財務トピックス(コンサルタントコラム)

成長企業がとるべき決算対策とは(2)

~金融機関に向けた、決算対策の方法~

前回、「なぜ財務的な決算対策が必要なのか」「どんな決算対策は気を付ける必要があるか」ご紹介させていただきました。
前回の内容はこちら

今回は実際に財務的な目線で決算前と決算後でどのような対策を講じる必要があるかをご紹介します。
 

3.決算前対策

3つの指標をチェック
金融機関では、格付けというスコアリングシステムを導入しており、安定的な資金調達を可能とするためには、少しでも高い格付け評価を受ける必要があります。
中でも重要な指標が以下の3つです。

1)債務償還年数  10年以内

2)自己資本比率  10%以上

3)借入依存度   60%以内

金融機関によって、この3つの指標の計算方法や適正値は異なってきますが、
この3つの指標がすべて基準値に入っていれば金融機関から一定の評価を得られていると推測できます。

1)債務償還年数
金融機関が最も重要視するポイントであり、会社の返済能力を判断するための指標です。
決算時点のキャッシュフロー(=返済原資)で、借入が何年で返済可能かを検証しているのですが、決算対策で重要なのが、キャッシュフローとなります。
簡易的には、「利益+減価償却費」がキャッシュフローとなるため、今期の利益額が重要な要素となってきます。

2)自己資本比率
企業の安全性を示す指標であり、自己資本比率が高ければ高いほど安全性が高く、一般的に自己資本比率40%以上の企業は安全性が高い企業と言われています。
自己資本比率を上げるには、
(1)貸借対照表の「総資産」を圧縮する 
(2)純資産(前期純資産+当期純利益)を増やす 
の2つになります。

3)借入依存度
借入依存度とは、企業の安全性を示す指標のひとつで、返済能力を評価するときの指標です。この借入依存度が高いほど、借入金の返済能力の評価は低いと判断されます。
この借入依存度を低くするための代表的は方法は、
(1)純資産(=株主資本)を厚くする
(2)有利子負債を減らす
 ※有利子負債とは、その名の通り利子の付く負債(借金)
の2つになります。

では、
この3つの指標を押さえたうえで「利益額」を調整した決算対策の例を見てみたいと思います。利益額が変わることで3つの指標がどのように変化しているか着目して下さい。


 

     
上記2つの表を見比べて頂ければわかる通り、各指標がギリギリの決算内容の場合、
利益額によって大きく指標が変化し、金融機関内のスコアリング、すなわち調達環境に影響を及ぼしてしまいます。

冒頭に、節税対策が会社の首を絞めることも、、と書きましたが、
上記の指標がクリアできている会社であれば節税は非常に有効的な決算対策となりますが、
ただ納税額を少なく、、といった税務対策は危険をはらむことがあると認識頂ければと思います。
要は税務対策と財務対策のバランスが非常に重要であり、

・安定かつ継続的な資金調達が必要な企業
・設備投資が必要な企業
・3年以内にM&A等の投資を考えている企業

などは、成長を目指される企業は、未来を見据えた戦略的なB/S、P/Lを作る事が必要になってきます。

これまで、決算の着地対策に関する内容に触れてきましたが、加えて決算後対策についても触れたいと思います。
 

5.決算後対策

決算後対策というとあまり聞かない言葉かもしれませんが、“適切な情報開示”と言い換えれば、馴染み深い言葉になるのではないでしょうか。
この適切な情報開示をしているか否かでも、金融機関での評価が変わることもあります。
金融機関では決算上のB/S、P/Lの数字だけでなく、不良性の資産が内在していないか、企業の本当の収益力はどのくらいあるか、など決算書から“企業の実態”を読み解いたうえで、評価を決定しています。
つまり、担当者の主観的な判断によって事実との”ズレ”が生じる場合があります。そこで、そのズレを解消できるような情報を開示が必要となってきます。

私が決算書を見る中でよくあるケースが

・勘定科目内訳明細書を大雑把に記載している
 (Ex.売掛金〇件〇〇円とまとめての記載や、詳細不明の有価証券など)
・保有不動産の使用目的が不明確である
・損益状況の補足説明を出していない

など、上記のような情報開示を蔑ろにすることによって、
場合によっては「資産価値の減算」や「格付け評価のスコアリングダウン」など自社の評価を知らず知らずのうちに下げているようなケースが多くあります。

情報開示のポイントとしては、
・資産内容は可能な限り明瞭に開示する
・今期の損益状況の補足説明資料を開示する

 
最後までお読みいただきありがとうございました。

【この記事を書いたコンサルタント】
鈴木 浩史

千葉県出身。大学卒業後、信用組合に入社。
5年超、個人・法人営業に従事し、3期連続営業No.1となる。また、事業性評価による融資実績を持ち、社内のモデル事業として取り上げられる等、常に経営者の身になってソリューション提供を実施。
船井総合研究所に入社後は、財務診断、事業計画策定、銀行交渉を通して、経営者が描く企業像の実現を追及している

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