財務トピックス(コンサルタントコラム)

銀行がなくなる時代に企業が考えるべき財務戦略

皆さんは通話・チャットアプリのLINEを使ったことはありますでしょうか。

ほんの10年前まで携帯電話のキャリアメールで連絡を取り合う時代だったのが、LINEの台頭に伴って今や連絡ツールが100%LINEに代わったという方がほとんどかと思います。
「メールは文字だから誤解を招く」という対面コミュニケーションに及ばないメールのデメリットも、LINEならTV電話やボイス機能・感情を絵で表現する”スタンプ”など、拡張機能である程度補完できるというのも魅力です。
筆者はまだ20代ですが、それでも青春時代、好きな女子に聞くのはLINEのアカウントではなく”メルアド”だったことを考えれば、来年にはもう「メール!平成時代の人はメールだったんですね」といった話も出てくるのでしょうか。恐ろしき時の流れの早さです。

またこうしたオンラインツールの発達に伴い、ビジネスでもチャットやTV会議は当たり前となりました。
出張族であるわれわれ船井総研も、コンサルタントが全国中に散り散りといった事象は日常茶飯事ですから、日々ビジネスチャットにはお世話になっています。また、最近はGoogleハングアウトを活用したオンラインでの資金繰り管理支援・財務コンサルティングも増加しております。

ところで新聞を読んでいると、コンプライアンスに厳しかった金融機関でも、いよいよオンライン支援に乗り出そうとしているところが登場したようですね。

〇東和銀、ウェブで中小経営相談 群馬の中之条支店で
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37139950Q8A031C1L60000/
(2018年10月30日 日本経済新聞電子版より引用)

群馬県前橋市をホームとする地銀、東和銀行のいち支店が試行的にオンラインでの中小企業支援を開始したというニュースです。

支店から遠方に位置する企業に対してネットで相談に乗り、効率的に課題解決をしようという趣旨ですが、これもオンラインでのコミュニケーションが高度に行えるようになったからこその取組みですよね。

記事ではよろず相談という名目で相談内容までは記載がありませんが、金融機関に相談する「ど真ん中のテーマ」は当然資金調達や財務・決算書に関するもののはず。
果たして企業の心臓とも言える財務の話を、対面コミュニケーションを使わず解決できるか。

今回は我々の財務コンサルティングのオンライン支援の在り方も見つめなおす意味を込め、このテーマを取り扱います。

 

〇費用を減らしたい銀行が見つけた「オンライン」という光明

収益を求め広域展開する地銀や、全国規模で拠点を構えるメガバンクの存在により、金融業界ではこれまでオーバーバンキングによる過当競争が叫ばれていました。

もちろん個別事情はあるものの、場所によっては銀行なんてよりどりみどり、どこからでも借りられるという環境にあるのが現状です。
では、今なぜ銀行がわざわざ拠点のない遠隔地に対するオンライン支援に手を伸ばすのか。

そこには言わずもがな銀行の「人員削減・拠点削減(=費用圧縮)」の背景があります。膨大なATMというシステムの維持費・行員の人件費でそもそも高コスト体質の銀行。低金利等の環境で収益力が落ちる今、費用を少しでも削減するのは喫緊の課題です。支店を維持するにもコストがかかり、一方地方拠点であればあるほど攻められる見込み顧客は少ない。

しかし、場所というデメリットさえクリアできれば、銀行が少ない地盤で「未開のお客さま」に切り込める。

これらを解決するツールが、まさにオンラインだったということでしょう。
固定費を極限まで抑え、優良顧客を好条件で獲得できる可能性を考えれば、銀行にとってこれほど良いことはない上、我々借り手からしても、今まで地場の地銀・信金からしか得られなかった金融情報を、オンラインを活用して二次的に獲得できるのはメリットと言えます。
今回の記事はいち銀行支店の取り組みに過ぎないものですが、今後同様に高コストに苦しむ銀行が次々にオンライン支援を拡大するならば、北海道の企業が鹿児島の地方銀行の粋な提案を受け、効率的に資金調達を行う…といった事例も飛び出すかもしれません。金融業界の淘汰スピードはますます速くなりそうですが、それも顧客から見れば健全な自浄作用かもしれません。今後の動向に注目です。

 

〇オンライン銀行面談:あなたは何を準備すべきか?

想定ですが、仮に金融機関との面談がオンラインを中心としたものとなり、日々の入出金のほとんどがWEB、そして近隣の取引銀行の支店も撤退となった世界が実現したとしましょう。
かっこよく言えば、銀行が100%デジタルシフトを実現した世界、そこで我々借り手は何を準備し、対面と異なる方法で自社課題や金融ニーズを伝えるべきでしょうか。(※オンラインが対面での面談レベルで発達する可能性、そもそも銀行がなくなる世界も考えられますが)そこに「会話間の”沈黙”から読み取れる空気感」や「人間の本能が感じ取る雰囲気」「眉毛の細かい上げ下げで感じる機微」はなく、言葉尻を巧みに活用したやり取りのみが残されることになります。

対面でも、金融の掟や手続き、用語・知識に関しては1枚上手(なはず)の銀行員、果たして我々が言葉尻のみでオンライン面談を対等に渡り合えるでしょうか。

答えは多くの場合、「否」となるはずです。

しかし、我々が決算書の読み方等の基本的な知識を身につけたうえで、
・WEBを活用した、入出金のリアルタイムな記録が分かるレポート
・自社の商売の流れと、その反対で発生する資金の流れをデジタルで追った記録
・クラウド会計を活用したリアルタイムな試算表の共有
等を、面談中に資料として添付し、適切な方法で説明すればどうなるでしょうか。
おそらく相手銀行員の見える世界も、こちらにやってくる今後の提案も、がらりと変わることは間違いありません。

 

〇まとめ:財務知識×オンライン(デジタル)の親和性

今回は金融機関のオンラインを活用した業務効率化の事例を取り上げながら、デジタルシフトが実現した世界では、我々も金融機関との面談のために財務知識を身に着けるのみならず、同様にデジタル・リテラシーを高めて効率的に面談を進めることが必要だという主張を行いました。
財務の世界は数字を駆使するもの、そして数字を最も得意とするのはデジタルということを考えれば、財務×デジタルの親和性は非常に高いこと間違いありません。

筆者も財務のコンサルタントを名乗る人間、銀行よりもはるかに早いスピードで融合サービスを提案したいものです。引き続き、この場で時流については末筆ながら記載していこうと思いますので、皆さんもそう遠くないデジタルシフトの時代に向け、対策してみてはいかがでしょうか。

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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