財務トピックス(コンサルタントコラム)

対金融機関 面談の基本マニュアル③

〇対金融機関 面談の基本マニュアル

金融機関との面談は、立てた資金調達計画を実行できるかどうか、あるいは当面の資金繰りを見通せるかどうかということを左右するため、非常に重要なものです。
たとえ自社が無借金経営で今は金融機関の世話にならないと思っていても、大型の設備投資やM&A、事業承継という転換期を迎えれば、必ずそこに金融機関からの資金調達という選択肢が出てきます。

その点で日頃から金融機関と面談している企業も、今後のイベントに備えて今の内に金融機関とうまく付き合っておきたい企業も「一体、金融機関とはどんな考えて顧客と向き合い、仕事をしているのか」ということを知るのは重要です。
今回はシリーズの第3回として、第1回・2回に引き続き金融機関とのうまい付き合い方に関して考えていきたいと思います。
 
(※過去記事にも記載しておりますが、シリーズで紹介しております「金融機関の5大面談パターン」は、あくまで筆者の経験等に基づく分類であり、実際の金融機関面談はより細分化されるべきものですが、あえて分かりやすく大まかなセグメントで分類しております。日々の面談の参考として、お読みください。)

 

〇金融機関の面談5大パターンはこれだ!その

③商品提案面談(≒本部・関連会社帯同面談)

金融機関の担当者はお金を扱う性質上、癒着を避けるために数年おきに交代しますが、それでも自社にとって重要となるのはその間に担当者がいかに優秀で、スピード感をもって案件対応してくれるかという点です。
担当によってはまず自分のところでニーズをさばきながら、難しい部分は「コンサルティング事業部」「不動産事業部」「相続ビジネス事業部」など、本部の専門部員を連れて、高度な提案をしてくる場合もあるでしょう。
前述のような大型設備投資や、M&Aといった特殊なスキームが求められるものには、それこそ本部や関連会社がやってくるケースが発生するかと思います。

今回想定する面談は、このような「金融機関が、普段付き合いしている支店以外の人を連れてきた」というものです。
近年は特に規模の大きな地方銀行や都市銀行が「貸出業務だけではない顧客の各種金融ニーズに応える」という名目で、もはや銀行業務を大幅に超えたツールを提案している場合があります。

(※参考・過去記事:銀行の「人材ビジネス」で考えるウマい銀行交渉

 
なかには「○○銀行リース」や「○○銀行カード」という関連会社も活用し、グループ横断で提案を持ってくる銀行も見たことがあるかもしれません。
提案を受ける側としては「へえ、そんなこともやっているのか」と感心してしまいますが、では今回のパターンではどこに注意して交渉をするべきでしょう。

筆者はズバリ、

「銀行員は”仲介者“に過ぎないことを知る」ことだと考えています。

ところで、自社に本部・関連会社の人間が来る際には、それ以前の面談時に担当者が「本部でこうしたニーズにもお応えできますので…」といった発言をしていることがほとんどかと思います。
特に金融機関が関連会社を帯同させる場合、グループとはいえ他社へ顧客情報を流すことになるので、何らかお作法的に紹介したいような話をしたり、同意のサインを求めてくるケースがあります。
ポイントはその際、担当者が無理のない範囲で「どんなメリットがあるか」「料金面やデメリットはないのか」等を事前に示してくれたかという部分です。

「事業承継といっても随分先の話で、少し話しただけだったのに仰々しく本部を連れてきて提案してきた」

「振込手数料の引下げ交渉をしたが、手数料の話はそらして何やら本部と決済サービスの提案をしてきた」

これらは私が日頃お伺いしているご支援先の社長から聞いたことがある金融機関の「いけていない」動きですが、これら状況が見受けられる様子なら注意。
その担当は“仲介者”としてツールがあることを知ってはいますが、本質的にニーズに落とし込めるほどうまく使えていません。

専門部署を用意しているということは、金融機関もその部署を重点的に活用したいと考えている証拠。必然と支店には本部を活用するよう指示が出ているはずで、担当者も何とか役に立とうとしてくれているのかもしれません。
しかし、実際に多くの社長・経理部長から上記のようなお話を聞く限り、なかには「何となく話題作りで」のような乱暴なきっかけで紹介している事例もあるように思われます。

金融機関は本部や関連会社商品という多数のツールを持つものの、やはり専門領域はファイナンスであり、その域を飛び越えニーズを発掘できる方は多くありません。
保険や関連会社商品はそもそも金融マンが業法上具体的に商品を語れない性質があり、こちらも「餅は餅屋」と直接専門の会社に相談するか、金融機関を経由するとしてもこちらから具体的に要望を示さねば、意図したマッチングをすることは難しいはずです。

金融機関はファイナンスのプロ、第一にファイナンス面を煮詰める存在であってほしいものです。

 

〇まとめ:あくまでファイナンスが主軸

今回はシリーズものの第3回「金融機関が取引支店以外の本部や関連会社を連れてきて、提案をしてきた場合」に関しての考え方やうまい交渉術に関して紹介しました。
前章の最後に書きましたが、金融機関に求められるど真ん中のテーマはやはり「ファイナンス」であり、我々も金融機関と対峙した際に、いかに資金繰りと立てた資金調達計画をうまく伝えられるかがポイントになります。
その面談のなかでときにはM&Aや事業承継、リースや保険などの手法・ツールが有効策として出てくる場合があり、この際に初めて金融機関へ紹介・仲介を依頼するスタンスが、最も好ましい付き合い方ではないかと考えます。
金融機関側の都合やノルマ、件数を稼ぐための紹介であれば、それはこちら側からしかるべき方法で本質的ニーズと異なっていることを示すことが大切です。

真に必要なものを見極め、自社主導で先方の持つ最善手を引き出す交渉を目指してみてはいかがでしょうか。

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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