財務トピックス(コンサルタントコラム)

成長をコミットさせられる社長だけが知っている資金調達戦略(2)

前回、資金調達戦略を考えるうえで「必要な時に資金調達を行い、お金が入ってきたら借入金を返せる体制」を構築することが重要だということについてお伝えさせていただきました。
前回の内容はこちら

今回は資金調達戦略のポイントを事例を用いてお伝えします。

 

2.戸建分譲事業に参入して成長を加速させた事例

「そうはいっても相手(銀行)がある話だから自社においては難しいでしょ?」
「机上の空論でしょ?」
といわれるかもしれませんが、いやいやそれは違いますと強く否定させてください!
机上の空論ではなく、成長期に入る初期段階からお金が貯まるような資金調達構造を知って、その通りに資金調達⇒運用を実現し、成長を加速させた事例は現実に多々あるのです。

代表的なビジネスモデルでいうと、戸建分譲住宅ビジネスへ新規参入に成功した事例です。

既存の事業だけでは利益を確保することが難しく、それ以上の成長も見込めなくなりつつある時代に、既存事業に戸建分譲住宅ビジネスを付加し、付加価値を提供し業績をアップしようとしている企業は増加しております。

そんな競争環境が激化している状況下、戸建分譲住宅ビジネスにおける成功のカギは資金調達戦略にあります。

同ビジネスで押さえるべき資金調達戦略のポイントは、ズバリ土地仕入から建物原価まで100%短期借入にて資金調達できるかです。
1.土地を仕入れる(支払の)タイミングでお金を借りる
2.上物を建てる(支払の)タイミングでお金を借りる
3.住宅が売れてお金が入ってくる(入金の)タイミングで1、2で借りたお金を全額返す

ものすごくシンプルですが、この3ステップができる仕組を構築できる会社が成長を加速させられているのです。

成功まで至れていないよくあるケースは以下の通りです。

土地仕入のみ短期で資金調達を行い、建物原価分が資金調達できない(自己資金を入れる)ケースです。
昔ながらの古典的なクレジットポリシーを堅持している銀行においては、「建物原価相当額については自己資金で対応すべし」というスタンスを貫く場合が少なくありません。
建物原価相当額を資金調達できない企業側は、やむを得ず、約定弁済付の長期借入で資金調達を行い、分譲住宅が売れた後も、その時の長期借入が残存し続けてしまいます。
このような資金調達を継続して行い、長期借入返済が複数重なり、返済負担が増え続けるという事象に陥りがちです。

銀行側がクレジットポリシーを持っている場合があるといいましたが、借り手である企業サイドも調達ポリシーを持つべきなのです。

我が社は成長を加速させるために、
・金利が高くても
・個人保証を差入してでも
・別の担保を差入してでも
・保証協会の枠を使ってでも

資金繰りが傷まないように資金調達を行っていくと。

上記のような明確な調達ポリシーを持って、「必要な時に資金調達をし、お金が入ってきたら借入金を返せる体制」を構築し、借入金に明確な色分けを行っている会社が成長を加速しているのです。

戸建分譲ビジネスでいえば、土地仕入から建物原価相当額までの必要資金を織り込んだ資金枠、例えば当座貸越枠や手形借入枠を確保できている会社が、資金繰りを痛めることなく、攻めの経営を行うことを実現し成功しています。

分かりやすいビジネスモデルの事例として戸建分譲住宅ビジネスを採り上げましたが、ほかのビジネスモデルでも同様のことが言えます。

心当たりはないでしょうか?
自社は成長期にあるにもかかわらず、仕入から販売までに必要となるいわゆる運転資金について短期借入金ではなく、約定返済のついた長期借入金で賄っているかどうか確認してみてください。本コラムを読んで、気づきが得られたとしたら、今がマインドを切り替えるチャンスです。

 

3.短期借入金にて目指すべき資金調達金額

それでは目標とする短期借入金の資金調達金額はどの程度の水準を目指していけばよいのでしょうか?成長期にある企業においては、過去ではなく未来の目標数値に向けて資金調達金額を決定していくべきです。

戸建分譲住宅ビジネスの場合でいえば、成長するために必要な資金調達額を以下に基づいて概算で算出しています。

【必要資金の概算値算出】
a.土地平均仕入原価
b.上物平均建築原価
c.年間目標販売棟数
d.土地仕入~販売までの期間
⇒(a+b)×c×d÷12か月

(例)
a.1000万
b.2000万
c.30棟
d.8か月
⇒(1000万+2000万)×30棟×8か月÷12か月=6億

つまり例に上げた会社では、年間の販売目標棟数≒目標売上をクリアするためには、前期末の時点で6億円の資金調達ができるような体制となっていなければなりません。

必要資金の概算値が算出できたら、あとは金利が高くても、個人保証を差入してでも、別の担保を差入してでも、保証協会の枠を使ってでも、土地仕入から建物原価まで100%短期借入で協力が仰げる銀行を数多く当たり、交渉を行っていけばよいのです。

上記計算式では、戸建分譲住宅ビジネスにおける、未来の必要資金の概算値を算出しました。
それ以外の事業でも現在の月商から実現したい将来の月商に基づき、以下の計算式で概算値を算出は直ちに可能です。
【計算式】
(将来月商-現在月商)×(売上債権回転期間+在庫回転期間-支払債務回転期間)
※将来必要資金を積み増しするという考えの計算式

成長期の資金戦略とは少し外れてしまいますが、未来ではなく実績に基づいて、必要資金の理論値を算出したい場合、本来であれば運転資金は日繰り表から収支差のピークを割り出すことが最適です。

しかし、事業会社の現場で日繰り表を作成しているケースはまれであるため、月次の試算表を読み解くことが一番の近道ではないかと考えます。
12か月分、できれば24か月分の試算表を用いて運転資金(売上債権+在庫-支払債務)を算出し、年間所要運転資金が最大化する月を見出し、最大値に基づいた適切な短期資金調達金額を算出することも一つの手です。

以上により算出した理論値に基づき、自社の融資金額がアッパーとなる金額の目線、担保提供可能額や、保証協会の空き枠等々の要素をにらみつつ、資金調達可能かどうかの判断ください。

 
その後銀行との交渉をどのように進めればよいかについてお聞きになりたい方は、一度経営相談窓口までご連絡いただければコンサルタントより資金調達戦略の方向性について具体的にお話することは可能です。

どうぞよろしくお願いいたします。

【この記事を書いたコンサルタント】
石田 武裕

政府系金融機関にて10年超、融資営業・審査一体となった業務を経験した後、船井総合研究所に入社。
300社超の企業経営者に対する課題解決に向けた融資営業・審査業務を通じ、多岐にわたる業種の財務分析・審査・金融商品等に関する豊富な知識・経験を有する。
経営者の夢に寄り添いながらも、徹底した現場主義を貫き、企業経営者、従業員とともに汗をかいて支援に取り組むことをモットーとしている。

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