財務トピックス(コンサルタントコラム)

経営者保障に依存しない融資

1 埼玉りそな、TKCと「経営者保証」免除でタッグ 事業承継など取引先支援

「埼玉りそな銀行が経営者個人の保証を免除する融資に取り組んでいる。情報処理サービス大手のTKCと組み、財務面での条件を満たした取引先には個人保証を求めない仕組みを今春に立ち上げた。経営者個人が負う保証債務は事業承継の障壁となる場合が多い。」(日本経済新聞(2018年8月2日付)より引用 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33689170R00C18A8L72000/)

 

上記記事に紹介されているように、埼玉県りそな銀行が、TKCと連携して、経営者の個人の保証に依存しない融資を拡大しています。

その背景には、平成26年2月に策定・適用されている「経営者保証に関するガイドライン」の存在があります(「経営者保証に関するガイドライン」の具体的な内容については、http://www.funai-finance.com/basic/basicknowledge23を参照)。

「経営者保証に関するガイドライン」を活用することにより、現在では、経営者保証なしで新規融資を受けることができ、又は、経営者保証の解除ができる可能性が出てきております。

 

では、具体的に、中小企業が経営者の個人保証を解除するためには、どのような取り組みをすればよいでしょうか。また、「経営者保証に関するガイドライン」の真の目的は何なのでしょうか。

 

2 中小企業と金融機関との間の信頼関係を構築する

逆の立場になって考えてみましょう。

金融機関にとって、中小企業に対し融資をする際に一番恐れていることは、中小企業に貸し付けたお金が返済されないことです。金融機関が、中小企業が将来的に貸付金を返済してくれることを信頼することができなければ、それを担保するために、金融機関は、中小企業の経営者の不動産に担保を設定したり、経営者個人に連帯保証をつけたりします。

 

それを裏返すと、金融機関は、中小企業が将来的に貸付金を返済してくれることを信頼することができれば、融資をしてくれるということになります。

 

つまり、中小企業が、経営者保証なしで新規融資を受け、又は、経営者保証を解除するためには、中小企業が金融機関からその財務状況を信頼されるように努める必要があります。

 

3 中小企業が経営者の個人保証を解除するためは

具体的に、「経営者保証に関するガイドライン」において、中小企業の経営者が、金融機関との融資の関係で、個人保証を外すためには、以下の三つのことを努める必要があると規定されています。

 

① 法人と個人の分離

融資を受けたい企業は、役員報酬・賞与・配当、オーナーへの貸付など、法人と経営者の間の資金のやりとりを、「社会通念上適切な範囲」を超えないようにする体制を整備し、適切な運用を図ること。

② 財務基盤の強化

融資を受けたい企業は、財務状況や業績の改善を通じた返済能力の向上に取り組み、信用力を強化すること。

③ 適時適切な情報開示

融資を受けたい企業は、自社の財務状況を正確に把握し、金融機関などからの情報開示要請に応じて、資産負債の状況や事業計画、業績見通し及びその進捗状況などの情報を正確かつ丁寧に説明することで、経営の透明性を確保すること。

 

このうち、②財務基盤の強化については、一朝一夕でなしうるものではなく、これまでの経営努力が積み重なって、基盤が整っていくものです。

 

他方、①法人と個人の分離及び②適時適切な情報開示については、経営者の意識次第で今日からでも改善が可能です。

 

例えば、

・役員報酬・賞与・配当を過大に設定しすぎない。

・企業から経営者への貸付を一切しない。

・P/L計画のみならず、B/S経営計画を立てる。

・向こう1年間の資金繰り管理表を導入する。

 

以上のような取り組みを行っていますでしょうか。

まずは、①法人と個人の分離、③適時適切な情報開示から、是非とも取り組んでみてください。

【この記事を書いたコンサルタント】
鶴田雄大

早稲田大学大学院法務研究科修了。司法試験に合格後、船井総合研究所に新卒入社。その後、弁護士登録。
企業の事業承継や、承継後のオーナー経営者個人の資産承継までのライフプランを幅広くサポートする資産コンサルティングに従事している。

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