財務トピックス(コンサルタントコラム)

金融行政のこれまでの実践と今後の方針~顧客の信頼感・安心感の確保~

「金融行政のこれまでの実践と今後の方針について」
~顧客の信頼感・安心感の確保~

変革期における金融サービスの向上にむけて~金融行政のこれまでの実践と今後の方針(平成30事務年度)~について、金融庁から9月26日に公表されました。
第五回目は「顧客の信頼感・安心感の確保」について見ていきたいと思います。

近年、デジタライゼーションの進化による競争環境の変化(例えば、IT プラットフォーム企業等の非金融企業グループ傘下で金融サービスが提供される等)やマクロ要因による経営環境の変化等により、同一の根本原因に起因するコンプライアンス・リスクが業態横断的に生じる可能性がある。また、利用者保護や市場の公正・透明等の観点から不適切な行為が行われ、金融機関の経営の健全性に影響を及ぼし得るような事例も見られる。このため、金融庁としては、金融機関のビジネスモデルを踏まえて、リスクとなり得る情報を幅広く察知・分析した上、将来の蓋然性も見据えたリスクの程度を評価する必要がある。
また、金融機関においてはコンプライアンス・リスク管理に関して、形式的なルールベースの対応の積み重なり、発生した個別問題に対する事後的な対応、経営の重要な問題と捉えられない管理部門中心の局所的・部分的な対応等の傾向が見られた。

(金融庁HP資料より)

(1) コンプライアンス・リスク管理上の課題と取組み
 金融機関の不適切な行為がその健全性に影響を及ぼしうる事例や、コンプライアンスの問題が経営の重要問題と捉えられずに局所的対応に留まる事例が存在
 当局としても、金融機関のビジネスモデルを踏まえリスクとなりうる情報を前広に察知・分析する必要

 幅広い情報収集を通じたリスクの特定・評価を行い、リスクの程度に応じたモニタリングを実施(個別金融機関で生じた問題が広がりをもって業態横断的に生じる可能性も考慮)

(2) 内部監査
 一部の金融機関の内部監査は、経営への牽制機能を発揮する観点から、さらなる高度化が必要
 内部規程等の遵守状況を検証する準拠性監査を、内部統制の有効性の評価に重点を置いた監査等、経営に資する監査へ転換して いくための対話を実施

(3) 投資用不動産向け融資
 アパート・マンションやシェアハウス等を対象とした投資用不動産向け融資については、①金融機関・悪質な持込不動産業者双方が関与した、入居率・賃料、顧客財産・収入状況の改ざん、②抱き合わせ販売といった、顧客保護の観点から問題ある事例が発生
 不動産価格が相対的に高額に設定され顧客が過大な債務を負うケースや、空室率の上昇・賃料の低下により顧客が返済不能となる ケース、その結果金融機関において損失が発生するといった信用リスク管理上の問題が存在

 投資用不動産向け融資に関して、横断的アンケート調査や検査も活用しつつ、以下を中心に深度あるモニタリングを実施
 顧客の返済可能性を考慮した融資実行時の審査、持込不動産業者が提示した価格の検証や、空室率・賃料水準の推移の把握を前提とした期中管理をはじめとする融資審査・管理態勢
 顧客の不動産購入目的を踏まえた借入の合理性の検証や、賃料収入に関するリスクの説明等、顧客保護等管理態勢
 不当な抱き合わせ販売を防止する等の法令等遵守態勢

(4) 仮想通貨(暗号資産)
 仮想通貨(暗号資産)を取り巻く内外の環境の急速な変化(例:価格の乱高下、新たな取引(証拠金取引や資金調達(ICO)等)の登場など)
 顧客からの預り資産の外部流出事案等の発生
⇒ イノベーションに配意しつつ、利用者保護の確保に向けて、仮想通貨交換業の適  正化を図っていくことが重要

 検査等で把握した問題点(2018年8月中間とりまとめ)を踏まえて厳正に登録審査・モニタリングを実施
 自主規制団体の認定申請に対する審査を実施するとともに、自主規制機能の早期確立を促進
 日本が2019年G20議長国であることを踏まえ、国際協調に向けた主導的な役割を果たす
 「仮想通貨交換業等に関する研究会」(2018年3月設置)において、必要な制度的対応を検討

出典:金融庁ウェブサイト
(https://www.fsa.go.jp/news/30/20180926.html)

以上、今回は「顧客の信頼感・安心感の確保」について見てきました。詳細は金融庁のホームページに記載がありますので、興味のある項目については深く見ていただければ幸いです。
今回のテーマでは、最近、何かと注目される「コンプライアンス」、「投資用不動産向け融資」、「仮想通貨」などについて金融庁の対応状況について触れてきました。
今回のテーマはよく新聞やニュースで耳にする機会の多いワードです。注目を浴びるほど、監督行政としての目が厳しくなる場合もあります。特に何か大きな事件や事故が発生すると対応能力を問われるため、金融庁としても厳しくならざるを得ない側面もあります。

以上

【この記事を書いたコンサルタント】
竹村 良太

早稲田大学卒業後、地方銀行に入行。8年間の銀行業務では、中小・中堅企業から上場企業まで幅広い法人営業を経験。その後、船井総合研究所に入社。
前職時代は事業性評価・財務分析に基づく融資業務に取り組み、中小企業・上場企業向け融資実績を数多く残す。
経営者に寄り添い「三方よし」の精神で財務コンサルティングの提供を行っている。

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