財務トピックス(コンサルタントコラム)

対金融機関 面談の基本マニュアル①

〇対金融機関 面談の基本マニュアル

貴社のなかで、金融機関と日々面談をしているのはどなたでしょうか。社長本人、役員、経理部長、総務部長、主任…。会社によって立場も年齢も人間性も違う方が窓口となっているかと思いますが、金融機関との面談はときに「金利・融資期間・金額」という資金調達部分で自社財務に如実に影響を及ぼすため、決してないがしろにすることができません。一方で銀行員からアポイントの依頼があり、何か話があるのかなと用意して席についたら、話すのは他愛のない世間話や不要な商品提案、さらには上司を連れてきて挨拶だけ…等「銀行はいったい何を考えてうちに訪問しているのか」と、面談が億劫になってしまう時もあると思います。

筆者も元銀行員として、様々な業種・業界のお客様と面談をしたことがありますが、思い返してみれば銀行の面談にはコンサルタントの「月次支援」とは一味違う独特のロジックや意図があったと感じます。

金融機関と面談する際、何か良いコツはないのか。日々の面談を何となく、意味のないようなもので終わらせないよう、こちら主導で付き合い方を変える方法はないか。

そこで今回から複数回に分け、金融機関という債権者サイド、そして財務のコンサルタントという債務者サイドの両方を経験した筆者が思う、金融機関とのより良い付き合い方の基本をお伝えしたいと思います。

 

〇金融機関の面談5大パターンはこれだ!その

早速ですが、金融機関が貴社にやってくるパターンを5つに分類して考えてみましょう。今後紹介するこれら5パターンは番号が大きいほど重要性が高く、こちらからの働きかけが有効となる場合が多いものに位置づけされると考えております。

(※なおパターンは筆者の主観によるもので、金融機関の面談も当然案件や会社の事情に応じてより細分化されています。あくまで、参考として見ていただけますと幸いです。)

 

①定例面談(≒メンテナンス面談)

「近くを寄りましたので」というスタイルが通用するのは、債権者という強い立場を持つ金融機関だけではないかと筆者は考えていますが…定例面談は、こうしたフラリと担当が会社を訪問するケースです。ただの関係構築でしょうと思えばそれまでですが、意図していなかった面談も、以下ポイントを押さえて活用すればあとあと効果を発揮するかもしれません。それは、

「金融機関は常に融資のタネ(案件)と、タネを育てる”肥料”(稟議の材料)を探している」という点です。

金融機関の営業担当は、自らが担当する会社を

・与信の面(お金を貸している・いない、貸せる・貸せない、貸したい・貸したくない等)
・採算の面(儲けられる、金利等が低くて儲からない等)
・定性の面(社長に会える、ないがしろにされている、人間性が合う・合わない、他行が来ている・来ていない)

というおおむね3つの目線で判断します。営業マンならまず顧客の様々な情報を理解することが重要ですが、金融機関は特に「カネを貸して儲かるか、カネを貸すための素地は整っているか」という目線が根底にあるということですね。

しかし会社も金融機関も忙しいこの時分、なかなか1回30分程度の面談で3つの情報が完璧になることはありません。経験の少ない金融マンが自社の担当なら、融資のために面談したのにその後何度も質問電話が来た…ということもあるのではないでしょうか。融資という業務は性質上、売りたい・買いたい(融資を受けたい)という合意形成1つでは成立しないため、このような事態が発生し、時間がかかってしまいがちです。

では、情報戦を制する会社はどのようにここを潜り抜けているのか。

それがまさに「定例面談での財務戦略の”付けたし”」です。

例えば、試算表1枚を出すにしても、

・前月の業績は「なぜ」この売上・利益に着地したのか
・在庫が増えた(減った)のはなぜで、今後どのように推移していくのか
・昨年同期と比べての業績は良いのか、悪いのか、原因は何なのか
・次にもし融資の案件が発生するならば、いつ頃を想定しているのか
・他行の金融機関からは同じ試算表を出してどのような話が来ているのか

という補足を定期的な面談の際にでもどんどん付け足しておけば、それだけで金融マンの頭の中には融資のタネが植え付けられ、それを成長させる”肥料”が蒔かれることになります。

「その在庫は1件おいくらくらいのもので、どのくらいのサイクルで売れるのですか?」

「へえ。今年は寒波の影響で、温かい飲食物を扱う貴社の客足が逆に伸びたのですね」

と、金融マンは追加で他愛もない話をしているようで、勝手に「おっ、ということは運転資金(経営に必要なお金)が今後さらに必要になるから、融資のチャンス?」と考え、次以降の面談はおいしい話を盛り込んだものにアレンジしてくれるようになるでしょう。ポイントは、銀行員が来た際には受動的にならず、いかに何もない平時に来る有事に備えて適切な情報開示を行うかという部分です。

何もないのに立ち寄ったということは、相手も何か今後につながる材料を探しているということ。もちろん時と場合にもよりますが、せっかくなので自社主導で「導く」面談にしたいですよね。

【POINT】銀行員の定例面談は主体的に活用。今後の案件などのために、自社の「付け足し」情報を出す

 

〇まとめ:金融マンに自社のことを熟知してもらおう

今回はシリーズの第1回として、金融機関との上手い付き合い方の第1歩「平時の際の財務情報開示」に関してお伝えしました。次回以降に関しても、引き続き金融機関との上手い付き合い方として、

②ノルマ消化面談(≒お願い面談)

③商品提案面談(≒本部・関連会社帯同面談)

④上司帯同面談(≒リレーション強化面談)

⑤案件処理面談(≒条件交渉・事務手続き面談)

という残り4つのケースに関して発信できればと思います。ただ、特に今回のケースは全ケースの中でも最も基本中の基本であり、前提として社内でいつも開示できるような財務情報の整備がなされていること、それを発信することができるキーマンがいることが重要になってきます。自社の場合はそれを誰に任せ、どこまで準備ができているのか。1度確認してみてはいかがでしょうか。

 

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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