょう。
②自社の評価が上がると思われる資料は出来るだけ提供しましょう。
③銀行のお願いを聞いて借入条件にこだわらないのはやめましょう。
④決算書は必ず自身で見て違和感があれば直しましょう。

以上のことが銀行向けに「やるべき決算対策」の1部となります。
しかし、自社のB/S、P/Lの中身をしっかり理解していないと、なかなかタイプを見分けることも難しいと思います。また、今後の事業展開を踏まえることも重要になってきますので、財務戦略としての決算対策を行っていく必要があります。

〇まとめ

これまでに取り上げました銀行向けに「やってはいけない決算対策」、タイプ別銀行向けに「やってはいけない決算対策」その逆に銀行向けに「やるべき決算対策」をご覧になられてドキッとされた方も多いと思います。
今まで良いと思ってやっていた、もしくは知らずにやってしまっていた決算対策などがありましたら今後の銀行からの借入に支障をもたらす恐れがあります。

そんなことが起こらないようにしっかりとした決算対策をすることが大切です。
もっと詳しく知りたいと思われた方は専属の税理士先生(銀行との正しい付き合い方をご存知の方)にご相談いただくか、弊社にご相談いただければ無料財務相談を貴社の財務分析(現状のタイプや課題の把握が可能)も兼ねて実施いたします。

資金が必要な時に借入ができない・・・
とならないためにも銀行に向けて見栄えの良い決算書を作ることが必要です。
今回のコラムを基に、今後の決算対策に活用していただければ幸いです。

https://www.funai-finance.com/consultation (船井総研 無料財務相談URL)

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