財務トピックス(コンサルタントコラム)

自社株式の評価額はどのように算出されるのか

皆様、本日も宜しくお願い致します。
船井総合研究所の島田隆守です。

本日は前回の「事業承継を思い立ったら考える3つの方向性」に続きまして、
多くの経営者が意外と知らない「自社株式の評価額を算出する方法」について
具体例を用いてご説明します。

見出しは以下のようになっております。
1.なぜ自社の株価の評価方法を知っておく必要があるのか
2.自社株式の評価額を算出する方法
3.具体例を用いて評価額を計算

1.なぜ自社の株価の評価方法をしっておく必要があるのか

見出しの通り、なぜ知っておく必要があるかというと簡単にいえば、
事業承継を行った場合に必要になってくる納税額を概ね把握して、
以下2点に関して把握してもらうためです。
①株価対策を講じる必要性を感じてもらうため
②どこの部分で対策を講じることで効果が出るのかを知ってもらうため

上記①の補足として、事業承継に必要な納税額は下記3つのパターンがあります。
I.  自社株式の相続により発生する税金(自社株式の評価額に対する相続税)
II.  自社株式の生前贈与により発生する税金(自社株式の評価額に対する贈与税)
III. 自社株式の売却により発生する税金(自社株式の譲渡益に対する譲渡所得税額)

自社株式の評価額を知ってこそ、事業承継に必要な納税額を概ね把握できるので、
株価対策の必要性を感じていただくということです。
(Ⅲにおいては後継者が自社株式を買い取ることが出来るのかという点で)。
一番皆様が気になる株価対策については今後のメルマガにて、掲載していきます。

それでは、前置きが長くなりましたが、
まずは本題の自社株式の評価額を算出する方法についてご説明します。

2.自社株式の評価額を算出する方法

非上場株式の株価評価の方法は以下のステップによって行われます。

STEP1.評価方式の確認
STEP2.会社規模の確認
STEP3.該当する評価方式の計算方法

STEP1.評価方式の確認

 

ここで、特例的評価方式(配当還元方式)になった方は
STEP3の最後の方にある配当還元方式の計算式までお進みください。

【用語解説】
以下に平成29年改正後における用語の解説を記述します。
税制改正などにより、数値の部分などが変更される場合もございますのでご留意ください。
また、こちらのページにおける用語解説は
国税庁ホームページの用語解説を参考に要約したものとなります。

・「同族株主」とは
課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及び
上記①、②が保有する議決権の合計数が
評価会社の議決権総数の30%以上である場合におけるその株主及びその同族関係者

・「同族関係者」とは
以下①、②などが一般的にあてはまりやすい項目になります。
①株主の親族:「配偶者」及び「6親等内の血族」、「3親等内の姻族」
②株主(上記①の親族も含む)の1人が「その他の会社」の株式を
議決権総数の50%以上有している場合における「その他の会社」

・「中心的な同族株主」とは
課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及び
上記①、②が保有する議決権の合計数が
評価会社の議決権総数の25%以上である場合におけるその株主及びその同族関係者

・「中心的な株主」とは
課税時期における同族株主のいない評価会社で、株主の1人及び
上記①、②が有する議決権の合計数が
評価会社の議決権総数の15%以上である場合におけるそのグループのうち、
単独で評価会社の議決権総数の10%以上の議決権を有している株主

STEP2.会社規模の確認

①取引高基準

「取引金額」は直前期末以前1年間(前期)における
評価会社の目的とする事業に係る収入金額のことです。

②総資産価額・従業員数基準

上記の2つ表を使って、自社がどの規模の位置にあるかを確認してください。
上図の①、②のいずれか大きい方が会社規模になります。
従業員が70人以上の場合はどの業種であろうと、
総資産が僅かであろうと、「大会社」になります。

STEP3.該当する評価方式の計算方法

ここでは、上記STEP1、STEP2を通して、確認してもらった条件に基づいて
計算式を下図で確認して頂きます。
下図STEP3の計算方法は原則的取扱いをもとに記載しております。

・「類似業種の株価、配当金額、利益金額、簿価純資産価額」について
課税時期に属する年の類似業種の株価、配当金額、利益金額、簿価純資産価額で計算。
類似業種の各金額は以下の国税庁のホームページにて掲載してあります。
平成29年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について
(外部リンク:国税庁のホームページ)

・「評価会社の1株当たり配当金額」について
「1株当たり配当金額」は直前期末以前の2年間におけるその会社の
配当金額の合計額を2で割り、直前期末における発行株式数で割った額となる。
1株当たりの資本金等の額が50円であることを前提に書かれているため、
50円以外の場合は下図の計算式で求められます。

・「評価会社の1株当たり利益金額」について
直前期の利益または直近2年間の利益の平均の値を
直前期末における発行済株式総数で割って求めます。
また、こちらの利益というのは「法人税の課税所得金額」に
「受取配当等の益金不算入額」と「損金算入した繰越欠損金の控除額」を加算し、
「固定資産売却益、保険差益等の被経常的な利益」と
「受取配当の所得税額に相当する金額」を減算して求めます。
また、1株当たりの資本金等の額が50円であることを前提に書かれているため、
50円以外の場合は上図の「直前期末以前2年間の配当金の合計額」を
「直前期の利益または直近2年間の利益」に置き換えます。

・「評価会社の1株当たり簿価純資産価額」について
直前期末における「資本金等の額」と「法人税計算時の利益積立金額」の合計額を
直前期末における発行株式数で割って求めます。
また、1株当たりの資本金等の額が50円であることを前提に書かれているため、
50円以外の場合は上図の「直前期末以前2年間の配当金の合計額/2」を
「資本金等の額と法人税計算時の利益積立金額」の合計額に置き換えます。

・「相続税評価額による総資産・負債」について
純資産価額方式においては、総資産や負債は時価評価されたものが使われます。
この部分の計算は難しいため、概ねの金額でイメージして頂くことをお薦めします。
なお、時価での評価方法は以下の国税庁のホームページにて掲載してあります。
財産評価(外部リンク:国税庁のホームページ)

財産評価において、主な項目は以下に直リンクを掲載します。
・宅地の評価
評価方式(外部リンク:国税庁のホームページ)
・路線価図
路線価図・評価倍率表(外部リンク:国税庁のホームページ)
・家屋の評価
家屋及び家屋の上に存する権利(外部リンク:国税庁のホームページ)
・構築物の評価
構築物(外部リンク:国税庁のホームページ)
・棚卸商品等の評価
たな卸商品等(外部リンク:国税庁のホームページ)
・その他の財産等の評価
定期金、信託受益権、その他の財産(外部リンク:国税庁のホームページ)

配当還元方式は「1株当たり資本金等の額が50円の場合」と
「1株当たり資本金等の額が50円以外の場合」で計算方式が異なります。
配当還元方式は1株当たりの資本金等の額が50円基準で計算されるため、
50円以外の場合、計算式は1株当たりの資本金等の額が50円になるように算出されます。

3.具体例を用いて評価額を計算

それでは、具体的な数字を用いて計算を行ってみます。
今回は、下図の条件をもとに計算を行います。

先ほどの、STEPの順番にいくと、STEP1でこの会社は「原則的評価方式」になりました。
続いて、STEP2の会社規模の判別をします。
取引高基準でみると、「中会社の大」になります。
総資産価額は「中会社の大」ですが、従業員数が70人であるため、「大会社」になります。
この場合、大きい方が会社規模として採用されるため、「大会社」となります。
それでは実際にSTEP3の計算に移ります。STEP3の図をみると、
原則的評価方式で大会社と判別された会社は類似業種比準方式によって計算されます。

上記の条件をもとに、類似業種比準方式によって計算すると、下図のようになります。

以上より評価会社の1株当たり株価は291円になります。
つまり、この会社の株価は291円×100万株=2億9100万円となります。
この評価額に対して、冒頭で紹介した税金が発生します。

評価額の算出に関しては難しい点が多くありましたが、
今回把握して頂きたかった以下①、②についてはいかがでしたでしょうか。
①株価対策を講じる必要性を感じてもらうため
②どこの部分で対策を講じることで効果が出るのかを知ってもらうため

①については想像以上に評価額が高くなってしまって、
承継した時に税金の問題で事業がおぼつかなくなってしまう事も考えられます。
②については評価額の計算式にどのような項目が使われていたかによって、
対策できるポイントが見えてきます。

今後、様々な具体例を用いて、株価対策の行い方を掲載していきます。

【この記事を書いたコンサルタント】
島田 隆守

福岡県出身。大学卒業後、船井総合研究所に入社。ビジネスDD、事業承継、企業価値算定、大手企業の再開発案件に関するコンサルティングに関わり、現在は財務分析・改善の提案や成長のための事業計画、財務管理体制の構築といったコンサルティングテーマに従事している。数字にこそ圧倒的根拠があると考え、数値分析を強みとし、日々経営者様と共に汗を流す姿勢で取り組んでいる。

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