財務トピックス(コンサルタントコラム)

対金融機関 面談の基本マニュアル②

〇対金融機関 面談の基本マニュアル

貴社のなかで、金融機関と日々面談をしているのはどなたでしょう。社長本人、役員、経理部長、総務部長、主任…。会社によって立場も年齢も人間性も違う方が窓口となっているかと思いますが、金融機関との面談はときに「金利・融資期間・金額」という資金調達部分で自社財務に如実に影響を及ぼすため、決してないがしろにすることができません。一方で銀行員からアポイントの依頼があり、何か話があるのかなと用意して席についたら、話すのは他愛のない世間話や不要な商品提案、さらには上司を連れてきて挨拶だけ…等「銀行はいったい何を考えてうちに訪問しているのか」と、面談が億劫になってしまう時もあると思います。

筆者も元銀行員として、様々な業種・業界のお客様と面談をしたことがありますが、思い返してみれば銀行の面談にはコンサルタントの「月次支援」とは一味違う独特のロジックや意図があったと感じます。

金融機関と面談する際、何か良いコツはないのか。日々の面談を何となく、意味のないようなもので終わらせないよう、こちら主導で付き合い方を変える方法はないか。前回配信の第1回に引き続き、筆者が考える金融機関との上手な付き合い方に関してお伝えしていきたいと思います。

 

〇金融機関の面談5大パターンはこれだ!その

②ノルマ消化型面談(≒お願い面談)

「社長、今月だけで構わないのですが、30百万円程借りていただけませんでしょうか…。」

経営者として金融機関と面談していれば、1回はこうした金融マンのノルマ達成のお願いトークを聞いたことがあるかもしれません。本来、融資というものの反対側には「資金使途」と呼ばれるお金の使い道が存在し、資金使途がないなら融資もないというのが鉄則なのですが、そうはいっても金融マンはお金を売ってナンボの商売。それが金融機関の決算月ともなれば、いつもは数字を根拠に仕事をしている金融マンもこんな情に訴えるお願いをしてしまうことがあります(実際、私も金融機関にいた時はこうしたお願い営業をしたことがあります)。

普段は何かと数字で根拠を求めたりするのに、こんな時だけご都合主義だなと感じつつも、普段から融資で素早く対応してもらっている関係性があれば、今後も円滑に取引するために言うことを聞いておこうかな、という気持ちになるかもしれません。実際のところ、金融マンからしてみれば自分の数字が厳しい時に助けてくれた会社に対しては情も湧いてくるもの。結局金融機関と会社も人と人なので、筆者もその関係性を100%ドライに切りなさいとは言えません。

一方、金融機関が債権者の立場を持つゆえに、忘れがちになってしまいますが、彼らも数ある会社の取引先のうち「お金の仕入れ」を担う1つの業者であることも間違いではありません。多く仕入れてくれる業者には値引きをしたり、クーポン券を渡したりするといった一般の商慣習が、金融機関だけ全くの例外というのはあまりにこちらが不利になってしまいます。

「そうはいっても普通の業者と違って、金融機関からカネを止められたら会社が続かないのだから…」。

おっしゃる通りです。だからこそ、われわれ融資を借りる側がこうした面談の際に1つだけ取り組んでほしいことがあります。

 

それが「次の案件をお願い面談で提示してしまう」ということ。

 

たとえば、戸建住宅メーカーなら次に持ち込む住宅建築資金の案件。たとえば、工場を持つ会社であれば今後発生する工場内の設備購入資金の案件。もし融資の案件がないのであれば、リース・決済・保険・振込…とにかく銀行の営業が商品として持っていそうなありとあらゆる金融の話題に関して「じゃあ、今回は聞いてあげるからこの案件よろしくね」と一石を投じる動きをしてもらいたいと考えます。

もちろん、この動きをするにあたっては金融機関が「何を取り扱い、何を売ろうとしているのか」というロジックを理解した上で、自社の財務に関するあらゆるニーズをリストアップし、いつでも話のタネとして投じる準備をしておかなければなりません。また「じゃあ次は金利を下げてね」という不毛な金利競争に持ち込んでしまうのは、この低金利のご時世ではあまりメリットが出ない場合がほとんどです。前回記事でも、自社の財務情報はいつでも付け足して開示できる状況にしようとお伝えしておりましたが、今回の面談でもやはり金融機関に適切な交渉カードを切れる環境を整備することが大切になってきます。

たとえ、切り返しが結果としてすぐに自社の役に立たなかったとしても構いません。バーター取引ばかりを狙うのもせせこましいなとお感じになるかと思います。しかし、常日頃から先方のお願いだけを聞き入れて受動的に面談をせず、主導権をもってWIN-WINの環境を整備しておくことで、金融機関の面談姿勢も間違いなくピリッと意識を入れたものになり、都度の面談にもメリハリがついてくるのではないでしょうか。クレーマーにならずとも、金融機関に常に一石を投じる姿勢でありたいですね。

 

〇まとめ:提案もこちらからコントロールできる?

今回はシリーズの第2回として、金融機関との上手な付き合い方の1つ「相手がお願い営業をしてきた時」に関してお伝えしました。金融情勢は長らくデフレ環境で本当に冷え込んでしまっており、ここ数年はついに花形業種の銀行も未来が危ないと言われているなかですから、金融マンの営業もし烈を極め、「お願い営業仕方なし」の環境下とも言えます。一方、本源的にはやはり我々借り手が財務戦略を打ち立てるなかで、どのようにして資金を活用するのかという部分で適切に資金調達を行うことが大切です。たまのお願いを聞く際にはこちらからも提案を投げかけてWIN-WINの関係を構築しておく一方で、いつもの面談の際に「資金繰り表」「試算表」「在庫明細」「業績レビュー」等を活用して、本当にお金がいるのはいつなのかという情報発信をしておくのも、向こうの動きを整備する意味では良いかもしれません。やがて金融マンが絶妙なタイミングで提案をくれるような財務体制構築を目指し、まずは資料整備から見直してみては、いかがでしょうか。

【この記事を書いたコンサルタント】
片山 孝章

メガバンクの法人営業担当として3年勤務したのち、船井総合研究所に中途入社。 3年の勤務ながら地方拠点・都市拠点の両方を経験し、
スタートアップ企業に対する創業支援融資から、中堅~大企業向けの各種金融業務を学ぶ。 現在は若手担当者ならではの素早く、小回りの利いた対応を心がけることで、 経営者の表面的ニーズのみならず、想いにも寄り添える提案を心がけている。

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