財務トピックス(コンサルタントコラム)

金融行政のこれまでの実践と今後の方針~デジタライゼーションの加速的な進展への対応~

「金融行政のこれまでの実践と今後の方針について」

~デジタライゼーションの加速的な進展への対応~

 

変革期における金融サービスの向上にむけて~金融行政のこれまでの実践と今後の方針(平成30事務年度)~について、金融庁から9月26日に公表されました。

金融庁では、平成27年度より、金融行政が何を目指すかを明確にするとともに、その実現に向け、いかなる方針で金融行政を行っていくかと、毎年「金融行政方針」として公表してきました。

最近は、金融を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。今回は金融行政のこれまでの実践と今後の方針をテーマに数回に分けて見ていきたいと思います。

第一回目は「デジタライゼーションの加速的な進展への対応~金融デジタライゼーション戦略~」について見ていきたいと思います。

 

デジタライゼーションの進展により、新しいプレイヤーが金融分野に進出するとともに、革新的なサービスが生まれ、利用者利便を飛躍的に向上させていくことが期待されている。デジタル化された情報が金融・非金融サービスを問わず活用され、利用者目線での金融サービスの高度化が可能となる中、既存の金融機関には、より利用者ニーズに即した金融サービスを提供できるよう、そのビジネスモデルを顧客起点で変革していくことが求められている。こうした環境変化を踏まえた金融サービスの向上に向けて、金融庁として、11 の施策からなる「金融デジタライゼーション戦略」をとりまとめた。 また、その戦略の中で、フィンテックを推進していくため、「FinTech Innovation Hub」を設置し、規制・監督と一線を画して、ベンチャー企業等と議論・交流し、フィンテックのトレンド・方向性を探り、得た知見をフィンテック関連事業の健全な発展につなげる。(金融庁HP資料より)

 

生活面ではあらゆるモノ・コトがデジタル情報化し、ビジネス面では金融だけではなく生産・流通・販売に至るまで、さらに行政においても隅々までデジタルが適用されるデジタライゼーションが加速しています。

そのなかで、ITを活かし、決済等の金融サービスを切り出し(アンバンドリング)、eコマース等の業務と部分的に組み合わせる(リバンドリング)など、新しいプレイヤーが金融分野に進出しています。

また、情報の蓄積・分析が量・質ともに飛躍的に増加・向上し、情報の利活用が進展しており、ビジネスが革新的に変わる可能性があります。

金融庁としては、新しいプレイヤーによるイノベーションの進展が進みやすい環境を整備していく必要があります。同時に、既存の金融機関も、新しいプレイヤーとの協働・連携や競争を通じて、ビジネスモデル変革による利用者利便の向上が求められています。

 

金融庁が公表する金融デジタライゼーション戦略の11の施策について下記に記載いたします。

 

【金融デジタライゼーション戦略の11の施策】

  1. 情報の蓄積と利活用

利用者や金融機関等の多様なプレイヤーが情報を利活用しやすくなるよう、①情報連携のための環境整備(決済高度化・ オープンAPIの推進)、②制度面での検討(機能別・横断的法制において検討)を行うとともに、③金融機関とITの戦略的活用・ITガバナンスについて対話を実施

  1. 顧客のプライバシー、匿名性や顧客情報の信頼性その他の顧客保護

本人確認のデジタル化の推進のほか、情報の利活用の際の匿名性の確保、顧客情報の信頼性確保を含む個人情報の保護や、ブロックチェーン等、新しい技術を活用した顧客保護に向けた取組みを推進

  1. デジタライゼーションに対応する情報・金融リテラシー

どのような金融サービスが利用できるか、また、自らの個人情報等が金融を含む商品・サービスの勧誘にどのように利活用されるかといった情報・金融リテラシーの向上を推進

  1. 金融・非金融の情報の伝達を可能とする金融インフラのデジタル化

利用者の利便性向上や企業の生産性向上、キャッシュレス化に向けたインフラ整備として①企業の財務・決済プロセスの高度化や、②証券分野におけるブロックチェーン技術の活用等の推進

  1. 金融行政のデジタル化

①金融機関のシステム対応コストを低減しつつ、当局によるリアルタイムな実態把握を可能にする官民双方にメリットのあるRegTechエコシステムを将来的に構築するための検討、②EDINETのオープンAPI化による開示情報の提供等を実施

  1. 様々なサンドボックス等によるイノベーションに向けたチャレンジの促進

①「FinTech Innovation Hub」を立ち上げ「100社ヒアリング」を実施することにより情報を収集するとともに、②FinTech実証実験ハブや③FinTechサポートデスク等の様々なサンドボックスの活用を促進

  1. オープン・アーキテクチャによるイノベーションの推進

オープンAPIの推進等により、金融機関とフィンテック企業の連携を推進

  1. 国際的なネットワーク

①海外当局とのフィンテック推進協力枠組みの構築、②フィンテック・サミットの開催に取り組むとともに、③仮想通貨(暗号資産)の国際的なルール形成に貢献

  1. デジタライゼーションの基礎となるブロックチェーン、AI、ビッグデータ技術等の推進

①ブロックチェーン技術の活用可能性や課題等にかかる国際的な共同研究の実施、②「FinTech Innovation Hub」における要素技術等に係るヒアリングの実施

  1. サイバーセキュリティその他金融システム上の課題等への対応

新たな実効性あるサイバーリスクへの対応策を金融機関に促し、サイバーセキュリティの国際連携を推進するとともに、デジタライゼーションに伴って生じる金融システムの新たなリスクに対応

  1. これらの課題を実現するための機能別・横断的法制

フィンテック等の技術革新の動向や金融サービスのトレンドの方向性も視野に入れつつ、金融規制体系をより機能別・横断的なものにしていくことについて検討

 

出典:金融庁ウェブサイト

https://www.fsa.go.jp/news/30/20180926.html

 

以上、今回は「デジタライゼーションの加速的な進展への対応~金融デジタライゼーション戦略~」について見てきました。詳細は金融庁のホームページに記載がありますので、興味のある項目については深く見ていただければ幸いです。

金融庁は今後、デジタルの加速化を図っていくことを方針として示しています。金融機関のみではなく、利用者にとっても大きな変化が訪れる可能性もあり金融庁や金融機関、新たなプレイヤーの動向を追っていきたいと思います。

以上

【この記事を書いたコンサルタント】
竹村 良太

早稲田大学卒業後、地方銀行に入行。8年間の銀行業務では、中小・中堅企業から上場企業まで幅広い法人営業を経験。その後、船井総合研究所に入社。
前職時代は事業性評価・財務分析に基づく融資業務に取り組み、中小企業・上場企業向け融資実績を数多く残す。
経営者に寄り添い「三方よし」の精神で財務コンサルティングの提供を行っている。

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